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大下智のビジネスコラム

弊社常務・大下智・略歴

(株)リコーの国内マーケティング部門において40年以上のキャリアを持つ。
マネージャー
としては、福井リコー敦賀営業所所長を皮切りに、以後
同社営業部長、兵庫リコー営業本部長、岐阜リコー社長、愛知リコー社長、
リコー販売事業本部副本部長、リコー中部社長などを歴任。そのいずれもを
リコーグループのトップ会社へと牽引し、2004年にはダイヤモンド誌の
「日本の営業40人」に選出される。
また、現在、出身地・福井県若狭町のふるさと大使としても活躍中。
                 著書に自身の体験を綴った『リーダーの覚悟』が本年3月26日発売。

大下智のビジネスコラム【――素描――】 バックナンバー

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第42回・積極的傾聴

2014-06-11
4年ほど前、ふるさと大使を務める出身地若狭町の職員を対象に
セミナーをしたことがあります。
テーマは「住民に期待される行政マン人生をめざして」というような
内容だったと記憶しております。
その時のつかみの一端をご披露します。
「子供の頃、死んだ親父からよう叱られたもんです。
“いらんこと言うな!”“屁理屈言うな!”ですが、今も懲りずに
いらんこと言って屁理屈をこねております?
どうも親の言うことをろくろく聞かず、すぐ屁理屈を
並べ立てる可愛くない少年だったようです」

若い時(33歳)から営業責任者などの重責を任され、リコーの
販社といえども150人、その社長を任されたのが45歳で、当然のことながら、
いつも部下には年上、先輩が数多くおられて、果たしてその期待に
応えることができるのかと心配したものです。
同時に経験豊富な先輩たちの協力なくしては、組織としての
力を最大化することはありえないとも思いました。

リーダーに必要な資質としてはいくつかありますけれども、
その中で最も大切なことは「メンバーの意見をよく聴くこと」最初に
これを絶対外してはならないと肝に銘じたのは「傾聴」です。
ただの傾聴ではダメ、これに「積極的」を加え「積極的傾聴」を
組織運営における自身の行動指針としたのです。
そもそも親も太鼓判を押すほどの屁理屈少年でありますから、
よほど自制しないとリーダーとしての機能を発揮することは
おぼつかないと思ったのです。

性格上、言うは易し行うはとても難しで、内心ムッとしたことも度々ですが、
自分が決めたことと気を取り直しているうちに「ありがとうございます。
よく直言してくれました」と心底言えるようになりました。
実力以上の役割を任され、任せた方も大丈夫かなあ?と
心配した方も、実際おられたと後に聞いたこともありますが、
普通以上にやって来れたのは、この「積極的傾聴」のお蔭だと思っています。

最近、同志であり友人でもあるA氏がよく本を紹介してくれます。
「大下さん、これ、絶対気に入りますよ」と紹介してくれた書が
帝王学(山本七平著)です。
その通りメチャメチャ気に入りました。
もっと早く知っていたらもっと良いリーダーになっていたとも思いました。

内容の骨子は、「草創(操業)」と「守文」(守成=維持)と
いずれが難きやから始まり、唐の皇帝の二代目太宗、姓は
李世民といいますが、彼を補佐した重臣たちの問答を通して、貞観の治を
現出させた彼らの苦心経営ぶりがさまざまな角度から解き明かされている
「貞観政要」を読者の一人として「帝王学」に著しているものです。

隋の末期を反面教師とし、唐の皇帝、太宗が重臣に積極的に「諫言」を
求め、長く続いた唐の礎を築いたのです。
そういえば前述のA氏の上司でもあるT社長の「大下さん、親父が
死んで誰も意見してくれなくなりました。もっとも意見してくれても
聞かないでしょうけどね。大下さんの言われることなら
聞けますので是非ウチへ来てくれませんか?」
そんな感動的な言葉がリコーグループを離れるきっかけになったのです。

今、思えばT社長、既にこの「帝王学」もしくは「貞観政要」に
学んでおられたのではないかと思うのです。
何故ならそのお言葉通り、時にはかなり辛辣な「諫言」をも
受け入れて下さっているのです。

第41回・昇級、昇格試験の持つ意味

2014-05-14
大企業においては、初級管理者とか中級、上級管理者と云った節目に、
昇級、昇格者を決める審査が人事制度の仕組みの一部にもなっています。
現役時、私が経営を任された二社目では既にその制度が整っておりました。
社員680名ですから当然と言えば当然です。
受験者の立場としては、株式会社リコーで、課長代理、課長、
次長登用のための受験を経験しました。

私が関わるIT系企業(社員90名)では、5級職(係長、リーダークラス)と
7級職(課長、マネージャークラス)への登用を目的に3年前より実施しております。
正直、始めた時は大企業じゃあるまいしとこぼす社員の愚痴に、
さもありなんという気持ちも少なからずありました。

一社目で150人の会社を任されていた時は、独自の教育体系を創って
職種毎のスキルを高めるために、勉強させて試験を行い、
1級、2級、3級とランク付けして各級毎に職能級手当てを支給しておりました。
昇級、昇格に関しては、社員とのコミュニケーションを思い付きではなく
仕組みにも工夫を凝らし十分過ぎるほどとっていたので、客観的且つ
公平な評価は出来ていたと思っております。

前述の試験制度3年目を迎える企業において、これに深く関わることも
ミッションの一つになりますと、これまでとは考え方がまったく
変わって来たことに気づきます。
もともとの狙いは、全社員を対象に機会均等、公平な評価を主な目的として
スタートしましたが、これとは別に大きな意義があることに気づいたのです。
昇級、昇格の決定にとどまらず、“気づきの場”として
大いに意義があったのです。

  ・受験者自身の気づき、に加えて
  ・上長、経営幹部の気づきです。

その一例をあげれば
    「そうか、俺の足らない部分はここなのか?」
    「○○君は意外によく勉強しているんだなあ」
     あるいは
    「活字に触れていない社員が多いなあ」といったところです。

昇級、昇格試験は終わった。昇級、昇格者が決定した。
これで終わりにしたら、この制度の意義は半減です。
大切なのはここからです。
個人ごとに、TOP方針の理解度、問題解決力、専門知識力、プレゼン力など
カテゴリー別に気づきを整理して、本人と上長が課題と
NEXT ACTION計画を共有して共に前進しなければならないのです。

持論の一つに
人が最も成長するときは自らが成長したいと思ったとき、
更には
人は教えることで最もよく学ぶです。これらは当コラムでも既報の通りです。
上長が部下の成長目標に対してどう絡んで行くかが課題です。

前週の土曜日、この会社の方針発表会で今回のコラムのテーマそのままで
話しましたがおしまいはこの言葉で締めました。

「合格した人は、次のステージをめざし頑張って下さい」

「惜しくも合格がかなわなかった人は、以下の二者択一で選択してください」
? あきらめる
? 次回必ず合格するように努力をする

以下が終身雇用制度などの日本的経営の良さを認めるゴールドラットの著書
「ザ、チョイス」からの引用の一部です。
人生には選択の機会が何度もあります。
「有意義で充実した人生を選ぶか?」
「楽ができる人生を選ぶか?」
大半の人は有意義で充実した人生を選ぶでしょう。
ですが問題はそのために努力を惜しまずに頑張るという強い自らの意思での
選択、つまりチョイスをする人は少ない。
一方、充実した人生を望むけれども努力はしたくはないという
単なる選択、セレクトをする人が意外に多いと言うのです。
何をチョイスするか、どういう人生をめざすかは本人の意思次第ということなのです。

第40回・人間万事塞翁が馬

2014-04-09
日本人間ドック学会と健康保険組合連合会は先日、
肥満度などについて、健康診断や人間ドックで「異常なし」とする値を
緩めると発表しました。
国内で人間ドックを受けた人の値を調べたところ、
血圧やコレステロールの値がこれまでの基準より高くても「異常なし」に
するということです。
因みに現行の基準値(男性)の主な値は次の通りです。

検査項目          現行         新しい基準値
血圧           130未満(収縮期血圧)    88~147
肥満度              25未満        18.5~27.7
肝機能          0~30         10~37
総コレステロール         140~199      151~254
LDLコレステロール     60~119       72~178

私的には新しい基準値がずっと前からあったなら、正常値あるいは
ほぼ正常値の項目も少なくなかったのにと少し残念な気もします。
と言いますのは、現役時代毎年11月くらいになると
「社長、早く検診に行って頂かないともう終わってしまいます!」とよく叱られ、
しぶしぶ出かけることも度々だったのです。

受診時、バリュームを飲まされたりの検診そのものが嫌いという
こともありますが、わざわざ貴重な時間を使って面倒くさいという気持ちと、
何より不健康を表す値が幾つも指摘され不愉快な思いをするのが
嫌な方が大きかったように思います。
本来の目的を省みないという本末転倒も甚だしい次第ではありますが・・

そういう訳の分からない男がある時を起点に人が変わったように、
自ら進んで行くようになりました。

病院とはほとんど縁のない私だったのですが、まったく予期しない
突然の不注意で、顔面陥没1cmという大怪我に見舞われ
4週間の入院を余儀なくされたのです。
幸い、執刀医自らが何度も感動するほどの名人芸で、顔面三箇所に
メスを入れたにも関わらず、手術をしたことを話さなければ
分からないくらいの回復振りだったのです。

当然のことながら、約一ヶ月間の入院期間、病院食が続きましたから、
そのお陰でかなりスリムになっただけではなく血圧をはじめとして
いろいろな検査値が大幅に改善し、入院前より
はるかに健康体に近づいたようです。

退院して一カ月くらい後、タイミング良く人間ドックの案内が来ました。
あれほど嫌っていた受診、悪くならないうちに
受けておこうと即座に申し込みました。
結果的に社内で一番の受診申し込みだったようです。
入院の一ヶ月間に加え、受診までの更に一カ月余り、節制を続けたのも
功を奏したのか、何年も見たことがない検査結果でありました。
ほとんどの項目で正常値、あるいは正常値に近い値が並んでいたのです。

自らをアグレッシブに戦う企業戦士
(解決リコーマンと全社あげて社内外に鼓舞していた風土もあって・・)
と自負していた現役時代を振り返るとき、「アホ」に「ド」が付くほどに
自分自身の健康管理に関心を持たず、食べたい放題、飲みたい放題の
まさに成り行き管理が続いていました。

大手術の前、主治医に冷たく「元には戻らないですよ」と言われた時は
ショックを受けましたが、前述の通り完治し、その後、あつかましくも、
セミナー等で「ビジネスマンとしての人間力は、気力、知力、実践力、体力、
コミュニケーション力の五つで構成されています。どれが欠けてもダメなんです」と
よく公言して来れたものだと我ながら呆れてもいます。

本当に名人芸的な大手術をきっかけとしての健康管理に対する猛省から、
自発的に人間ドックでの検査を受診することになったことと、
遅まきながらも、現役時代とは比べ物にならないくらい節制に気遣い、
週二のペースでフィットネスで汗を流す努力は高齢者の仲間入りをしながらも、
偉そうに現役とほとんど対等に仕事をさせてもらえる賜物と
感謝しながらの毎日につながっているのです。

昨年70周年のセミナーの冒頭で申し上げました。
「年をとると“キョウヨウ”と“キョウイク”が大切です」
お陰さまで今日も用事があり、今日も行くところがあるのです。
まさに人間万事塞翁が馬だと思います。

第39回・めあて

2014-03-12
もう30年も昔の話になります。
正月仕事初めに主要ディラー、今や東証一部のO商会に訪問した時、
真っ先に目に飛び込んで来たのが、営業マンの机の上にある
真っ白い半紙に力強く墨で書かれた「書初め」とおぼしきものです。
その一枚が「初志貫徹」だったと記憶しております。
新しい年を迎えるにあたって、今年をこの考え方で行こうという
強い意思を表すものです。
支店長にお聞きすると、創業者の会長以下全員が仕事初めに
書初めをして貼り出すそうです。

昨年の弊社70周年記念のフエア&セミナー(11月13?14日)の初日、
不肖私のセミナー「これからのビジネスマン人生をどう生きるかを考える」の
つかみの部分で「私のように年を取りますと
“キョウヨウ”と“キョウイク”がとても重要になります」と話しました。
“キョウヨウ”今日用事がある、で“キョウイク”は
今日行くところがある、です。
この二つで年寄りは元気を保てるそうです。

小学低学年の頃には、黒板にいつも「今月のめあて」と
書いてあったのを思い出します。
今月、一人ひとりがどう過ごして行くのかという目標です。

私自身の半生を振り返ってみるとき、その時々の「めあて」に、
こだわりの強い、弱いは別としてその「めあて」が行動に
影響して来たとも思っております。

本当に我ながら考えられないほど純朴だったと思える頃から、
世間の荒波に揉まれに揉まれたと言っていい時期、そして次世代に
バトンタッチをしなければならないような時を迎えた今も、
常に「めあて」の必要性、重要性は極めて高いとあらためて思うのです。

一旗あげてやろうとか、何も偉くなりたいなどといった意欲を持たない人が
増えて来ているという現代社会であっても、給与は高くなくても良い、
仕事はつまらない方が良いなんて人はいません。

じゃあどうすれば良いのかと一生懸命考えたのが老いも若きも、
つまり老若男女全員が四月から始まる新しい期を迎えるにあたって、
それぞれが自分の「14年度のめあて」を決めて、それを達成するために
何をするのかを公表しようというものです。

やらされるのではない、自分で決めて実行する、そして一定の時期に振り返る、
このシンプルなことが日々の仕事を有意義なものし、
自己成長の一助になると確信するのです。

第38回・我が行いにせずば甲斐なし

2014-02-12
商品知識がある、話し方も饒舌、熱意も感じられる、
なのに営業成績が上がらない。こういった営業マンはどの世界にもいます。
また戦略、戦術は客観的にみて素晴らしいけれども、
狙った成果になかなか結び付かないというケースも少なくありません。
メンバーを引っ張るリーダー、部門を束ねるマネージャーが論理的で、
ドラッカーをもよく勉強していてマネジメントが分かっている筈なのに、
何故かチーム、部門の成績が一向に上向いて行かない。
何とかここから脱皮しなければと経営トップ、幹部に対し、
「営業力強化をしませんか」「組織力強化を計りましょう!」と
研修プロがアプローチする「営業力強化」とか「組織力強化」といった
研修プログラムは決して安くはありません。
それでも結果が伴えば何の問題もないのですが、
なかなか期待通りの成果は上がらないようです。
昨年末から年始にかけての久々に長い休暇(9連休が多かったようです)を
利用して二冊の本を読みました。
ずっと気になっていた本で、中身もある程度想像できていましたが、
期待通り、いや期待以上の内容でありました。

一冊目が「雑談力が上がる話し方」(齋藤学著)です。
ビジネスで活用する?に止まらず一般論としての雑談力ですが
ビジネスへの応用は十分の内容です。
思い起こせば、営業には絶対向いてないのにと、渋々スタートした私が
人並みに売れ始めた頃から、商談に占める雑談がだんだんと
多くなって行きました。
これまでの「セミナー」で“14400回を超える商談を経験”と
公言したことがありますが、雑談が更に多くなり、またその雑談の中身も
大きく変化して来ていることに気づきました。
当初はまったく本題とは関係のない話題に始まり、「ところで」と
本題に入って行くことがほとんどだったと記憶しているのですが、
いつの頃からか、「ところで」がまったくない訳ではありませんが、
本題とはまるっきり関係のないと思われる話材なのに本題につながっている、
つまり流れの中の一部分になっているケースが多くなっているのです。

二冊目が「伝え方が9割」(佐々木圭一著)です。
驚くほど論理的に記述しています。
私の関わる100人規模のある販売会社に、大手企業でも通用するだろうと
思われる戦略室長がいます。またその実戦部隊のトップも40歳そこそこの
体育会系のアグレッシブな部隊長です。この体制にしてからの二年余り、
業績は目を見張るほどの伸びを示して来ました。
ただ何時の時代も課題はつきものでありまして、部門全体の今後の展望を
考えた時、このままであれば踊り場になる危険性を十分秘めていると
心配してしまうのです。
一頃の離職率の高さからは脱したものの、まだその再現の可能性は
残されているように思えるからです。
表面に出てくる若年層の業績としてカウントされている
成果の中には、必ずしも本人独自で創り上げたものではないと
いうものも少なくありません。
リレーションは決して悪いことではありませんが、数値を鵜呑みにしては
いないとは言うものの、真に成長して行くマネジメントが
行われているかには若干の疑問符が付くのは否めません。
「伝え方が9割」の第二章「ノーをイエスに変える技術」に
三つのステップがあると云います。

1.自分の頭の中をそのままコトバにしない
2.相手の頭の中を想像する
3.相手のメリットと一致するお願いをつくる
                                                です。

紙面の都合上、この本にある例を一つだけ紹介します。
デートに誘いたいとき
「デートして下さい」は断れる確率は高いけれども
「驚くほど旨いパスタどう?」は確率が高くなると言うのです。
相手はパスタが好き。たまたま旨いパスタの店がある。
目的はデートをする、であってパスタだって何だって良いのです。

ずっと昔「営業を科学する」という本が出ておりましたが、
営業の基本、土台ともいうべきものがコミュニケーションです。
そのコミュニケーションのあり方こそ論理的に体系的に整理する必要があると
思っておりましたが、まさにこの「雑談力が上がる話し方」と
「伝え方が9割」こそ、コミュニケーションを科学する格好の
教科書になると思います。
また決して外すことができないコミュニケーションを充実させる雑談力をも
その何ページかを占有したものにしなければならないとも思うのです。
「営業力の強化」とか「組織力の強化」という研修を否定するつもりは
毛頭ありませんが「雑談力が上がる話し方」と「伝え方が9割」の
エキスを入れることでその中身が分厚くなり、
研修の効果がより大きく現れるものと確信致します。

第37回・雑談を科学する

2014-01-15
商品知識がある、話し方も饒舌、熱意も感じられる、
なのに営業成績が上がらない。こういった営業マンはどの世界にもいます。
また戦略、戦術は客観的にみて素晴らしいけれども、
狙った成果になかなか結び付かないというケースも少なくありません。
メンバーを引っ張るリーダー、部門を束ねるマネージャーが論理的で、
ドラッカーをもよく勉強していてマネジメントが分かっている筈なのに、
何故かチーム、部門の成績が一向に上向いて行かない。
何とかここから脱皮しなければと経営トップ、幹部に対し、
「営業力強化をしませんか」「組織力強化を計りましょう!」と
研修プロがアプローチする「営業力強化」とか「組織力強化」といった
研修プログラムは決して安くはありません。
それでも結果が伴えば何の問題もないのですが、
なかなか期待通りの成果は上がらないようです。
昨年末から年始にかけての久々に長い休暇(9連休が多かったようです)を
利用して二冊の本を読みました。
ずっと気になっていた本で、中身もある程度想像できていましたが、
期待通り、いや期待以上の内容でありました。

一冊目が「雑談力が上がる話し方」(齋藤学著)です。
ビジネスで活用する?に止まらず一般論としての雑談力ですが
ビジネスへの応用は十分の内容です。
思い起こせば、営業には絶対向いてないのにと、渋々スタートした私が
人並みに売れ始めた頃から、商談に占める雑談がだんだんと
多くなって行きました。
これまでの「セミナー」で“14400回を超える商談を経験”と
公言したことがありますが、雑談が更に多くなり、またその雑談の中身も
大きく変化して来ていることに気づきました。
当初はまったく本題とは関係のない話題に始まり、「ところで」と
本題に入って行くことがほとんどだったと記憶しているのですが、
いつの頃からか、「ところで」がまったくない訳ではありませんが、
本題とはまるっきり関係のないと思われる話材なのに本題につながっている、
つまり流れの中の一部分になっているケースが多くなっているのです。

二冊目が「伝え方が9割」(佐々木圭一著)です。
驚くほど論理的に記述しています。
私の関わる100人規模のある販売会社に、大手企業でも通用するだろうと
思われる戦略室長がいます。またその実戦部隊のトップも40歳そこそこの
体育会系のアグレッシブな部隊長です。この体制にしてからの二年余り、
業績は目を見張るほどの伸びを示して来ました。
ただ何時の時代も課題はつきものでありまして、部門全体の今後の展望を
考えた時、このままであれば踊り場になる危険性を十分秘めていると
心配してしまうのです。
一頃の離職率の高さからは脱したものの、まだその再現の可能性は
残されているように思えるからです。
表面に出てくる若年層の業績としてカウントされている
成果の中には、必ずしも本人独自で創り上げたものではないと
いうものも少なくありません。
リレーションは決して悪いことではありませんが、数値を鵜呑みにしては
いないとは言うものの、真に成長して行くマネジメントが
行われているかには若干の疑問符が付くのは否めません。
「伝え方が9割」の第二章「ノーをイエスに変える技術」に
三つのステップがあると云います。

1.自分の頭の中をそのままコトバにしない
2.相手の頭の中を想像する
3.相手のメリットと一致するお願いをつくる
                                             です。

紙面の都合上、この本にある例を一つだけ紹介します。
デートに誘いたいとき
「デートして下さい」は断れる確率は高いけれども
「驚くほど旨いパスタどう?」は確率が高くなると言うのです。
相手はパスタが好き。たまたま旨いパスタの店がある。
目的はデートをする、であってパスタだって何だって良いのです。

ずっと昔「営業を科学する」という本が出ておりましたが、
営業の基本、土台ともいうべきものがコミュニケーションです。
そのコミュニケーションのあり方こそ論理的に体系的に整理する必要があると
思っておりましたが、まさにこの「雑談力が上がる話し方」と
「伝え方が9割」こそ、コミュニケーションを科学する格好の
教科書になると思います。
また決して外すことができないコミュニケーションを充実させる雑談力をも
その何ページかを占有したものにしなければならないとも思うのです。
「営業力の強化」とか「組織力の強化」という研修を否定するつもりは
毛頭ありませんが「雑談力が上がる話し方」と「伝え方が9割」の
エキスを入れることでその中身が分厚くなり、
研修の効果がより大きく現れるものと確信致します。

第36回・準備とリハーサル

2013-12-11
弊社の70周年記念フエア&セミナー(11月13日14日)も
無事終了することが出来ました。
皆様にはお忙しいところをご来場賜りまして誠にありがとうございました。
また特に私の拙いセミナー
〜これからのビジネスマン人生をどう生きるかを考える〜サブタイトルとしての
「楽しくなければ仕事じゃないVS憂鬱でなければ仕事じゃない」に
ご参加頂きました皆様には重ねて厚く御礼申し上げます。
本当にありがとうございました。

これまでのセミナーとは異なり、今回のようにビジネスマンの云わば
老若男女を対象にするようなテーマへのチャレンジは私にとっては
至難の業でありました。
しかも僅か70分という短時間の中で分かりやすく語れるように
まとめ上げねばならないのです。
これまで70分のセミナーにはその準備には20〜30時間くらいかけて来たように
思いますが、今回のセミナーに関しての準備は無制限、とにかく自分自身
これ以上準備とリハーサルをやる必要がないと思えるまでやると決意し、
推敲を重ねて当日を迎えました。
パワーポイントは40ページ余りの原稿に単調さをなくし視聴者の
注目をひくことを目的に挿絵などの工夫をアシスタントにお願いしました。
更には私を紹介する女子社員との打ち合わせと
司会のリハーサルもやってもらいました。
三か月くらい前から休日の大半を準備にあてました。
それでも時間内に伝えきれない、でもどうしても盛り込みたいとの
思いも捨て切れず、セミナー当日の日付が変わる瞬間に思いついたのが、
言いたい部分を語り口調にせず文章にしてそのまま読むことにしたことです。
少し長いかな?と思える文章であっても、そのまま読めば
意外に時間はかからないものです。
その方が、むしろセミナーの流れに変化、メリハリをつけるという意味においては
効果的であったと感じました。

メルマガご愛読の皆様にだけ内緒で申し上げますと、
実はセミナーの後の質疑応答の一部はさくらでした。
質問が出やすいようにとの配慮というより、もう一つ理由があります。
最初の質問は「お年寄りだということを強調されておられますが、そんなに
年をとっておられるようには見えないのですが?」に対し、
先ずは「ほとんど主題とは関係のないご質問ありがとうございます」続いて
「年をとるのを忘れていたのです。実は半年前に名鉄電車で
若い女性が席を譲ろうとしたのがシルバーシートでして、
それでああ俺は正真正銘のお爺さんなんだあ・・しかも去年なのに、
一年も経ってやっと気付いたのはきっと今日も用事がある、
今日も行くところがある、セミナーの冒頭申し上げた
“キョウヨウ”と“キョウイク”ですね。
つまり、小さくてもいつも目標を持っているからだと思います」と主題を
構成するキーワードの一つ「常に目標を持つことの大切さ」につなげたのです。
続いての質問もさくらです。
「ビジネスマンとしてコミュニケーションの重要性はよく理解できましたが
その他に重要なキーワードがありましたらお教え下さい」に対しては
「実はこれについても積極的にお伝えしたかったビジネスマンにとって
外せない“人間力”についてです。
この“人間力”、これは鳥取大学のワーキングチームがまとめたもので、
人間力は気力、知力、実践力、体力そしてコミュニケーション力の五つから
構成されていて、更にそれらはまた幾つかの要素から
構成されているというものです。
この“人間力”については非常に重要かつ深いのであらためて発信致します。

話は変わりますが、早いものであと一カ月足らずで新年を迎えます。
正月には毎年、ウイーンから「ニューイヤーコンサート」が中継されます。
このコンサートにはきまりがあるそうです。
アンコール曲は3曲、しかも2曲目が「美しく青きドナウ」
3曲目が「ラデッキー行進曲」で指揮者が観客に手拍子を要求し、
一体となってニューイヤーコンサートを最高潮に導き余韻を残して終了します。
多くのコンサートでアンコールがありますが、アンコールを含め
トータルで演奏会、同様に今回のセミナーの質疑も合わせて講演会、
今回の場合は本論を補完する質疑が必要だったのです。
70分間ではどうしても伝えきれないことを質問してもらうことで
時間を頂戴したのです。
因みにどうしてもその時間に所用で参加できなかった某信用金庫の
専務理事が翌日来場され「聞きたかったなあ、それでアンコールあったの?」と
部下である支店長に訊ねておられました。
すかさず「ありましたよ、アンコールが」です。
また2,3日後、お会いした建設会社の総務部長曰く
「あの人間力の話が一番良かったですよ」と言って下さいました。
評論家ではなく実務家を標榜する私としては万が一にも
70周年記念を汚すような気持ちを視聴者の方々に持たれるようなことが
あってはならないと、これまでで最も緊張感を持ち熟慮したプロセス、
つまり準備とリハーサルに時間をかけ本番に臨むことができたと思っています。

第35回・日替わりヒーロー

2013-11-06
球史に残るような見ごたえのある感動的な日本シリーズが終わりました。
今年のプロ野球はマー君こと田中将大投手の「記録は破られるためにある」という
格言を否定するような開幕から24連勝
(昨シーズンから日本シリーズで敗れるまでは30連勝)の大記録を樹立、
まさに田中イヤーと言うに相応しい一年でありました。
マー君曰く「僕一人では成し得なかった。チームのみんなのお陰」の通り、
他の選手の攻守があったればこそは言うに及びませんが、
それにしてもここまでやるとはファンならずとも思うところでしょう。
いずれにせよ、球団創設9年目でのペナントレースに続き
日本シリーズをも制した東北楽天ゴールデンイーグルス、
宿敵巨人を倒しての優勝は感動的でありました。
同時に一昨年の東日本大震災の爪痕が深く、復興途上にある
宮城県に本拠地を置くチームの優勝には地元のみならず多くの人たちにも
同様の感動を与えたのではないかと思います。
このチームの熱狂的なファンがさまざまなコメントを残していますが
最も印象的だったのは「球団創設時は草野球チームのようだった」です。
長年プロ野球の一ファンとして感ずることの一つに、弱いチーム、低迷している
チームが強くなって行く過程では、必ずと言っていいくらい共通した
兆しが表れるということです。
こういったことはビジネスにおいてもしかりで、成績上位者10%?20%に
ランクされる営業マンはいつも同じ顔ぶれという構図が、
ある日突然中位以下だった営業マンが一人、二人、三人と顔を出すようになり、
本人も周りも「たまたまですよ」とか「まぐれだよ」とか言っていたのが、
こういうことが続くと「うん?どうした?」とか「やるじゃないか」
「力つけたねえ」が周りから聞かれるようになります。
部門、チームに、こういう変化が現れ始めた時が、確実に部門だったり
チームが強くなって行く過程の始まりなのです。

上位に初めてランクインされた時、きっと違った景色が見えるのだと思います。
これまでにない強い存在感を実感するのだと思います。
この心地よさをもう一度味わいたいにつながりますから、一層努力しまた顔を出す。
周りが認め出すと最早体たらくな成績を残せないと決意し行動が変わって
行くのです。
まさに「意識は行動を変える」です。
これまで不動の実力者と自他ともに認める人はといいますと、
どうやらまぐれでないようなもしかして本物ではないかと思ったりもします。
またニューヒーローが出現しそうな時、久々の危機感にメラメラと火が付き、
これまでの成績にプラスオンさせるべく努力をする。
もともと実力上位者ですからトップの地位を不動のものにすべく
努力を惜しまずに準備、工夫にも磨きをかけて行くのです。
結果、部門、チーム全体の底上げに拍車がかかり、
これまで想像もしなかったような成績の変化が個人、チーム、部門で
見られるようになるのです。
これまで販売部門に長く従事した私は、自らも体験し、マネージャー、
営業責任者、経営トップという立場からも「あ、今がその時なんだなあ」と
嬉しさが込み上げ幾度もほくそ笑んだことを思い出すのです。

第34回・私憤と公憤

2013-10-09
視聴率42、2%、一部では45%超えともいわれる記録的な高視聴率と言えば
TBS系連続ドラマ「半沢直樹」です。
「倍返し」「10倍返し」は間違いなく今年の流行語大賞に
ノミネートされるでしょう。
これ程までに一週間を待ちわびたこのドラマ、実はこれまで
歩んできた自称「戦うビジネスマン人生」とダブらせるに十分なシーンが
随所にちりばめられていたように思います。
私の周りでも回を重ねるごとに「半沢仲間」が増えて行きました。
最終回が近付くにつれ、どのような終わり方をするのか興味津津でした。
いよいよその最終回、そしてそのラストシーン、
期待が膨らんでいただけに頭取の「セントラル証券への出向を命ずる」という
言葉と半沢の睨みつけるような目をした顔のクローズアップに続く
コマーシャル=エンデイングには、やはり「中途半端」とか「期待外れ」、
あるいは「納得が行かない」という声が大勢でありました。

役員への道が開け、最終的には頭取という希望的観測すら一部にはあっただけに 拍子抜けといったところでしょうか。

個人的な感想を申し上げれば、正直スカッとした気分にはなれませんが、
頭取の「最後はまずかった、よく反省しろ!」の通り、
子会社であるセントラル証券への出向はやむなしとも思うのです。
半沢氏自身、その結末のすべてを承知の上での言動であるならば、
納得も行くのですが、花さんこと奥さんとの会話から察するに
本人にはまったく予期しない頭取の判断であることがうかがえます。
ビジネスに真剣に取り組めば取り組むほど、納得し難い、
承服しかねる事態に直面する場面が多くなります。
長きにわたり本気でビジネス人生を送っていると、
どうにも我慢ならない、激しい憤りを禁じ得ないシーンにも直面します。

もう20年くらい前になるでしょうか、私の最も尊敬する当時
リコートップの浜田氏から「私憤はダメだよ、公憤だよ」と
教えられたことがあります。
以来、激しい憤りに駆られても、その瞬間の感情を即座に言動に
表さないように気をつけて来ました。自分でも明らかに憤まんやるかたない
状態になっていることが自覚されることがあります。
そういう時は一時間くらいあるいはそれ以上の時間をおきます。
何に怒りを感じているのか?それは自分のためか?
公のためかを冷静且つ客観的に考える時間を持つのです。
言うまでもなく、私の怒りは私憤であり公の怒りは公憤なのです。
「半沢直樹」の最終回のラスト、これは明らかに半沢個人が思いっきり
恨みを晴らすシーンです。人のためではなく自分のためです。
一方頭取の判断はどうでしょうか?
「最後はやり過ぎ、よく反省しろ!」との叱責はまさに公憤です。
半沢個人を思ってのこと、常務から平取への降格人事は、
適役大和田氏の再起にかける期待とメガバンクとしての信頼回復のための
組織固めの強化に他ならないと思うのです。
うがった見方をすれば頭取本人を中心とする基盤強化のための
これ以上ない人事とも取れます。
また半沢氏の取締役会での大立ち回りは、日本を代表するメガバンクに
相応しくない光景です。
企業にはそれぞれに、ここまでは許せるけれどもこの一線を超えてはならない
言動に関しての暗黙の境界線があると思うのです。
言葉を変えればその企業なりの品格を備えていなければなりません。
私は現役時代、この品格についてしばしば
「俺が品格のボーダーラインだ、俺を下回ってはならない」と言っておりました。

第33回・TOKYO2020

2013-09-11
2013年9月8日未明、ブエノスアイレスでの国際オリンピック委員会総会で
2020年東京開催がジャック・ロゲ会長から発表されました。
実はその前日、テレビを点けっぱなしにしたまま眠ってしまい、
良くあるケースですが、テレビの音量で決まったように途中で目覚めます。
飛び起きるのも当たり前、耳に飛び込んできたのは「東京最下位」の
アナウンスです。一瞬、予期せぬ言葉に耳を疑い画面に目を凝らすと、
それはこれまでのオリンピックの日本誘致へのチャレンジを振り返る
一シーンだったのです。
時刻は二時を少し回っていたように思います。
画面左隅に五時決定とあったので録画に切り替え眠り直しました。
いつも何かを気にしながら眠りにつく時は、比較的タイミング良く目覚めるもので
この日も再び目覚めた時刻は四時ごろで、画面の右上には
「東京か?イスタンブールか?」とあります。
接戦ならマドリードと勝手に思っていた相手はイスタンブールでした。
こうなると、最早録画で歴史的瞬間を後でゆっくりなんて気持ちは消え失せ、
リアルタイムでこの目で確認したい、眠る訳には行くまいと決めたのです。

発表のまさにその瞬間、会場にいる日本の関係者の歓喜に沸く映像、
猪瀬知事、安倍首相、多くのアスリート、中でも太田選手の号泣の姿は
涙を誘うには十分過ぎました。
安倍首相、猪瀬東京都知事のコメントも素晴らしく、安倍さんは
「関係者のだれか一人欠けていてもこの招致は成功していなかった」であり、
猪瀬知事は「チーム東京というチームワークの勝利です」と何ヶ月か前、
自ら招いた失言を挽回するに十分なコメントでした。
お二人のコメントの通り、IOCの委員でもある竹田恒和氏、政治家、経済人、
アスリート、そして皇室と、それぞれの立場での活動が勝利を
呼び込んだものと思っています。
力強く説得力のある太田選手、さわやかで好感の持てる佐藤選手も
最高のプレゼンでした。
一体どれだけの練習をしたらあのような素晴らしいプレゼンが
出来るのだろうかとも思ったものです。

一人ひとりが自分の役割をよく認識し、絶対に失敗が許されない世界の大舞台で、
確実にそれをやり遂げ視聴者、IOCに感銘を与えるため、筆舌に表せない熱意、
努力、苦労が大輪の花を咲かせたということには間違いがないと思うのです。
「チーム東京」を「チーム○○」と私達のチームに置き換え、
彼らの熱意、努力、苦労を見習いたいものです。
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