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大下智のビジネスコラム

弊社常務・大下智・略歴

(株)リコーの国内マーケティング部門において40年以上のキャリアを持つ。
マネージャー
としては、福井リコー敦賀営業所所長を皮切りに、以後
同社営業部長、兵庫リコー営業本部長、岐阜リコー社長、愛知リコー社長、
リコー販売事業本部副本部長、リコー中部社長などを歴任。そのいずれもを
リコーグループのトップ会社へと牽引し、2004年にはダイヤモンド誌の
「日本の営業40人」に選出される。
また、現在、出身地・福井県若狭町のふるさと大使としても活躍中。
                 著書に自身の体験を綴った『リーダーの覚悟』が2018年3月26日発売。

大下智のビジネスコラム【――素描――】 バックナンバー

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第70回・中小企業の70%は赤字経営をしている

2016-10-12
 
全企業の95%は中小企業です。うち黒字経営をしているのは30%に過ぎず、
毎年中小企業の約70%が赤字経営をしています。
黒字経営ですとか赤字経営ですと表現せず、黒字経営をしている、
赤字経営をしていると表現しているのは意図的に赤字経営をしている
企業があるということです。
零細企業、比較的小規模の企業の場合、会社=社長の色あいが濃く、
法人税とか所得税を計算しながらの決算書があがることが多いです。
既報のコラムでも触れましたが、2001年に「赤字企業は罪悪だ!」という
内容のセミナーの講師経験があります。
現役時代、経営を任されていた期間に止まらず、退任後も、関わる企業が
絶対赤字になってはならないという強い拘りを持ち続けています。
「赤字企業は罪悪だ!」という気持ちを持ち続け様々な取り組みをしています。
その中の最も大きなテーマが人財育成です。
最初の販社では、ディラーのセールスだけではなく、トップまでをも
対象にした勉強会にそれぞれ参加してもらいました。
自社内では、全社員を対象に、職種別に「職務能力検定制度」を創り、
職種毎に、試験内容を組み立て、上位より1級、2級、3級の三段階に分け、
級に応じた手当を給与に付加して、向上心を高揚させました。
これがリコーの社内機関紙に紹介され、2年後、国内販売の正式な
試験制度となり、現在もRDP試験制度として毎年1万人以上が受験しています。
私が創ったと知っている人はほとんどいないのが、ちょっぴり寂しいですが・
このコラムを見て「ええっ!そうだったの?」と気づいてくれる人が
いたら嬉しいです。
私の知る限り、中小企業においては、研修にお金をかける企業は少ないです。
即効性に乏しいことには躊躇してしまうのです。
弊社においては、この数年随分増えました。
自社内で行う各種勉強会、外部教育機関を使っての各種研修などです。
「何故そんなに研修なんですか?」に答えるべく、
下期の初日(10月3日)に話した骨子を記します。
高度成長期は、行きさえすれば売れた
インターネットが普及して、売り手側と買い手側の構図が逆転した
力関係が逆転したとも云える
買い手市場になったということ
単に供給>需要と云うことではない
かつては専門家が素人に売っていたが、買い手が素人でなくなった
インターネットでモノの機能、性能、使い勝手、価格まで瞬時に
把握できるようになった
モノの販売は価格競争に追い込まれるようになった
だから一人ひとりが専門家にならねばならない
自社の商品に限らず
顧客の業務にとどまらず、顧客の顧客までをも考える必要がある
世の中、業界の見通し、トレンドも理解しなければならない
これらすべてを会社で準備はしきれない
会社の中での研修だけではダメだということ
自分を成長させるための投資をする必要がある
自分への投資とは何か
① 自分の成長のためにお金を使う
② 自分の時間を使う
③ 自分の労力を使う
           以上です。
冒頭、中小企業の70%は(意図的にも含めて)赤字経営を
していると云いました。
ほとんどの業界で供給>需要の構図となり、またインターネットによって
瞬時に伝わる情報など、広い意味でのマーケッテングに大変化が
起きているのです。
もはや「赤字経営を意図的にしている」なんてたかをくくっていたら、
「本当に赤字経営になって」しまい、やがてはマーケットから退場という
ことにもなりかねないのです。
 

第69回・「そこそこ文化」からは何の感動も生まれない

2016-09-07
感動、感動のリオオリンピックが終わりました。
メダル獲得数(史上最高の41個)が物語る通り今回のリオ五輪では、
日本人選手の大活躍が目立ち、様々な競技で、多くの選手から
大きな感動をもらいました。
また指導者如何で、大きく変わるということも再確認できた
オリンピックでありました。
それを象徴するのが、井村雅代氏率いるシンクロナイズドスイミングであり、
井上康生率いる柔道男子です。
井村氏という指導者を失い、お家芸とも云われたシンクロは
10年近くも陰を潜めたままでした。
また井上康生氏は監督として、東京オリンピック以来となる全階級
(7階級、因みに東京は4階級)でのメダル獲得を果たしました。
体操日本の強さを見せ付けた体操団体男子の大逆転劇による金メダルは
まさに奇跡的であり、名将栄和人氏率いるレスリング女子の金メダルの
量産は圧巻でありました。
金メダルより輝くメダルはありませんが、卓球団体男子の銀メダル、
水谷選手の銅メダル、福原愛を主将とする卓球団体女子の銅メダル、
史上初のテニスでの銅メダルの錦織選手、また世界のスプリント、ボルトに
迫る400メートルリレーでの銀メダルも十分に輝いています。
惜しくもメダルに届かなかった入賞者、あるいは入賞を逃した選手も
本当によく健闘したとも思っています。
このコラムで強調したいのは、例えば「金メダルをどうしても獲る」という
強い意志、種目によっては「色にはこだわらないがメダルを!」
あるいは「入賞を果たす!」という、それぞれの競技に応じての高い目標を
持って本番に臨む姿勢と十分な準備があり、その結果が、たとえ、メダルを逃す、
あるいは惜しくも入賞を逃すことになったとしても、何ら責められることは
ないということです。
自身の長年の現役時代を振り返るとき、まったく同様のことに気づきます。
これまでのコラムでも触れたことがありますが、R社の全国販社評価制度において
「中型16社、大型14社、統括8社」の各コースそれぞれで、
一度だけではありますが、一位を獲得しました。
この結果は「絶対一位を獲る!」という強い想いだけではなく、一位に向かっての
明確なプロセスを、幹部以下全社員が理解し、着実に実践した賜物なのです。
仮に、「できるだけ上位に」「なるだけ良い会社」になどと、あいまいな
目標だったとしたら、一位はおろか、上位にランクされることすらなかったと
言い切れます。
世の中の中小企業では「うちはそこそこの会社で良い」と云うトップ、幹部、
社員のいる会社は少なくありませんが、そういう会社のほとんどは、
いつまで経っても「そこそこ」からも程遠い状態が続きます。
はじめに「こんな会社にする!」という経営トップの強い意志があり、
それが隅々まで浸透し、一人ひとりが主体的に役割を実践し、
検証の繰り返しが、目標到達を可能にし、同時に大きな感動をも
共有することができるのです。
とても困難とも思えるプロセスを経て、仮に目標に届かなかったとしても
「そこそこ以上の会社」には間違いなく近づいており、会社も、社員も
成長のスパイラルアップに入っているのです。
最初から「そこそこの会社」を目指して「そこそこの会社」になんて、
世の中甘くはないのです。
「戦後の復興」「高度経済成長期」を経て「ゆとり教育」の影響か、
価値観の大きな変化で「そこそこ文化」が蔓延ったとも思うのです。

第68回・~300年先を考える男が3000年前に学ぶ~その1~

2016-08-10
【第68回・~300年先を考える男が3000年前に学ぶ~その1~ 】
 
3.3兆円のM&Aを「たかが3兆円」といとも間単にやってのけた
ソフトバンクの孫正義、実は10年も前から狙っていたと云います。
 
昨年、後継者としてグーグルのニケシュ・アローラをヘッドハントし、
それから一年あまりで続行宣言、結局アローラ氏は退任しています。
どうしても、やりたいことがあった。
それが英半導体設計大手ARMの買収だったと云います。
今回のM&Aについての世間の評価は、必ずしも芳しいものではありませんが、
それらは孫正義の経営者としての本当の力を過小評価しているとしか
私には思えません。
 
孫正義は天才、これに異論を唱える人はいないと思いますが、
その天才が、信じられないほどの猛勉強と、驚くほどの努力を
積み重ねています。
そのさまが孫正義の成功哲学「孫の二乗の法則」と「志高く孫正義正伝新版」に
詳しく記されています。
 
後継者指名と撤回、そして今回の超大型買収を瞬く間に成し遂げてしまった
この一連の出来事の背景も含めて、この二冊が見事に納得させるに
十分な内容で描き切っています。
 
孫正義は歴史上の多くの人物から学んでいます。
古くは紀元前の孫武(孫氏の兵法)、二宮尊徳(猛烈な勉強)、
織田信長(長期作戦計画)坂本竜馬(開国維新)渋沢栄一(日本の近代化)他、
カーネギー、松下幸之助、本田宗一郎といった錚々たる先人から学び、
孫正義の哲学を完成させているようです。
 
そもそもこの「孫の二乗の法則」は「孫子の兵法」+ランチェスター戦略
それに孫正義の経営実践&哲学を合算して作ったと云いますから大いに頷けます。
 
ところで、彼は何と19歳のときに、以下に記す「人生50年計画」を立てています。
20代で、自ら選択する業界に名乗りを上げ、会社を起こす。
30代で軍資金を貯める。軍資金の単位は、最低1000億円。
40代で、何かひと勝負する。1兆円、2兆円と数える規模の勝負をする。
50代で事業をある程度完成させる。
60代で次の世代に事業を継承する。
 
彼はこの8月11日、明日59歳の誕生日を迎えます。
50代の「事業を完成させる」は、既に売り上げ規模で9兆円を超え、
目標は達成していますし、前述の通り、60代を目前に控え、
継承すべく後継者を指名しました。
 
ご承知の通り1年余りで事業継承を撤回しますが、実はこのことも決して
彼の哲学から外れてはいないのです。
25文字からなる「孫の二乗の法則」の一文字「一」へのこだわり、
つまり一番以外はすべて敗北に等しいという考え方に基づいての行動なのです。
 
「ビジネスの現場における闘いは最後の仕上げであって、実際に火蓋が
切られる前に、戦いの九割方は終わっている。
フォーメーションの段階で、~ああ、もうこれで勝てるな~という
構えをやり終えているべきである」
今回のARM買収のずっと以前に公言しているこの言葉こそ
「これを成し得ることが出来るのは孫正義自身」と自らが悟り、
事業継承宣言を翻した理由と思われるのです。
 
実は14年前、ソフトバンクと若干の取引があり、当時の名古屋支社長の
計らいによりお会いした経緯があります。
小柄で穏やかな表情と飾らない語り口、人間味あふれる魅力的な
好人物というのがその時の率直な印象です。
 
その同一人物が、
「5年後、あるいは10年後に、間違いなく世界のIT産業を制する日が来る」
と思うと、何かわくわくするのです。
 
追記
当コラムのこだわりの一つに「文字数は1300~1400」があります。
~その2~に続きます。

第67回・3年先のアポイント

2016-07-06
「成功者は皆ポジティブ」である。「経営の要諦はスピード」。
返事は「ハイ、解りました」ではなく、「ハイ、すぐやります」に。
「実践行動こそ総て!!」上記は「成功するまでやり続ける」の
著者高井法博氏が主宰するTACT経営研究会の2016年度目標を記した
ポスターの一節で、年初に先生から頂いたものです。
 
高井先生から「平成28年の9月17日、あけておいて下さいね」と言われたのが、
今から3年前のことです。
何と3年も先のアポイントを取られたのです。
芸能人ならともかく、3年先の予定などほとんど未定です。
よほどのことがない限り「かしこまりました」しか選択肢はありません。
因みに10年ほど前には“25年カレンダー”を勧められたこともありました。
 
先日、再確認ともいうべき案内状が届きました。
「創立40周年記念感謝のつどい」です。先生が古希を迎えられ、是を機に
所長を後継に引き継ぎ、念願の私財を投じた奨学金制度の設立の
お披露目を兼ねる記念すべき日なのです。
 
そもそものお付き合いは2001年に、無謀にも、顧問先150社のトップを前に
「21世紀、したたかに生きる」というテーマで、たっぷり二時間の講演を
受けたのが始まりです。
 
飲み友達の、当時メインバンクの支店長の超アバウト且つ軽いノリで薦められ、
「まあ拙い話で良ければ・・」とあいまいに応えたようですが、翌日、事務局長から
「ありがとうございます。早速講演会の打ち合わせをお願いします」と
言われたのには「ええっ!講演会?」と返すのが精一杯でした。
酒の席で、しかもいつか分からないようなずっと先の話とはいえ、受諾したと
思われたならやるしかないと覚悟を決めました。
早速本番に向け、構想を練り推敲を重ねたのは言うまでもありません。
 
弊社の今年度、経営の最重要課題は営業変革です。
その内の一つが、アポイントを取っての訪問です。
 
昔のように夜討ち、朝駆けの訪問は皆無です。もっとも、今、そんな
営業していたら、昔のように、「よく来てくれる、熱心な営業マンだ」などと
褒めて頂けるどころか「人の都合も考えないいい加減な奴だ」と
叱られるのがオチです。
 
「仕事とはお役立ち」を標榜する弊社としては、少なくともお客様にとって、
その面談を有益と認めて頂かねばなりません。
 
以下にアポイントをとって訪問する際、気をつけている
チェックポイントを記します。
 
面談の目的を明確にします。
面談のキーワードは“私”ではなく、常に“あなた”です。
“あなた”を理解して、はじめて“私”が理解されます。
したがって資料、ツールなどは
汎用ではなく“あなた”の個別事情に合わせたものを準備します。
“あなた”の会社、業界、関心事の事前リサーチが必要になるのです。
 
たかがアポイント、されどアポイントです。
このアポイントこそが、何をする場合においても”周到な準備“をせざるを
得ない状況を創り出し、自らを著しい成長へと導いてくれる最も効果的な”
実践行動の積み重ね“の始まりなのです。
 
前述した平成28年の9月17日の前日16日は、母校(若狭高等学校)の
同年次800名の同窓会が若狭で開催されます。
先日、「久々にゆっくり旧交を温めようや!」と誘ってくれた友人もいますが、
早朝には後ろ髪を引かれながらも、3年前にアポイントを取られた
「創立40周年~」を想像しながら会場である岐阜グランドホテルに向かうのです。

第66回・「第三者の厳しい目で~」が流行語大賞にノミネート?

2016-06-08
およそ二時間半の都知事の定例記者会見、その二時間近くが、
政治資金の使途疑惑の釈明に費やされました。
その釈明に何十回「第三者の厳しい目で・・」が使われたことか・・・
 
海外出張時のファーストクラスの利用、ホテルのスイートルーム宿泊など、
条例が定める上限を大きく上回っての海外出張に対する批判、
ほぼ毎週末、湯河原にある別荘への公用車使用に始まる公私混同批判が
この騒動の発端でありました。
 
「遊び回っている訳ではない」
「体調管理も知事の大事な仕事。全てルールにのっとっている」
などと強気な釈明に対し、私の判断基準とは大きな差があると感じつつも、
東京都知事ともなれば、激務をこなすには百歩譲って許される範囲なのかも
知れないと、思いもしましたが、その後の次から次へと続く報道には愕然としました。
 
これが政治学者としての資格を持ち、国会議員、厚生労働省大臣としての
功績を残された経歴を持つ同一人物の行動なのかと理解に苦しみました。
 
都民に寄り添う政治を目指すと公言して当選した知事、その同一人物が、
今、ほとんどの都民から「信用ならない」と云われています。
国民、都民のために存在する政治家、都知事、その役割を果たすための
原資は血税で賄われています。
 
企業のトップ、経営者の場合、今回の一連の騒動とは同一ではありませんが、
自らの言動に対し、厳しく律しなければならないという点では同じです。
 
私の危うい体験事例を記します。
債務超過会社を黒字化、黒字体質にしたのが評価されたのか、次に任された
販売会社は一気に東京、大阪に次ぐ愛知で、人員規模も156人から、
いきなり680人の社員を擁する大型販社です。
 
出勤初日、管理本部長から誠に便利で結構なものを渡されました。
「法人カード」です。会社の銀行口座から引き落とされます。
お客様と食事した時、お客様とゴルフをした時など、
そのカードを使うと便利です。
幹部や、社員との打ち合わせ、慰労などを目的にした食事代などにも使えます。
 
ですが、使い始めて何日も経たないうちに迷いが生じました。
「これは明らかに仕事」「仕事といえば仕事、でもプライベートの部分もある」
わずか一ヶ月の間でさえ、使用に躊躇するケースが度々あり、私の性格上、
このまま持ち続けて良いのか?プライベートを「7割」と感じても
「8割」と感じても、挙句は「9割」感じたとしても、ひょっとして
使ってしまうのではないかという不安に陥ったのです。
 
日が経つにつれ、その判断基準も、自分の都合の良いように
緩んで行くのではないか、それなら、緩まない内に「法人カード」を
持たないことが一番と、管理本部長に「その想い」を告げ、返却しました。
その管理本部長「ありがとうございます!」と、半ばひったくる様に
(そのように感じた?)受け取ってくれました。
私の心の弱さを見抜いてくれたのでしょう。
 
もしあの時、自ら返却したいとの申し入れをしていなかったら、
今の自分はなかったのではないかと思います。
 
特にトップの判断基準というのはだんだん自分の都合の良いものに
変わって行きます。
そういう意味で今回の一連の騒動は、実に良いケーススタディの
題材になったと思うのです。
唯一、自分を律する自らの厳しい判断だけが
「第三者の厳しい目で・・」というフレーズを不要にするのです。

第65回・「クレッシェンド人生」に生きる~今日の自分を明日のあなたへ~

2016-05-11
「ホントに大下さんはお元気ですねえ、お幾つになられました?」
そう聞かれることが多いです。
その度に「おかげ様でずいぶん大きくなりましてねえ」とか
「女性と老人に歳を聞いちゃあいかん」と、冗談まじりにはぐらかしたり
することもありますが、別段隠している訳ではありません。
ですが、あることをきっかけに年齢だけではなく、自分の生き方について
(もちろん人を選びますが・・)話したいと思うことが多くなりました。
あることというのは、「青春の詩(サミュエル・ウルマン」を知ったときです。
 
ご承知の通り、敗戦後まもなく昭和天皇が日比谷の占領軍司令部に
マッカーサー元帥を訪問されました。
その際、天皇陛下がマッカーサーと並んでツーショット写真を撮られましたが、
その部屋に掛けられていた詩がこの「青春の詩(英文)」なのです。
 
そもそもこの詩、アメリカではそれほど有名ではなかったそうで、
ある日本人(岡田義夫・元東京毛織OB)が見つけ、感動し、漢詩調に翻訳しました。
これが松下幸之助の眼に止まり、一躍有名になったと云います。
 
以下にその和訳の一部抜粋、続いて漢詩調に書き下ろしたものを記します。
青春
青春とは人生のある期間を云うのではなく心の様相を云うのだ。
優れた創造力、逞しき意志、炎ゆる情熱~中略~安易を振り捨てる冒険心、
こういう様相を青春と云うのだ。年を重ねただけで人は老いない。
理想を失う時に初めて老いがくる。
歳月は皮膚のしわを増やすが、情熱を失う時に精神はしぼむ。
年は七十であろうと十六であろうと、その胸中に抱き得るものは何か。
~中略~
小児の如く求めてやまぬ探究心、人生への歓喜と興味。
一部難しい言葉は割愛しましたが、次の漢詩調が、簡単明瞭で馴染むかと思います。
 
人は信念と共に若く、疑惑と共に老ゆる
人は自信と共に若く、恐怖と共に老ゆる
希望ある限り若く、失望と共に老い朽ちる
 
この「青春の詩」に接し、深い共感と素晴らしい感動を覚えると共に、
ごく親しい友人にしか話してない、不肖私の目指す「クレッシェンド人生」に
自信を深めました。
この「クレシェンド人生」という言葉、調べてみますと、既にある
バイオリニストが使っていたり、このコラムでも度々登場するコヴィ博士
(七つの習慣の著者)も使っています。
因みにコヴィ博士の場合は「定年までの人生を精一杯生きる」と
「老後をゆったりと過ごす」という二者択一ではなく、第三案の生き方は
「ミッションがある限り精一杯生きる」です。
 
偉そうに言ってはみても私の「クレッシェンド人生」、元はと云えば
PPK(ピンピンコロリン)を転じてのモノ、歴史は浅くて狭く、
せめて関わる会社に少しでも貢献できれば、そして接する人達の方向を決める
きっかけになるのであれば、それ以上の喜びはないという極めてシンプルな
生き方です。
そのためにも、受身ではなく、常に新しい情報を自ら求める姿勢を貫いて参ります。
 
追記
蛇足ながら「クレッシェンド」とは譜面で < で表す「音をだんだん大きく」です。
これに対し > は「デクレッシェンド、だんだん小さく」です。

第64回・笛吹けど踊らぬ部下が唄うたい

2016-04-13

ご存じ「サラリーマン川柳」に見事選外となった自信作の句です。
生保のお姉さんにおだてられ十数句応募し、全く自信がなかった句
「父さんのようになるよと子を脅し」が入選しました。
もう20年近くも前のことです。
どうやら、上から目線か下から目線なのかが判定の差だったようです。
 
この「上から目線」、決して良い意味で使われることはありませんが、
組織を運営して行く上では、むしろ必要不可欠なキーワードと云えます。
それも、うんと上からの目線「山の頂上からの目線」つまり全体を俯瞰する眼を
持たねばならないという意味での目線です。
 
組織のリーダーの資質として必要なものに欠かせないのが、何より先ず
「真摯さ」それに人間力、器量などが続きます。
一方、長年にわたる現場での経験からは、組織を運営して行く上での
最も重要な資質は、「全体を俯瞰する眼を持っていること」であると学びました。
 
とかく小人数のチーム、部門の場合、リーダーはそれぞれの責任の範疇で
戦略、戦術を考えがちになります。
でありますから、それらが果たして全体最適を満たしているか、
ひょっとして個別最適になってはいないかどうかを検証する必要があります。
この検証こそが仕事を進めて行く上では決して外してはならない
プロセスなのです。
 
リーダーが上位職であればあるほど、結果に対する責任は重いのは
当たり前であり、下位職の立案する戦略、戦術が全社方針に合致しているか
どうかを見極め、指導することができなければ、その存在価値はないに
等しいと云っても過言ではありません。
 
更に、トップマネジメントの立場では、組織全体に止まらず、その組織を
取り巻く環境の変化を先読みし、近視眼的な戦略になってはいないかどうか、
中長期的な視点を外してはいないかなども考える必要があります。
これが、コビィ博士(七つの習慣の著者)の云う「山の頂上からモノを見る力」、
つまり「俯瞰力」と私なりに解釈しているのです。
 
上場企業では、株主からの短期的な評価を気にするあまり、自らの保身が
頭をよぎり、中長期的な課題を先送りするといったケースが少なくありません。
かつて自身が身をおく職場にあっても、短期的な戦略、結果に対する評価に
偏りすぎ、中長期的な戦略の社内評価を上げるべきではないかとトップへ
具申した経緯があります。
幸い、モノが言える風通しの良い職場環境でありましたから、お手打ちに
ならずに聞き入れられはしましたが~。
通常、こういったケースはごく稀であり、おそれながらと物申すには
相当な勇気が必要で、受ける経営トップにはかなりの器量の大きさが求められます。
 
かく云う私がトップを務めていた現役時代、
「自由に物を申すことができる雰囲気を醸し出そう」と心がけていた
つもりでしたが、現役引退後、気の置けない元部下に尋ねてみますと
「とんでもないです。言える訳ないですよ」との返答に愕然とし、
続いての
「でも言葉を遮るほどではなかったですよ。一応話は聞いてくれましたから」に
ホッと胸をなで下ろしたものです。
 
今回のテーマである川柳を気に入ってくれているT社役員でもある
恐妻家のAさんに「ウチのカミさん向けにいい川柳ないですかね?」と
言われたので「聴きなさい!そう言う貴女はよくしゃべり」と返しました。
そう云えばAさん宅の経営者は奥様でありました。

第63回・支配する側、される側

2016-03-09
「目のつけどころが違う」吉永小百合を起用した液晶パネルの
CMが非常に印象的です。
私のシャープに対するイメージは「目のつけどころが違う」
画期的な新製品開発に長けている優れた企業という印象です。
古くはシャープペンシルです。
世界で初めて世に出た、まさに目のつけどころが違う企業を象徴する
製品と云えるでしょう。
 
その100年以上の歴史を持つ老舗シャープが海外企業に買収されます。
買収元はホンハイ精密工業(台湾)です。
契約寸前、そのホンハイから契約延期の申し入れがありました。
新たな債務が発生する可能性ありという重大情報の精査に時間を
要するというのがその理由です。
2012年に第三者割り当ての受諾を一方的に反古にした経緯もあり、
シャープ内部では根強い不信感があります。
そういう経緯を踏まえ、今回は1000億円の保証金を差し入れていますから、
よもや契約が流れることは考えられません。
既に3500億円の支援を提示していた産業革新機構は撤退し、買収によって、
大手銀行のリスクは大幅に軽減されることに変わりはないのです。
 
今回のメルマガでは、すんなり契約ができるのかとか、買収金額に
変更があるのかなどを推測するのが目的ではありません。
ホンハイ精密工業という会社はメーカーではなく、アップル、ソニー、
任天堂などといった世界の名だたる大手メーカーから受託生産をする会社です。
いわゆる下請け会社です。そういう会社がものづくり先進国日本の
100年超の歴史を持つ老舗メーカーを買収するのです。
 
ホンハイは下請けではありますが、その存在価値は絶大で、
ホンハイなくしては、大きな痛手を蒙るメーカーも出て来ると云い、
仮に発注元の企業の業績が芳しくなくなったとしても、ホンハイの
経営が揺らぐことはないと云います(当社会長談)。
 
そもそも、世の中は支配する側、される側に分かれることが多いです。
ビジネスの世界においては、必ずしも二分されるということではなくとも、
支配する、あるいは、支配される度合いで、ビジネスが優位に
進むかどうかが決まります。
ホンハイとは業界も形態もまるっきり異なりますが、我々と同じ業界では、
ディラーでありながら、仕入先であるメーカー同等、あるいはそれ以上の
支配力を持つ商社があります。
16年前、東証の一部上場を果たしたO商会です。
メーカーRの製品を年間1億円以上取り扱う販売店が全国に400店近くありますが、
このO商会の年商は6000億円ですから、まったく別格です。
 
現役時代、新装なった10階建ての本社ビルで、両社のトップを始めとして
経営幹部が100名くらい集う会議に出席したことがあります。
議題は、販売戦略はもとより新製品開発などにも及びます。
O商会の仕入先はRだけではありませんから、メーカーに支配される度合いよりも、
支配する度合いの方がはるかに上回っています。
 
量販店は云うに及ばず、あらゆる分野で同様の構図が見られますが、
いずれの場合も双方にとっての存在価値の大きさが支配力の度合いを決めます。
 
そして何より、独占企業でない限り、最も強力な支配力をもっているのが、
それら製品を選択する権利を有する消費者であります。
 
消費者に選ばれ続けるための最重要課題は、CS(顧客満足)活動、
更にはCD(顧客感動)活動を抜きにしては考えられません。
70周年を超えた弊社、今後も皆様にご指導頂きながら、
地道なCS活動はもとより、CD活動を目指した事業展開に挑んで参りますので、
引き続いてのご支援を賜りますようお願い致します。

第62回・二兎を追うものは二兎を得る

2016-02-10
 
真綿色したシクラメンほどすがしいものはない~
ご存じ布施明が唄って大ヒットした「シクラメンのかほり」は
自身も唄う小椋桂の作詞作曲です。
 
日本経済新聞の「私の履歴書」から、彼の生き方などに関し、
以下想うところを記します。
彼は東大法学部を卒業後、日本勧業銀行(現在のみずほ銀行)に入行し、
海外勤務を経たあと浜松支店長、本社財務サービス部長などの
要職に就き目覚しい働きをしています。
同時にソングライターとしての活躍は、冒頭の布施明、中村雅俊(俺たちの旅)
梅沢富美男(夢芝居)堀内孝雄(愛しき日々)美空ひばり(愛燦燦)等、
一流、超一流のアーティストに提供していることでも広く知られています。
回を追うごとに、仕事とソングライターとしての活躍に、こんなに凄い人が
世の中にいるのかと感嘆させられるシーンが度々でした。2-
「天才が努力すると、とてつもないことをやってのけられるのだ」が、
最終回を読み終わった今(1月31日早朝)の偽らざる感想です。
 
彼は昨年、一周忌コンサートをやり、その前年には
生前葬コンサートをやっています。
自身が葬式と称する生前葬コンサートは四日間ぶっ通しで12000人を
魅了と云いますからそのタフさとプロ根性には脱帽です。
 
私の持論の一つに「趣味をとことんまで追及する人間は
仕事(ビジネスマン、リーダー、経営者など)では一流にはなれない」が
ありますが、その持論は彼によって見事なまでに打ち砕かれました。
よくよく考えてみますと、もう一つの仕事(音楽)を一方の
本業(銀行マンとしての仕事)に見事に生かしているということではないかと
思うのです。
実際、支店長時代、年間50回を数える講演を引き受けています。
顧客の立場では小椋佳の話を聞いてみたいと思うのは当然だと思いますし、
支店長、小椋佳の立場ではお客様に喜んでもらえるなら、喜んで
それに応えるのは当たり前のことです。
つまり、顧客のWIN、支店長としてのWINの構図がどんどん
膨らんで行くのですから、間接的に仕事につながって行くのも頷けます。
あのお堅い銀行の幹部がよく副業を許したとも感心しますが、
直属の上司が許し、あるいは黙認し、最終的にはメディアに出ないことを
条件に認めました。
 
あの顔が世の中に知れ渡るようになったのはNHKからのオファーで、
「かたくなに顔を見せようとしない小椋佳は不遜だ」との声が大きくなり、
やっと銀行幹部も認めざるを得ない状態になった経緯があります。
二兎を追う人生に拍車がかかったのは云うまでもありません。
更に本来の仕事、銀行マンとしての仕事に磨きがかかり、当然のことながら
地位も確立されて行きました。
 
二年前から、これぞ経営者研修の最高峰と惚れ込む
「十八か月間経営者養成研修」のカリキュラムには読書はもとより、
音楽、美術鑑賞、囲碁、詩吟、般若心経と様々な分野までもが
盛り込まれています。
仕事とはまるで無関係に思える分野からも経営者としての
素養に磨きがかかるというのです。
 
そう云えば、フィギュアスケートの世界歴代最高得点記録保持者で
世界ランキング一位の羽生結弦選手が狂言師野村萬斎から
表現の極意を教わっています。
二兎を追うものは一兎も得ずではなく、二兎を得るためには
二兎を追わねばなりませんが、秀でた才能があって、双方に活かす
才覚、執念、人並み外れた努力を積み重ねる覚悟なくしては
二兎を追ってはならないのです。
 

第61回・叱れない上司は部下を不幸にする

2016-01-13
 
「叱る」より「褒めよ」という時代の流れの一つなのか、
部下を叱らない、叱れない上司が増えているように思います。
ここは部下のためにも明らかに叱るべき、叱らなければならない場面と
思える時でさえ、部下に遠慮するのか、嫌われたくないのか
注意すらしない上司を見かけます。
 
云うまでもなく上司の重要な役割の一つに部下を成長させる責任があります。
称賛に値する努力、行動、結果などに対して、褒めることはもちろん
志気を高め、更に成長へとつながる行動に駆り立てます。
一方、見逃すことができない失敗に対しては、同じ過ちを
二度と繰り返さないよう、時間を置かず注意し、その程度によっては
厳しく叱るべきです。

叱られることで、チームだったり、部門、会社、あるいはお客様にどのような
影響を与えたのかといった、事の重大性に気づくことだってあるのです。
失敗という事実を認識させると同時に、それがどういう過程で
生じたのかなどを検証し、同じ失敗を繰り返させない絶好の
ケーススタデイを活かすチャンスなのです。
どんな勉強会、研修会をも、はるかに凌ぐ成長を促す場面でもあります。
 
私が親しくさせて頂いている「成功するまでやり続ける」の著者高井法博氏の
事務所には上司への戒めが張り出されており、その一つとして
「口うるさい上司になれ!」があります。
また「鬼とならねば部下は動かず」や、著者曰く、何と私自身も登場している
ページがある最新作「ザ、鬼上司」の著者染谷和巳氏は約10冊の
「鬼シリーズ」のベストセラー作家でもありますが、お二人の共通の主張は、
部下のために厳しく接することができる上司になりなさいです。
 
因みに、長年にわたるビジネスマン人生、その中でもマネージャー、
リーダーを務める30年余りの期間、私をうるさい上司、鬼のような
上司と評する人達は少ないと思います。
どちらかと「言えば気軽に話ができる優しい上司」という評価をしてくれる
部下が多かったと勝手に思っていますが、「非常に厳しい上司」と
感じていた部下も少なくないです。
「非常に厳しい上司」の一面を持つという評価は、まさに我が意を得たりで
大納得で嬉しい限りです。
ずるい部下の言動に対しては非常に厳しいです。
そのことに気づき、二度と同じことを繰り返さないとの反省が見えるまで
諦めません。
ですが、部下の失敗に対しては、その瞬間は一喝することはあっても
失敗そのものの責任を厳しく追及することはありません。
その失敗の大きさ、周りに与える影響の大きさを考えさせます。
同時に失敗の原因は何なのか?その過程に問題はなかったのか?同じ失敗を
繰り返さないために今後どうしたら防ぐことが出来るのか?を
考えさせることに関しては極めてしつこく厳しいのです。
 
そして最後は「もう済んだことだ。もういいよ!」で終わります。
こうして確実に部下が成長して行くという手応えを得ます。
なのに、せっかくの失敗を、成功に活かす千載一遇のチャンスを逃してしまう上司、
部下を成長させようとの覚悟を持って接することをしない上司が
あまりにも多いのが大いに気がかりです。
結果、部下の成長を妨げることになり、部下を不幸にしてしまうのです。
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