本文へ移動

大下智のビジネスコラム

弊社常務・大下智・略歴

(株)リコーの国内マーケティング部門において40年以上のキャリアを持つ。
マネージャー
としては、福井リコー敦賀営業所所長を皮切りに、以後
同社営業部長、兵庫リコー営業本部長、岐阜リコー社長、愛知リコー社長、
リコー販売事業本部副本部長、リコー中部社長などを歴任。そのいずれもを
リコーグループのトップ会社へと牽引し、2004年にはダイヤモンド誌の
「日本の営業40人」に選出される。
また、現在、出身地・福井県若狭町のふるさと大使としても活躍中。
                 著書に自身の体験を綴った『リーダーの覚悟』が2018年3月26日発売。

大下智のビジネスコラム【――素描――】 バックナンバー

RSS(別ウィンドウで開きます) 

第67回・3年先のアポイント

2016-07-06
「成功者は皆ポジティブ」である。「経営の要諦はスピード」。
返事は「ハイ、解りました」ではなく、「ハイ、すぐやります」に。
「実践行動こそ総て!!」上記は「成功するまでやり続ける」の
著者高井法博氏が主宰するTACT経営研究会の2016年度目標を記した
ポスターの一節で、年初に先生から頂いたものです。
 
高井先生から「平成28年の9月17日、あけておいて下さいね」と言われたのが、
今から3年前のことです。
何と3年も先のアポイントを取られたのです。
芸能人ならともかく、3年先の予定などほとんど未定です。
よほどのことがない限り「かしこまりました」しか選択肢はありません。
因みに10年ほど前には“25年カレンダー”を勧められたこともありました。
 
先日、再確認ともいうべき案内状が届きました。
「創立40周年記念感謝のつどい」です。先生が古希を迎えられ、是を機に
所長を後継に引き継ぎ、念願の私財を投じた奨学金制度の設立の
お披露目を兼ねる記念すべき日なのです。
 
そもそものお付き合いは2001年に、無謀にも、顧問先150社のトップを前に
「21世紀、したたかに生きる」というテーマで、たっぷり二時間の講演を
受けたのが始まりです。
 
飲み友達の、当時メインバンクの支店長の超アバウト且つ軽いノリで薦められ、
「まあ拙い話で良ければ・・」とあいまいに応えたようですが、翌日、事務局長から
「ありがとうございます。早速講演会の打ち合わせをお願いします」と
言われたのには「ええっ!講演会?」と返すのが精一杯でした。
酒の席で、しかもいつか分からないようなずっと先の話とはいえ、受諾したと
思われたならやるしかないと覚悟を決めました。
早速本番に向け、構想を練り推敲を重ねたのは言うまでもありません。
 
弊社の今年度、経営の最重要課題は営業変革です。
その内の一つが、アポイントを取っての訪問です。
 
昔のように夜討ち、朝駆けの訪問は皆無です。もっとも、今、そんな
営業していたら、昔のように、「よく来てくれる、熱心な営業マンだ」などと
褒めて頂けるどころか「人の都合も考えないいい加減な奴だ」と
叱られるのがオチです。
 
「仕事とはお役立ち」を標榜する弊社としては、少なくともお客様にとって、
その面談を有益と認めて頂かねばなりません。
 
以下にアポイントをとって訪問する際、気をつけている
チェックポイントを記します。
 
面談の目的を明確にします。
面談のキーワードは“私”ではなく、常に“あなた”です。
“あなた”を理解して、はじめて“私”が理解されます。
したがって資料、ツールなどは
汎用ではなく“あなた”の個別事情に合わせたものを準備します。
“あなた”の会社、業界、関心事の事前リサーチが必要になるのです。
 
たかがアポイント、されどアポイントです。
このアポイントこそが、何をする場合においても”周到な準備“をせざるを
得ない状況を創り出し、自らを著しい成長へと導いてくれる最も効果的な”
実践行動の積み重ね“の始まりなのです。
 
前述した平成28年の9月17日の前日16日は、母校(若狭高等学校)の
同年次800名の同窓会が若狭で開催されます。
先日、「久々にゆっくり旧交を温めようや!」と誘ってくれた友人もいますが、
早朝には後ろ髪を引かれながらも、3年前にアポイントを取られた
「創立40周年~」を想像しながら会場である岐阜グランドホテルに向かうのです。

第66回・「第三者の厳しい目で~」が流行語大賞にノミネート?

2016-06-08
およそ二時間半の都知事の定例記者会見、その二時間近くが、
政治資金の使途疑惑の釈明に費やされました。
その釈明に何十回「第三者の厳しい目で・・」が使われたことか・・・
 
海外出張時のファーストクラスの利用、ホテルのスイートルーム宿泊など、
条例が定める上限を大きく上回っての海外出張に対する批判、
ほぼ毎週末、湯河原にある別荘への公用車使用に始まる公私混同批判が
この騒動の発端でありました。
 
「遊び回っている訳ではない」
「体調管理も知事の大事な仕事。全てルールにのっとっている」
などと強気な釈明に対し、私の判断基準とは大きな差があると感じつつも、
東京都知事ともなれば、激務をこなすには百歩譲って許される範囲なのかも
知れないと、思いもしましたが、その後の次から次へと続く報道には愕然としました。
 
これが政治学者としての資格を持ち、国会議員、厚生労働省大臣としての
功績を残された経歴を持つ同一人物の行動なのかと理解に苦しみました。
 
都民に寄り添う政治を目指すと公言して当選した知事、その同一人物が、
今、ほとんどの都民から「信用ならない」と云われています。
国民、都民のために存在する政治家、都知事、その役割を果たすための
原資は血税で賄われています。
 
企業のトップ、経営者の場合、今回の一連の騒動とは同一ではありませんが、
自らの言動に対し、厳しく律しなければならないという点では同じです。
 
私の危うい体験事例を記します。
債務超過会社を黒字化、黒字体質にしたのが評価されたのか、次に任された
販売会社は一気に東京、大阪に次ぐ愛知で、人員規模も156人から、
いきなり680人の社員を擁する大型販社です。
 
出勤初日、管理本部長から誠に便利で結構なものを渡されました。
「法人カード」です。会社の銀行口座から引き落とされます。
お客様と食事した時、お客様とゴルフをした時など、
そのカードを使うと便利です。
幹部や、社員との打ち合わせ、慰労などを目的にした食事代などにも使えます。
 
ですが、使い始めて何日も経たないうちに迷いが生じました。
「これは明らかに仕事」「仕事といえば仕事、でもプライベートの部分もある」
わずか一ヶ月の間でさえ、使用に躊躇するケースが度々あり、私の性格上、
このまま持ち続けて良いのか?プライベートを「7割」と感じても
「8割」と感じても、挙句は「9割」感じたとしても、ひょっとして
使ってしまうのではないかという不安に陥ったのです。
 
日が経つにつれ、その判断基準も、自分の都合の良いように
緩んで行くのではないか、それなら、緩まない内に「法人カード」を
持たないことが一番と、管理本部長に「その想い」を告げ、返却しました。
その管理本部長「ありがとうございます!」と、半ばひったくる様に
(そのように感じた?)受け取ってくれました。
私の心の弱さを見抜いてくれたのでしょう。
 
もしあの時、自ら返却したいとの申し入れをしていなかったら、
今の自分はなかったのではないかと思います。
 
特にトップの判断基準というのはだんだん自分の都合の良いものに
変わって行きます。
そういう意味で今回の一連の騒動は、実に良いケーススタディの
題材になったと思うのです。
唯一、自分を律する自らの厳しい判断だけが
「第三者の厳しい目で・・」というフレーズを不要にするのです。

第65回・「クレッシェンド人生」に生きる~今日の自分を明日のあなたへ~

2016-05-11
「ホントに大下さんはお元気ですねえ、お幾つになられました?」
そう聞かれることが多いです。
その度に「おかげ様でずいぶん大きくなりましてねえ」とか
「女性と老人に歳を聞いちゃあいかん」と、冗談まじりにはぐらかしたり
することもありますが、別段隠している訳ではありません。
ですが、あることをきっかけに年齢だけではなく、自分の生き方について
(もちろん人を選びますが・・)話したいと思うことが多くなりました。
あることというのは、「青春の詩(サミュエル・ウルマン」を知ったときです。
 
ご承知の通り、敗戦後まもなく昭和天皇が日比谷の占領軍司令部に
マッカーサー元帥を訪問されました。
その際、天皇陛下がマッカーサーと並んでツーショット写真を撮られましたが、
その部屋に掛けられていた詩がこの「青春の詩(英文)」なのです。
 
そもそもこの詩、アメリカではそれほど有名ではなかったそうで、
ある日本人(岡田義夫・元東京毛織OB)が見つけ、感動し、漢詩調に翻訳しました。
これが松下幸之助の眼に止まり、一躍有名になったと云います。
 
以下にその和訳の一部抜粋、続いて漢詩調に書き下ろしたものを記します。
青春
青春とは人生のある期間を云うのではなく心の様相を云うのだ。
優れた創造力、逞しき意志、炎ゆる情熱~中略~安易を振り捨てる冒険心、
こういう様相を青春と云うのだ。年を重ねただけで人は老いない。
理想を失う時に初めて老いがくる。
歳月は皮膚のしわを増やすが、情熱を失う時に精神はしぼむ。
年は七十であろうと十六であろうと、その胸中に抱き得るものは何か。
~中略~
小児の如く求めてやまぬ探究心、人生への歓喜と興味。
一部難しい言葉は割愛しましたが、次の漢詩調が、簡単明瞭で馴染むかと思います。
 
人は信念と共に若く、疑惑と共に老ゆる
人は自信と共に若く、恐怖と共に老ゆる
希望ある限り若く、失望と共に老い朽ちる
 
この「青春の詩」に接し、深い共感と素晴らしい感動を覚えると共に、
ごく親しい友人にしか話してない、不肖私の目指す「クレッシェンド人生」に
自信を深めました。
この「クレシェンド人生」という言葉、調べてみますと、既にある
バイオリニストが使っていたり、このコラムでも度々登場するコヴィ博士
(七つの習慣の著者)も使っています。
因みにコヴィ博士の場合は「定年までの人生を精一杯生きる」と
「老後をゆったりと過ごす」という二者択一ではなく、第三案の生き方は
「ミッションがある限り精一杯生きる」です。
 
偉そうに言ってはみても私の「クレッシェンド人生」、元はと云えば
PPK(ピンピンコロリン)を転じてのモノ、歴史は浅くて狭く、
せめて関わる会社に少しでも貢献できれば、そして接する人達の方向を決める
きっかけになるのであれば、それ以上の喜びはないという極めてシンプルな
生き方です。
そのためにも、受身ではなく、常に新しい情報を自ら求める姿勢を貫いて参ります。
 
追記
蛇足ながら「クレッシェンド」とは譜面で < で表す「音をだんだん大きく」です。
これに対し > は「デクレッシェンド、だんだん小さく」です。

第64回・笛吹けど踊らぬ部下が唄うたい

2016-04-13

ご存じ「サラリーマン川柳」に見事選外となった自信作の句です。
生保のお姉さんにおだてられ十数句応募し、全く自信がなかった句
「父さんのようになるよと子を脅し」が入選しました。
もう20年近くも前のことです。
どうやら、上から目線か下から目線なのかが判定の差だったようです。
 
この「上から目線」、決して良い意味で使われることはありませんが、
組織を運営して行く上では、むしろ必要不可欠なキーワードと云えます。
それも、うんと上からの目線「山の頂上からの目線」つまり全体を俯瞰する眼を
持たねばならないという意味での目線です。
 
組織のリーダーの資質として必要なものに欠かせないのが、何より先ず
「真摯さ」それに人間力、器量などが続きます。
一方、長年にわたる現場での経験からは、組織を運営して行く上での
最も重要な資質は、「全体を俯瞰する眼を持っていること」であると学びました。
 
とかく小人数のチーム、部門の場合、リーダーはそれぞれの責任の範疇で
戦略、戦術を考えがちになります。
でありますから、それらが果たして全体最適を満たしているか、
ひょっとして個別最適になってはいないかどうかを検証する必要があります。
この検証こそが仕事を進めて行く上では決して外してはならない
プロセスなのです。
 
リーダーが上位職であればあるほど、結果に対する責任は重いのは
当たり前であり、下位職の立案する戦略、戦術が全社方針に合致しているか
どうかを見極め、指導することができなければ、その存在価値はないに
等しいと云っても過言ではありません。
 
更に、トップマネジメントの立場では、組織全体に止まらず、その組織を
取り巻く環境の変化を先読みし、近視眼的な戦略になってはいないかどうか、
中長期的な視点を外してはいないかなども考える必要があります。
これが、コビィ博士(七つの習慣の著者)の云う「山の頂上からモノを見る力」、
つまり「俯瞰力」と私なりに解釈しているのです。
 
上場企業では、株主からの短期的な評価を気にするあまり、自らの保身が
頭をよぎり、中長期的な課題を先送りするといったケースが少なくありません。
かつて自身が身をおく職場にあっても、短期的な戦略、結果に対する評価に
偏りすぎ、中長期的な戦略の社内評価を上げるべきではないかとトップへ
具申した経緯があります。
幸い、モノが言える風通しの良い職場環境でありましたから、お手打ちに
ならずに聞き入れられはしましたが~。
通常、こういったケースはごく稀であり、おそれながらと物申すには
相当な勇気が必要で、受ける経営トップにはかなりの器量の大きさが求められます。
 
かく云う私がトップを務めていた現役時代、
「自由に物を申すことができる雰囲気を醸し出そう」と心がけていた
つもりでしたが、現役引退後、気の置けない元部下に尋ねてみますと
「とんでもないです。言える訳ないですよ」との返答に愕然とし、
続いての
「でも言葉を遮るほどではなかったですよ。一応話は聞いてくれましたから」に
ホッと胸をなで下ろしたものです。
 
今回のテーマである川柳を気に入ってくれているT社役員でもある
恐妻家のAさんに「ウチのカミさん向けにいい川柳ないですかね?」と
言われたので「聴きなさい!そう言う貴女はよくしゃべり」と返しました。
そう云えばAさん宅の経営者は奥様でありました。

第63回・支配する側、される側

2016-03-09
「目のつけどころが違う」吉永小百合を起用した液晶パネルの
CMが非常に印象的です。
私のシャープに対するイメージは「目のつけどころが違う」
画期的な新製品開発に長けている優れた企業という印象です。
古くはシャープペンシルです。
世界で初めて世に出た、まさに目のつけどころが違う企業を象徴する
製品と云えるでしょう。
 
その100年以上の歴史を持つ老舗シャープが海外企業に買収されます。
買収元はホンハイ精密工業(台湾)です。
契約寸前、そのホンハイから契約延期の申し入れがありました。
新たな債務が発生する可能性ありという重大情報の精査に時間を
要するというのがその理由です。
2012年に第三者割り当ての受諾を一方的に反古にした経緯もあり、
シャープ内部では根強い不信感があります。
そういう経緯を踏まえ、今回は1000億円の保証金を差し入れていますから、
よもや契約が流れることは考えられません。
既に3500億円の支援を提示していた産業革新機構は撤退し、買収によって、
大手銀行のリスクは大幅に軽減されることに変わりはないのです。
 
今回のメルマガでは、すんなり契約ができるのかとか、買収金額に
変更があるのかなどを推測するのが目的ではありません。
ホンハイ精密工業という会社はメーカーではなく、アップル、ソニー、
任天堂などといった世界の名だたる大手メーカーから受託生産をする会社です。
いわゆる下請け会社です。そういう会社がものづくり先進国日本の
100年超の歴史を持つ老舗メーカーを買収するのです。
 
ホンハイは下請けではありますが、その存在価値は絶大で、
ホンハイなくしては、大きな痛手を蒙るメーカーも出て来ると云い、
仮に発注元の企業の業績が芳しくなくなったとしても、ホンハイの
経営が揺らぐことはないと云います(当社会長談)。
 
そもそも、世の中は支配する側、される側に分かれることが多いです。
ビジネスの世界においては、必ずしも二分されるということではなくとも、
支配する、あるいは、支配される度合いで、ビジネスが優位に
進むかどうかが決まります。
ホンハイとは業界も形態もまるっきり異なりますが、我々と同じ業界では、
ディラーでありながら、仕入先であるメーカー同等、あるいはそれ以上の
支配力を持つ商社があります。
16年前、東証の一部上場を果たしたO商会です。
メーカーRの製品を年間1億円以上取り扱う販売店が全国に400店近くありますが、
このO商会の年商は6000億円ですから、まったく別格です。
 
現役時代、新装なった10階建ての本社ビルで、両社のトップを始めとして
経営幹部が100名くらい集う会議に出席したことがあります。
議題は、販売戦略はもとより新製品開発などにも及びます。
O商会の仕入先はRだけではありませんから、メーカーに支配される度合いよりも、
支配する度合いの方がはるかに上回っています。
 
量販店は云うに及ばず、あらゆる分野で同様の構図が見られますが、
いずれの場合も双方にとっての存在価値の大きさが支配力の度合いを決めます。
 
そして何より、独占企業でない限り、最も強力な支配力をもっているのが、
それら製品を選択する権利を有する消費者であります。
 
消費者に選ばれ続けるための最重要課題は、CS(顧客満足)活動、
更にはCD(顧客感動)活動を抜きにしては考えられません。
70周年を超えた弊社、今後も皆様にご指導頂きながら、
地道なCS活動はもとより、CD活動を目指した事業展開に挑んで参りますので、
引き続いてのご支援を賜りますようお願い致します。

第62回・二兎を追うものは二兎を得る

2016-02-10
 
真綿色したシクラメンほどすがしいものはない~
ご存じ布施明が唄って大ヒットした「シクラメンのかほり」は
自身も唄う小椋桂の作詞作曲です。
 
日本経済新聞の「私の履歴書」から、彼の生き方などに関し、
以下想うところを記します。
彼は東大法学部を卒業後、日本勧業銀行(現在のみずほ銀行)に入行し、
海外勤務を経たあと浜松支店長、本社財務サービス部長などの
要職に就き目覚しい働きをしています。
同時にソングライターとしての活躍は、冒頭の布施明、中村雅俊(俺たちの旅)
梅沢富美男(夢芝居)堀内孝雄(愛しき日々)美空ひばり(愛燦燦)等、
一流、超一流のアーティストに提供していることでも広く知られています。
回を追うごとに、仕事とソングライターとしての活躍に、こんなに凄い人が
世の中にいるのかと感嘆させられるシーンが度々でした。2-
「天才が努力すると、とてつもないことをやってのけられるのだ」が、
最終回を読み終わった今(1月31日早朝)の偽らざる感想です。
 
彼は昨年、一周忌コンサートをやり、その前年には
生前葬コンサートをやっています。
自身が葬式と称する生前葬コンサートは四日間ぶっ通しで12000人を
魅了と云いますからそのタフさとプロ根性には脱帽です。
 
私の持論の一つに「趣味をとことんまで追及する人間は
仕事(ビジネスマン、リーダー、経営者など)では一流にはなれない」が
ありますが、その持論は彼によって見事なまでに打ち砕かれました。
よくよく考えてみますと、もう一つの仕事(音楽)を一方の
本業(銀行マンとしての仕事)に見事に生かしているということではないかと
思うのです。
実際、支店長時代、年間50回を数える講演を引き受けています。
顧客の立場では小椋佳の話を聞いてみたいと思うのは当然だと思いますし、
支店長、小椋佳の立場ではお客様に喜んでもらえるなら、喜んで
それに応えるのは当たり前のことです。
つまり、顧客のWIN、支店長としてのWINの構図がどんどん
膨らんで行くのですから、間接的に仕事につながって行くのも頷けます。
あのお堅い銀行の幹部がよく副業を許したとも感心しますが、
直属の上司が許し、あるいは黙認し、最終的にはメディアに出ないことを
条件に認めました。
 
あの顔が世の中に知れ渡るようになったのはNHKからのオファーで、
「かたくなに顔を見せようとしない小椋佳は不遜だ」との声が大きくなり、
やっと銀行幹部も認めざるを得ない状態になった経緯があります。
二兎を追う人生に拍車がかかったのは云うまでもありません。
更に本来の仕事、銀行マンとしての仕事に磨きがかかり、当然のことながら
地位も確立されて行きました。
 
二年前から、これぞ経営者研修の最高峰と惚れ込む
「十八か月間経営者養成研修」のカリキュラムには読書はもとより、
音楽、美術鑑賞、囲碁、詩吟、般若心経と様々な分野までもが
盛り込まれています。
仕事とはまるで無関係に思える分野からも経営者としての
素養に磨きがかかるというのです。
 
そう云えば、フィギュアスケートの世界歴代最高得点記録保持者で
世界ランキング一位の羽生結弦選手が狂言師野村萬斎から
表現の極意を教わっています。
二兎を追うものは一兎も得ずではなく、二兎を得るためには
二兎を追わねばなりませんが、秀でた才能があって、双方に活かす
才覚、執念、人並み外れた努力を積み重ねる覚悟なくしては
二兎を追ってはならないのです。
 

第61回・叱れない上司は部下を不幸にする

2016-01-13
 
「叱る」より「褒めよ」という時代の流れの一つなのか、
部下を叱らない、叱れない上司が増えているように思います。
ここは部下のためにも明らかに叱るべき、叱らなければならない場面と
思える時でさえ、部下に遠慮するのか、嫌われたくないのか
注意すらしない上司を見かけます。
 
云うまでもなく上司の重要な役割の一つに部下を成長させる責任があります。
称賛に値する努力、行動、結果などに対して、褒めることはもちろん
志気を高め、更に成長へとつながる行動に駆り立てます。
一方、見逃すことができない失敗に対しては、同じ過ちを
二度と繰り返さないよう、時間を置かず注意し、その程度によっては
厳しく叱るべきです。

叱られることで、チームだったり、部門、会社、あるいはお客様にどのような
影響を与えたのかといった、事の重大性に気づくことだってあるのです。
失敗という事実を認識させると同時に、それがどういう過程で
生じたのかなどを検証し、同じ失敗を繰り返させない絶好の
ケーススタデイを活かすチャンスなのです。
どんな勉強会、研修会をも、はるかに凌ぐ成長を促す場面でもあります。
 
私が親しくさせて頂いている「成功するまでやり続ける」の著者高井法博氏の
事務所には上司への戒めが張り出されており、その一つとして
「口うるさい上司になれ!」があります。
また「鬼とならねば部下は動かず」や、著者曰く、何と私自身も登場している
ページがある最新作「ザ、鬼上司」の著者染谷和巳氏は約10冊の
「鬼シリーズ」のベストセラー作家でもありますが、お二人の共通の主張は、
部下のために厳しく接することができる上司になりなさいです。
 
因みに、長年にわたるビジネスマン人生、その中でもマネージャー、
リーダーを務める30年余りの期間、私をうるさい上司、鬼のような
上司と評する人達は少ないと思います。
どちらかと「言えば気軽に話ができる優しい上司」という評価をしてくれる
部下が多かったと勝手に思っていますが、「非常に厳しい上司」と
感じていた部下も少なくないです。
「非常に厳しい上司」の一面を持つという評価は、まさに我が意を得たりで
大納得で嬉しい限りです。
ずるい部下の言動に対しては非常に厳しいです。
そのことに気づき、二度と同じことを繰り返さないとの反省が見えるまで
諦めません。
ですが、部下の失敗に対しては、その瞬間は一喝することはあっても
失敗そのものの責任を厳しく追及することはありません。
その失敗の大きさ、周りに与える影響の大きさを考えさせます。
同時に失敗の原因は何なのか?その過程に問題はなかったのか?同じ失敗を
繰り返さないために今後どうしたら防ぐことが出来るのか?を
考えさせることに関しては極めてしつこく厳しいのです。
 
そして最後は「もう済んだことだ。もういいよ!」で終わります。
こうして確実に部下が成長して行くという手応えを得ます。
なのに、せっかくの失敗を、成功に活かす千載一遇のチャンスを逃してしまう上司、
部下を成長させようとの覚悟を持って接することをしない上司が
あまりにも多いのが大いに気がかりです。
結果、部下の成長を妨げることになり、部下を不幸にしてしまうのです。

第60回・高い志と本気度が人を動かす

2015-12-09
最近のテレビドラマで欠かさず観ているものと云えば、
朝の連続ドラマ「あさが来た」、直木賞受賞作「下町ロケット」それに
NHKの大河ドラマ「花燃ゆ」です。
それぞれに違った面白味があり、毎回楽しみにしています。

このメルマガも今回で60回、ちょうどまる5年になります。
月に1回とは云え、自分なりの拘り(自分自身が見聞きしたこと体験したことを
基にしての主義主張)を入れながらのビジネスコラムです。
おかげ様で日常の何気ない出来事とか、人との出会い、世の中の変化、読書、
旅行、仕事など、何からでも題材のきっかけ、キーワード、ヒントを
探す習慣ができたようです。
これらのドラマに関しても、共通しているものがあることに気づきます。

「あさが来た」では主人公のあさが、嫁ぎ先を守るという大義のために本気で
体当たりし、荒くれ炭鉱夫もその情熱と行動によって見事に動かされます。
「下町ロケット」では中小企業の社長の高い志と不退転の決意に幹部が次々と
賛同し、不満を持っていた幹部、社員をも文字通り同志となって、
金融機関、大企業の信頼を勝ち取って行きます。
「花燃ゆ」では吉田松陰の志を受け継いだ門下生達が、本気になって新しい
日本を創って行く様を描いています。
このように志を実現するため、本気で行動して行く姿は人の心を揺さぶり、
人を動かします。

5年に亘る今回のコラムでは、私の人生そのものに最も影響を受けた
この「人を動かす」について触れない訳には行きません。
意に反しての辞令(営業職)を拝命した時、自分には向いていないし、
その能力もない、ついて行けないのではないかとの不安に苛まれていた頃、
タイミングよく日刊紙の広告「営業のすべて、全五巻、毎月配本」が
目にとまり躊躇することなく即申し込みました。

営業活動をして行くうちに「営業とは人の心を動かすこと」に気づき、
早速書店で「人を動かす(カーネギー)」を見つけ熟読、様々なシーンで
学んだことを実践した結果、ついて行けないのでは?が見事に外れました。

マネージャー、営業責任者、社長という立場になっても「人を動かす」が
最も重要なキーワードです。

初めて「人を動かす」に出会って以来、実に40年も経過しますが、あらためて
この本の凄さに驚き、この本が与えてくれた影響がとてつもなく
大きなものだったことに気づきます。
私の場合は、「営業のすべて」で営業とは何かを理解し、それを実践して行く
過程で発生する様々な事象に対する最良の取り組み方を学ばせてくれたのが
「人を動かす」です。

本書は「人を動かす三原則」「人に好かれる六原則」「人を説得する十二原則」
「人を変える九原則」で構成されています。
ハウツウ書であり、経年劣化しない極めて稀な実用書ですが、「本書の原則は
言動が心の底から出る場合に限って効果を上げる。
小手先の社交術を説いているのではない」と著者も強調している
ところが大いに納得です。
つまりテクニックでは決して人は動かないと云っているのです。
今回のテーマ「高い志と本気度が人を動かす」とは如何にも情緒的ですが、
この本では心理学的にも解明されており、非常に論理的な解説が展開されています。
世界的なベストセラー「七つの習慣」とこの超ロングセラー「人を動かす」は、
間違いなく私の長いビジネス人生のバイブルになっているのです。

追記
早いもので、このビジネスコラムも60回を迎えました。
5年は続けたいとの思いでのスタートでしたが皆様に支えられました。
ありがとうございます。
一区切りを機にあらためて「ご感想」「ご意見」等を頂ければ幸いです。
出来得る限りお一人毎に返信させて頂きます。

第59回・組織文化を変える

2015-11-11
横浜市のマンション傾斜に端を発した旭化成建材の杭打ちデータ改ざん問題は、
その後、東京都、北海道庁、釧路市、愛知県など広範囲に、
またマンションに止まらず学校はじめ公共の施設にも広がる一方です。

事件の発端となったマンションに関して云えば、個人にとっての
住まいは一生の間で最も大きな買い物であり、家族が幸せ感一杯に
浸るときでもあります。
それが一企業の不正の発覚によって一瞬にして「お先真っ暗」の状態に
陥れてしまうのですからこの罪は極めて重いです。

事件発覚後、素早く「全棟建て替えます」との社長の記者会見に対し、
流石大手一流企業と受け止めた視聴者も多いと思いますが、
そんな簡単な問題ではありません。
それで解決するためには、マンション住民の5分4の同意が必要だそうで、
また同意したとしても入居までには3年を要すると云います。
第一に、様々な都合を抱える入居者が納得する解決策をまとめるのに
相当な時間を要しますから早くても5,6年はかかるようです。

今回の場合、親会社は旭化成であり、販売元は三井不動産レジデンシャル、
建設は三井住友建設という日本を代表する一流企業ですから、
何の疑いもなく購入に踏み切った入居者の腹立ちは想像もつきません。

最新のニュースではデータ改ざんに10人以上が関わっているとのことですが、
それは直接にという意味であって間接的にはその何倍もいるし、
知っていて知らぬ顔は更にその何倍も存在していると考えるのが妥当でしょう。
約十年にもわたる物件3000件の調査で既に300件にデータの改ざんが
あったとのことですから、10人以上が関わっていたという
報道には疑問符が付くだけです。

長年にわたり数社の経営に携わって来た経験から云わせてもらいます。
そもそも会社というのは経営のリーダーシップのもと経営戦略が練られ、
いくつかの重要課題を浮き彫りにして、それら優先順位の
高い課題から対応して行きます。
重要度の高い仕事、緊急度の高い仕事ほど技術力、対応能力が要求されますし、
スピードもしかりです。そのための人材教育はしっかりやっています。
(あえてそのためのとしたのは「倫理観を植え付ける教育」高い志を
持たせる教育」など利益に直結しない教育が欠落している企業が少なくない)

請け負った建設会社とその下請け会社では、でき得る限りの
コストダウンを図ろうとする意識も働きます。利益に固執するあまり
手抜きに手を染めてしまったと推測するのに無理はないようです。
「そういうことをする環境にあった」これは、このコラムを推敲している最中
(11月3日の朝)に、テレビでの国交省の立ち入り報道で流れた言葉ですから
「組織ぐるみ」を裏付ける十分な状況証拠になりそうです。

前々月発信のコラム「東芝に学ぶ」にも共通しますが、経営層以下の
「倫理観の欠落」、「高い志のなさ」が長年にわたって
組織文化に影響を与えたと思わざるを得ません。
今回の件も、発覚する前から、社員の何十人、何百人が知っていたのでは
ないかと疑ってしまいます。知っていても知らない顔、そういう組織文化です。
大問題になって、あわてて外部から取締役を招聘する。
外部監査を受けるなどで対応しますが、まったく泥縄もいいところです。

経営改革で最も粘り強く、根気よく取り組んで行かねばならないことこそ、
この「組織文化を変える」ことであり、時間を要し、地味な仕事で、
且つ骨が折れる割には「変わった様を示し難いテーマ」なのです。

第58回・便利なものは不便なもの〜マイナンバー〜

2015-10-07
「科学の進歩は素晴らしく、とても考えつかない、
あるいは夢のようなもの(こと)が現実となる。
いずれも非常に便利なものばかりではあるが、同時にこれらはみな、
誠に不便なもの、また危険なものであることに気づく。
具体的なものとして、携帯電話(便利だが拘束され、自由を束縛される)
乗り物(バイクは渋滞の中でもスイスイだが事故の被害は?)
車(必需品だが人を殺す凶器にも?)
飛行機(全世界を狭くするも落ちれば大惨事)
極めつけは原子力(発電能力は、他の非ではないが万一の事故が大惨事)
というふうに、それぞれの利便性と共に、不便さ、危険性を記しています。
不幸なことに原子力の万一が現実となってしまったのは
記憶に新しいところです。」
実は上記の文章、地方紙に掲載された(17年前)コラムの一部です。

ビジネスにとどまらず、国をあげて制度化しようとしている
マイナンバー制度は誠に便利な制度です。
弊社のセミナールームにて、30人前後を定員として様々なセミナーを
開催しておりますが、中でもテーマが「マイナンバー」絡みになりますと、
すぐに満員になってしまいます。

私自身も、社内向けセミナーを受講し、弊社社長の來本も只今受講真最中です。
全社員に受講義務を課しているのです。
「マイナンバーの理解」に加え、情報漏洩や個人情報の紛失、
不正使用など情報に関する不祥事などなくて当たり前をゴールとする
「情報セキュリティ」の構築、運用の進め方といった内容です。
何事もなく運用して行くことが、実に大変なこと(不便)であるかを
再認識させられます。

この10月には、国民一人ひとりにマイナンバーが通知され、翌年1月には
いよいよマイナンバーカードが発行されますからまさに待ったなしです。
この制度のメリットは行政にとっても国民にとってもメリットがあります。
我々国民にとっては各種申請手続きの簡素化をはじめとしたメリットです。
一方行政側にとっての最大のメリットは、一言で表せば税収の増加です。
所得税の取りっぱぐれをなくする制度と云っても過言ではない気がします。
マイナンバーによって紐付けされ一元化できるからです。
ITの技術が紐付けを容易にしたのです。

逆に最大のデメリットと危惧されるのが、行政、国民双方に想定される
マイナンバーに関わる事件、事故です。
そもそも情報は存在した瞬間から、晒される危険性を孕んでいます。
どんなに精巧なコンピューターであっても必ず人が介在します。
人為的なミス、事故の防止が不可欠です。
マイナンバーに関しては「効率」よりも「安全」最優先です。
年金への活用を一年延期した理由は現段階では「安全」を担保できないからです。

ご承知の通り、弊社は一年前、この地に引っ越して来ました。
これを機にお客様と共に社会に拡がる「人」と「情報」の新たな
ネットワーク創りを進めております。
弊社にとっても「マイナンバーがターニングポイント」と受け止め、
お客様から信頼される情報発信、事例提供などのお役立ち活動を続けて参ります。
繰り返しになりますが情報に関わる事件、事故はなくて当たり前の会社を目指し、
「安全」を最優先する会社を創って行くことをお約束致します。
当社のメールマガジンは月に2度配信しています。
ご興味のあるかたは是非メールマガジンにご登録くださいね。
また、バックナンバーについては過去6ヶ月以前までを毎月徐々に更新していきますので、
こちらもチェックしてみてください。

メールマガジンのお申込み

ミカワリコピー販売株式会社
〒441-3147
愛知県豊橋市大岩町沢渡92-2
TEL:0532-43-6696
FAX:0532-43-6262

■営業時間
9:00~17:30
■修理受付
TEL:0120-43-6263
平日 9:00~17:30
土曜 9:00~17:00
■休業日
土曜日・日曜日・祝日
TOPへ戻る