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大下智のビジネスコラム

弊社常務・大下智・略歴

(株)リコーの国内マーケティング部門において40年以上のキャリアを持つ。
マネージャー
としては、福井リコー敦賀営業所所長を皮切りに、以後
同社営業部長、兵庫リコー営業本部長、岐阜リコー社長、愛知リコー社長、
リコー販売事業本部副本部長、リコー中部社長などを歴任。そのいずれもを
リコーグループのトップ会社へと牽引し、2004年にはダイヤモンド誌の
「日本の営業40人」に選出される。
また、現在、出身地・福井県若狭町のふるさと大使としても活躍中。
                 著書に自身の体験を綴った『リーダーの覚悟』が本年3月26日発売。

大下智のビジネスコラム【――素描――】 バックナンバー

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第72回・「今朝知らなかったけど、今、知っていることは何か?」

2017-01-19
「一日の終わりに、この問いに毎日答えられるのなら、きっと貴方も
その分野のトップになれる」
これは、“屁理屈なし社長のための時間の使い方”というタイトルの
著者、ダン・S・ケネディ氏の言葉です。
世界屈指の億万長者メーカーと云われるマーケッティングコンサルタントで
知られています。
彼の凄さは、超高額なフィーが物語っています。
コンサル料金・・一日最低128万円
コーチングプログラム・・年間320万円以上
広告キャンペーンプロジェクト
  1プロジェクトあたり1000万円以上+売上げに応じた%ロイヤリティ
超高額であってもキャンセル待ちの状態と云います。
その訳は、常に需要が供給(提供するサービス)を上回ることを目指し、
日々様々な活動を行っているところにあります。
具体的には新しい依頼を生み出すために手紙を出し、電話をし、記事を発表する。
講演会の契約を確保するなどです。
需要>供給であれば、クライアントが選べ、興味深いプロジェクトのみ請負う。
当然報酬も高額になります。
その彼が、実に面白く、分かりやすく語っています。
彼曰く
「次の情報をもらえれば、あなたの銀行口座の残高が1年後いくらになっているか、
とても正確に予測することができる。
 ・今日の銀行口座残高
 ・先月読んだ本とオーディオプログラム(聴いて学ぶ)のリスト
 ・一番よく行動を共にする5人についてのある程度の情報
 ・平均的な一週間に、時間をどう使うかについてのちょっとした分析」です。
余談ながら、この考え方、採用時にも使えそうです。
そして「因みに9割の人について、こうした予測をするのは実に簡単だ。
正解は前の年と同じ」と続き
更に「成功とは、単にあなたが自分の時間を使って何をしているかを
反映したものに過ぎない」と断じているのです。
じゃあどうすれば良いのか?
彼の答えをそのまま紹介します。
「自分のビジネスの成功を促すためにできる、最も重要で、最も肝心な、
最も生産的で、最も価値のあることを三つ明らかにして書き出す。」
それから「その三つをもとにあなたが毎日実行できる三つの行動を考える。
それも書き出そう。」です。
この言葉、人財育成にも極めて有効に活用出来そうです。
9割かどうかは別として、世の中の多くの人は、早くて、簡単に、努力なしで
成功する方法を求め、何度も何度も繰り返して学び、
そして更に次から次へと新しいことを学び続ける、成功するために
必要な努力には背を向けます。
一方、ピラミッドの頂点にいるごく少数の人たちは、日々熱心に学び、
知識を増やし、能力を高める努力をしているのです。
米大統領選に見事当選を果たしたドナルド・トランプ氏は、
彼のセミナーに熱心に参加しています。
云うまでもなく、トランプ氏は、自身の分野においては世界のトップに
いる人です。そういう人物は皆、日々向上するために学んでいるということです。
「今朝知らなかったけど、今、知っていることは何か?」
あらためて、自分自身に問いかけますと、目覚めたときに知らなかったことを、
一日の終わりに知ることが出来た日も少なくなかったと思います。
ですが、それは結果論にすぎません。
毎日、自分に問いかけ、答えられる。多くを望まず、それがたとえ取るに足らない
些細なことであったとしても、それを習慣にする。
挑戦に値する新たな課題です。
因みに私の座右の銘は「我が行いにせずば甲斐なし」です。

第71回・どうする?豊洲市場、東京五輪会場

2016-11-09
このテーマを避けて通ったら叱られそうです。
地下水、空中から砒素、ベンゼン、水銀など人体に悪影響を及ぼす有害物質が
検出され、豊洲新市場への移転が危ぶまれています。
来年2月まで移転問題が延期になっていますが、「安全」「安心」が一番の
生鮮食料品の一大拠点であること、また既に移転を前提に準備し、巨額の資金も
動いてしまっているとあっては、一筋縄での解決は望めません。
2年前、首都圏の近くに住む長男を「世界一美味しい魚を食わしてやるよ」と
築地に誘ったのを思い出します。
夕刻、まだ早かったせいか、お薦めの「お寿司15種盛り」をつまみながら
店長との会話が弾みました。
「世界で魚が二番目に美味しい若狭から来ました」
「いやあ、必ずしも築地が一番とは言えませんよ」
「どうしてですか?」
「どうしたって鮮度ではそりゃあ産地にはかないません。若狭が一番でしょう」
「それじゃ、“世界で一番美味しい魚、ふるさと若狭”と言い直すことにします」
(ここは、ふるさと大使の名刺を差し出す絶好の場面です)
店長の話によると、遠くは青森、岩手などからも、乗用車でやって来る客が
いると言いますから驚きです。
それだけ魅力たっぷりの築地ということでしょう。
そもそも、この豊洲への移転問題、前任の知事が辞任してなかったら、
そして、小池氏ではなく、別の人が当選していたら、何の問題も発生せず
移転が進んでいた確率は高いです。
そう考えると、絶妙のタイミングでの都知事選だったということになります。
前任者とは違った角度、視点で物事を検証できる機会として、定期、不定期に
公共機関、民間会社で実施される人事異動があります。
特に銀行、保険、証券といった金融機関では通常2、3年を目途とした早い
サイクルでの異動です。主な狙いは顧客との癒着防止、金銭に絡む事故防止です。
この人事異動、必ずしも業種とは関係なく、早いサイクルで異動する人、
あるいは私のように7年、8年と比較的長く、同じ地に留まる人と様々ですが、
いずれにしても前任者とは違った視点、角度からモノを見て、戦略、戦術に活かし
成果に繋げるという狙いがあります。
着任間もなく、「エッこんなことが?」と驚くことも度々です。
転勤する都度、周りの先輩達が
「まあ、半年、あるいは1年はおとなしくじっと見ていた方がいい」と言います。
「はい、ありがとうございます」と応えますが、もともとこの考え方には否定的で、
いつも、着任したら、原則自分の責任という考え方です。
ですから、前任者を悪者にしたことは一度もありません。
結果的にそうなってしまったことはありますが・・・
逆に、管理不足で後任者に迷惑をかけ、何年も経って
「エッ!それは自分の責任です」と反省したこともあります。
本題に戻ります。
「盛り土の件は空気の流れのように決まった」から一転
「市場長2人を含む部長級6人、計8人の責任を問い懲戒処分」とは今朝の朝刊(11.2)です。
就任早々からの難題に精力的で挑んでおられる小池氏には頭が下がります。
もう一方の難題、五輪会場の見直しに関しては、ど素人の見解で恐縮ですが、
紆余曲折はあるものの、大幅な経費の削減で収束する気配を感じます。
最悪の状態に果敢に挑んだ小池氏でありますが、様々な障壁があるものの、
これらを見事乗り越え、歴史に名を残す都知事誕生に、
これほどの機会はないとも思うのです。

第70回・中小企業の70%は赤字経営をしている

2016-10-12
 
全企業の95%は中小企業です。うち黒字経営をしているのは30%に過ぎず、
毎年中小企業の約70%が赤字経営をしています。
黒字経営ですとか赤字経営ですと表現せず、黒字経営をしている、
赤字経営をしていると表現しているのは意図的に赤字経営をしている
企業があるということです。
零細企業、比較的小規模の企業の場合、会社=社長の色あいが濃く、
法人税とか所得税を計算しながらの決算書があがることが多いです。
既報のコラムでも触れましたが、2001年に「赤字企業は罪悪だ!」という
内容のセミナーの講師経験があります。
現役時代、経営を任されていた期間に止まらず、退任後も、関わる企業が
絶対赤字になってはならないという強い拘りを持ち続けています。
「赤字企業は罪悪だ!」という気持ちを持ち続け様々な取り組みをしています。
その中の最も大きなテーマが人財育成です。
最初の販社では、ディラーのセールスだけではなく、トップまでをも
対象にした勉強会にそれぞれ参加してもらいました。
自社内では、全社員を対象に、職種別に「職務能力検定制度」を創り、
職種毎に、試験内容を組み立て、上位より1級、2級、3級の三段階に分け、
級に応じた手当を給与に付加して、向上心を高揚させました。
これがリコーの社内機関紙に紹介され、2年後、国内販売の正式な
試験制度となり、現在もRDP試験制度として毎年1万人以上が受験しています。
私が創ったと知っている人はほとんどいないのが、ちょっぴり寂しいですが・
このコラムを見て「ええっ!そうだったの?」と気づいてくれる人が
いたら嬉しいです。
私の知る限り、中小企業においては、研修にお金をかける企業は少ないです。
即効性に乏しいことには躊躇してしまうのです。
弊社においては、この数年随分増えました。
自社内で行う各種勉強会、外部教育機関を使っての各種研修などです。
「何故そんなに研修なんですか?」に答えるべく、
下期の初日(10月3日)に話した骨子を記します。
高度成長期は、行きさえすれば売れた
インターネットが普及して、売り手側と買い手側の構図が逆転した
力関係が逆転したとも云える
買い手市場になったということ
単に供給>需要と云うことではない
かつては専門家が素人に売っていたが、買い手が素人でなくなった
インターネットでモノの機能、性能、使い勝手、価格まで瞬時に
把握できるようになった
モノの販売は価格競争に追い込まれるようになった
だから一人ひとりが専門家にならねばならない
自社の商品に限らず
顧客の業務にとどまらず、顧客の顧客までをも考える必要がある
世の中、業界の見通し、トレンドも理解しなければならない
これらすべてを会社で準備はしきれない
会社の中での研修だけではダメだということ
自分を成長させるための投資をする必要がある
自分への投資とは何か
① 自分の成長のためにお金を使う
② 自分の時間を使う
③ 自分の労力を使う
           以上です。
冒頭、中小企業の70%は(意図的にも含めて)赤字経営を
していると云いました。
ほとんどの業界で供給>需要の構図となり、またインターネットによって
瞬時に伝わる情報など、広い意味でのマーケッテングに大変化が
起きているのです。
もはや「赤字経営を意図的にしている」なんてたかをくくっていたら、
「本当に赤字経営になって」しまい、やがてはマーケットから退場という
ことにもなりかねないのです。
 

第69回・「そこそこ文化」からは何の感動も生まれない

2016-09-07
感動、感動のリオオリンピックが終わりました。
メダル獲得数(史上最高の41個)が物語る通り今回のリオ五輪では、
日本人選手の大活躍が目立ち、様々な競技で、多くの選手から
大きな感動をもらいました。
また指導者如何で、大きく変わるということも再確認できた
オリンピックでありました。
それを象徴するのが、井村雅代氏率いるシンクロナイズドスイミングであり、
井上康生率いる柔道男子です。
井村氏という指導者を失い、お家芸とも云われたシンクロは
10年近くも陰を潜めたままでした。
また井上康生氏は監督として、東京オリンピック以来となる全階級
(7階級、因みに東京は4階級)でのメダル獲得を果たしました。
体操日本の強さを見せ付けた体操団体男子の大逆転劇による金メダルは
まさに奇跡的であり、名将栄和人氏率いるレスリング女子の金メダルの
量産は圧巻でありました。
金メダルより輝くメダルはありませんが、卓球団体男子の銀メダル、
水谷選手の銅メダル、福原愛を主将とする卓球団体女子の銅メダル、
史上初のテニスでの銅メダルの錦織選手、また世界のスプリント、ボルトに
迫る400メートルリレーでの銀メダルも十分に輝いています。
惜しくもメダルに届かなかった入賞者、あるいは入賞を逃した選手も
本当によく健闘したとも思っています。
このコラムで強調したいのは、例えば「金メダルをどうしても獲る」という
強い意志、種目によっては「色にはこだわらないがメダルを!」
あるいは「入賞を果たす!」という、それぞれの競技に応じての高い目標を
持って本番に臨む姿勢と十分な準備があり、その結果が、たとえ、メダルを逃す、
あるいは惜しくも入賞を逃すことになったとしても、何ら責められることは
ないということです。
自身の長年の現役時代を振り返るとき、まったく同様のことに気づきます。
これまでのコラムでも触れたことがありますが、R社の全国販社評価制度において
「中型16社、大型14社、統括8社」の各コースそれぞれで、
一度だけではありますが、一位を獲得しました。
この結果は「絶対一位を獲る!」という強い想いだけではなく、一位に向かっての
明確なプロセスを、幹部以下全社員が理解し、着実に実践した賜物なのです。
仮に、「できるだけ上位に」「なるだけ良い会社」になどと、あいまいな
目標だったとしたら、一位はおろか、上位にランクされることすらなかったと
言い切れます。
世の中の中小企業では「うちはそこそこの会社で良い」と云うトップ、幹部、
社員のいる会社は少なくありませんが、そういう会社のほとんどは、
いつまで経っても「そこそこ」からも程遠い状態が続きます。
はじめに「こんな会社にする!」という経営トップの強い意志があり、
それが隅々まで浸透し、一人ひとりが主体的に役割を実践し、
検証の繰り返しが、目標到達を可能にし、同時に大きな感動をも
共有することができるのです。
とても困難とも思えるプロセスを経て、仮に目標に届かなかったとしても
「そこそこ以上の会社」には間違いなく近づいており、会社も、社員も
成長のスパイラルアップに入っているのです。
最初から「そこそこの会社」を目指して「そこそこの会社」になんて、
世の中甘くはないのです。
「戦後の復興」「高度経済成長期」を経て「ゆとり教育」の影響か、
価値観の大きな変化で「そこそこ文化」が蔓延ったとも思うのです。

第68回・~300年先を考える男が3000年前に学ぶ~その1~

2016-08-10
【第68回・~300年先を考える男が3000年前に学ぶ~その1~ 】
 
3.3兆円のM&Aを「たかが3兆円」といとも間単にやってのけた
ソフトバンクの孫正義、実は10年も前から狙っていたと云います。
 
昨年、後継者としてグーグルのニケシュ・アローラをヘッドハントし、
それから一年あまりで続行宣言、結局アローラ氏は退任しています。
どうしても、やりたいことがあった。
それが英半導体設計大手ARMの買収だったと云います。
今回のM&Aについての世間の評価は、必ずしも芳しいものではありませんが、
それらは孫正義の経営者としての本当の力を過小評価しているとしか
私には思えません。
 
孫正義は天才、これに異論を唱える人はいないと思いますが、
その天才が、信じられないほどの猛勉強と、驚くほどの努力を
積み重ねています。
そのさまが孫正義の成功哲学「孫の二乗の法則」と「志高く孫正義正伝新版」に
詳しく記されています。
 
後継者指名と撤回、そして今回の超大型買収を瞬く間に成し遂げてしまった
この一連の出来事の背景も含めて、この二冊が見事に納得させるに
十分な内容で描き切っています。
 
孫正義は歴史上の多くの人物から学んでいます。
古くは紀元前の孫武(孫氏の兵法)、二宮尊徳(猛烈な勉強)、
織田信長(長期作戦計画)坂本竜馬(開国維新)渋沢栄一(日本の近代化)他、
カーネギー、松下幸之助、本田宗一郎といった錚々たる先人から学び、
孫正義の哲学を完成させているようです。
 
そもそもこの「孫の二乗の法則」は「孫子の兵法」+ランチェスター戦略
それに孫正義の経営実践&哲学を合算して作ったと云いますから大いに頷けます。
 
ところで、彼は何と19歳のときに、以下に記す「人生50年計画」を立てています。
20代で、自ら選択する業界に名乗りを上げ、会社を起こす。
30代で軍資金を貯める。軍資金の単位は、最低1000億円。
40代で、何かひと勝負する。1兆円、2兆円と数える規模の勝負をする。
50代で事業をある程度完成させる。
60代で次の世代に事業を継承する。
 
彼はこの8月11日、明日59歳の誕生日を迎えます。
50代の「事業を完成させる」は、既に売り上げ規模で9兆円を超え、
目標は達成していますし、前述の通り、60代を目前に控え、
継承すべく後継者を指名しました。
 
ご承知の通り1年余りで事業継承を撤回しますが、実はこのことも決して
彼の哲学から外れてはいないのです。
25文字からなる「孫の二乗の法則」の一文字「一」へのこだわり、
つまり一番以外はすべて敗北に等しいという考え方に基づいての行動なのです。
 
「ビジネスの現場における闘いは最後の仕上げであって、実際に火蓋が
切られる前に、戦いの九割方は終わっている。
フォーメーションの段階で、~ああ、もうこれで勝てるな~という
構えをやり終えているべきである」
今回のARM買収のずっと以前に公言しているこの言葉こそ
「これを成し得ることが出来るのは孫正義自身」と自らが悟り、
事業継承宣言を翻した理由と思われるのです。
 
実は14年前、ソフトバンクと若干の取引があり、当時の名古屋支社長の
計らいによりお会いした経緯があります。
小柄で穏やかな表情と飾らない語り口、人間味あふれる魅力的な
好人物というのがその時の率直な印象です。
 
その同一人物が、
「5年後、あるいは10年後に、間違いなく世界のIT産業を制する日が来る」
と思うと、何かわくわくするのです。
 
追記
当コラムのこだわりの一つに「文字数は1300~1400」があります。
~その2~に続きます。

第67回・3年先のアポイント

2016-07-06
「成功者は皆ポジティブ」である。「経営の要諦はスピード」。
返事は「ハイ、解りました」ではなく、「ハイ、すぐやります」に。
「実践行動こそ総て!!」上記は「成功するまでやり続ける」の
著者高井法博氏が主宰するTACT経営研究会の2016年度目標を記した
ポスターの一節で、年初に先生から頂いたものです。
 
高井先生から「平成28年の9月17日、あけておいて下さいね」と言われたのが、
今から3年前のことです。
何と3年も先のアポイントを取られたのです。
芸能人ならともかく、3年先の予定などほとんど未定です。
よほどのことがない限り「かしこまりました」しか選択肢はありません。
因みに10年ほど前には“25年カレンダー”を勧められたこともありました。
 
先日、再確認ともいうべき案内状が届きました。
「創立40周年記念感謝のつどい」です。先生が古希を迎えられ、是を機に
所長を後継に引き継ぎ、念願の私財を投じた奨学金制度の設立の
お披露目を兼ねる記念すべき日なのです。
 
そもそものお付き合いは2001年に、無謀にも、顧問先150社のトップを前に
「21世紀、したたかに生きる」というテーマで、たっぷり二時間の講演を
受けたのが始まりです。
 
飲み友達の、当時メインバンクの支店長の超アバウト且つ軽いノリで薦められ、
「まあ拙い話で良ければ・・」とあいまいに応えたようですが、翌日、事務局長から
「ありがとうございます。早速講演会の打ち合わせをお願いします」と
言われたのには「ええっ!講演会?」と返すのが精一杯でした。
酒の席で、しかもいつか分からないようなずっと先の話とはいえ、受諾したと
思われたならやるしかないと覚悟を決めました。
早速本番に向け、構想を練り推敲を重ねたのは言うまでもありません。
 
弊社の今年度、経営の最重要課題は営業変革です。
その内の一つが、アポイントを取っての訪問です。
 
昔のように夜討ち、朝駆けの訪問は皆無です。もっとも、今、そんな
営業していたら、昔のように、「よく来てくれる、熱心な営業マンだ」などと
褒めて頂けるどころか「人の都合も考えないいい加減な奴だ」と
叱られるのがオチです。
 
「仕事とはお役立ち」を標榜する弊社としては、少なくともお客様にとって、
その面談を有益と認めて頂かねばなりません。
 
以下にアポイントをとって訪問する際、気をつけている
チェックポイントを記します。
 
面談の目的を明確にします。
面談のキーワードは“私”ではなく、常に“あなた”です。
“あなた”を理解して、はじめて“私”が理解されます。
したがって資料、ツールなどは
汎用ではなく“あなた”の個別事情に合わせたものを準備します。
“あなた”の会社、業界、関心事の事前リサーチが必要になるのです。
 
たかがアポイント、されどアポイントです。
このアポイントこそが、何をする場合においても”周到な準備“をせざるを
得ない状況を創り出し、自らを著しい成長へと導いてくれる最も効果的な”
実践行動の積み重ね“の始まりなのです。
 
前述した平成28年の9月17日の前日16日は、母校(若狭高等学校)の
同年次800名の同窓会が若狭で開催されます。
先日、「久々にゆっくり旧交を温めようや!」と誘ってくれた友人もいますが、
早朝には後ろ髪を引かれながらも、3年前にアポイントを取られた
「創立40周年~」を想像しながら会場である岐阜グランドホテルに向かうのです。

第66回・「第三者の厳しい目で~」が流行語大賞にノミネート?

2016-06-08
およそ二時間半の都知事の定例記者会見、その二時間近くが、
政治資金の使途疑惑の釈明に費やされました。
その釈明に何十回「第三者の厳しい目で・・」が使われたことか・・・
 
海外出張時のファーストクラスの利用、ホテルのスイートルーム宿泊など、
条例が定める上限を大きく上回っての海外出張に対する批判、
ほぼ毎週末、湯河原にある別荘への公用車使用に始まる公私混同批判が
この騒動の発端でありました。
 
「遊び回っている訳ではない」
「体調管理も知事の大事な仕事。全てルールにのっとっている」
などと強気な釈明に対し、私の判断基準とは大きな差があると感じつつも、
東京都知事ともなれば、激務をこなすには百歩譲って許される範囲なのかも
知れないと、思いもしましたが、その後の次から次へと続く報道には愕然としました。
 
これが政治学者としての資格を持ち、国会議員、厚生労働省大臣としての
功績を残された経歴を持つ同一人物の行動なのかと理解に苦しみました。
 
都民に寄り添う政治を目指すと公言して当選した知事、その同一人物が、
今、ほとんどの都民から「信用ならない」と云われています。
国民、都民のために存在する政治家、都知事、その役割を果たすための
原資は血税で賄われています。
 
企業のトップ、経営者の場合、今回の一連の騒動とは同一ではありませんが、
自らの言動に対し、厳しく律しなければならないという点では同じです。
 
私の危うい体験事例を記します。
債務超過会社を黒字化、黒字体質にしたのが評価されたのか、次に任された
販売会社は一気に東京、大阪に次ぐ愛知で、人員規模も156人から、
いきなり680人の社員を擁する大型販社です。
 
出勤初日、管理本部長から誠に便利で結構なものを渡されました。
「法人カード」です。会社の銀行口座から引き落とされます。
お客様と食事した時、お客様とゴルフをした時など、
そのカードを使うと便利です。
幹部や、社員との打ち合わせ、慰労などを目的にした食事代などにも使えます。
 
ですが、使い始めて何日も経たないうちに迷いが生じました。
「これは明らかに仕事」「仕事といえば仕事、でもプライベートの部分もある」
わずか一ヶ月の間でさえ、使用に躊躇するケースが度々あり、私の性格上、
このまま持ち続けて良いのか?プライベートを「7割」と感じても
「8割」と感じても、挙句は「9割」感じたとしても、ひょっとして
使ってしまうのではないかという不安に陥ったのです。
 
日が経つにつれ、その判断基準も、自分の都合の良いように
緩んで行くのではないか、それなら、緩まない内に「法人カード」を
持たないことが一番と、管理本部長に「その想い」を告げ、返却しました。
その管理本部長「ありがとうございます!」と、半ばひったくる様に
(そのように感じた?)受け取ってくれました。
私の心の弱さを見抜いてくれたのでしょう。
 
もしあの時、自ら返却したいとの申し入れをしていなかったら、
今の自分はなかったのではないかと思います。
 
特にトップの判断基準というのはだんだん自分の都合の良いものに
変わって行きます。
そういう意味で今回の一連の騒動は、実に良いケーススタディの
題材になったと思うのです。
唯一、自分を律する自らの厳しい判断だけが
「第三者の厳しい目で・・」というフレーズを不要にするのです。

第65回・「クレッシェンド人生」に生きる~今日の自分を明日のあなたへ~

2016-05-11
「ホントに大下さんはお元気ですねえ、お幾つになられました?」
そう聞かれることが多いです。
その度に「おかげ様でずいぶん大きくなりましてねえ」とか
「女性と老人に歳を聞いちゃあいかん」と、冗談まじりにはぐらかしたり
することもありますが、別段隠している訳ではありません。
ですが、あることをきっかけに年齢だけではなく、自分の生き方について
(もちろん人を選びますが・・)話したいと思うことが多くなりました。
あることというのは、「青春の詩(サミュエル・ウルマン」を知ったときです。
 
ご承知の通り、敗戦後まもなく昭和天皇が日比谷の占領軍司令部に
マッカーサー元帥を訪問されました。
その際、天皇陛下がマッカーサーと並んでツーショット写真を撮られましたが、
その部屋に掛けられていた詩がこの「青春の詩(英文)」なのです。
 
そもそもこの詩、アメリカではそれほど有名ではなかったそうで、
ある日本人(岡田義夫・元東京毛織OB)が見つけ、感動し、漢詩調に翻訳しました。
これが松下幸之助の眼に止まり、一躍有名になったと云います。
 
以下にその和訳の一部抜粋、続いて漢詩調に書き下ろしたものを記します。
青春
青春とは人生のある期間を云うのではなく心の様相を云うのだ。
優れた創造力、逞しき意志、炎ゆる情熱~中略~安易を振り捨てる冒険心、
こういう様相を青春と云うのだ。年を重ねただけで人は老いない。
理想を失う時に初めて老いがくる。
歳月は皮膚のしわを増やすが、情熱を失う時に精神はしぼむ。
年は七十であろうと十六であろうと、その胸中に抱き得るものは何か。
~中略~
小児の如く求めてやまぬ探究心、人生への歓喜と興味。
一部難しい言葉は割愛しましたが、次の漢詩調が、簡単明瞭で馴染むかと思います。
 
人は信念と共に若く、疑惑と共に老ゆる
人は自信と共に若く、恐怖と共に老ゆる
希望ある限り若く、失望と共に老い朽ちる
 
この「青春の詩」に接し、深い共感と素晴らしい感動を覚えると共に、
ごく親しい友人にしか話してない、不肖私の目指す「クレッシェンド人生」に
自信を深めました。
この「クレシェンド人生」という言葉、調べてみますと、既にある
バイオリニストが使っていたり、このコラムでも度々登場するコヴィ博士
(七つの習慣の著者)も使っています。
因みにコヴィ博士の場合は「定年までの人生を精一杯生きる」と
「老後をゆったりと過ごす」という二者択一ではなく、第三案の生き方は
「ミッションがある限り精一杯生きる」です。
 
偉そうに言ってはみても私の「クレッシェンド人生」、元はと云えば
PPK(ピンピンコロリン)を転じてのモノ、歴史は浅くて狭く、
せめて関わる会社に少しでも貢献できれば、そして接する人達の方向を決める
きっかけになるのであれば、それ以上の喜びはないという極めてシンプルな
生き方です。
そのためにも、受身ではなく、常に新しい情報を自ら求める姿勢を貫いて参ります。
 
追記
蛇足ながら「クレッシェンド」とは譜面で < で表す「音をだんだん大きく」です。
これに対し > は「デクレッシェンド、だんだん小さく」です。

第64回・笛吹けど踊らぬ部下が唄うたい

2016-04-13

ご存じ「サラリーマン川柳」に見事選外となった自信作の句です。
生保のお姉さんにおだてられ十数句応募し、全く自信がなかった句
「父さんのようになるよと子を脅し」が入選しました。
もう20年近くも前のことです。
どうやら、上から目線か下から目線なのかが判定の差だったようです。
 
この「上から目線」、決して良い意味で使われることはありませんが、
組織を運営して行く上では、むしろ必要不可欠なキーワードと云えます。
それも、うんと上からの目線「山の頂上からの目線」つまり全体を俯瞰する眼を
持たねばならないという意味での目線です。
 
組織のリーダーの資質として必要なものに欠かせないのが、何より先ず
「真摯さ」それに人間力、器量などが続きます。
一方、長年にわたる現場での経験からは、組織を運営して行く上での
最も重要な資質は、「全体を俯瞰する眼を持っていること」であると学びました。
 
とかく小人数のチーム、部門の場合、リーダーはそれぞれの責任の範疇で
戦略、戦術を考えがちになります。
でありますから、それらが果たして全体最適を満たしているか、
ひょっとして個別最適になってはいないかどうかを検証する必要があります。
この検証こそが仕事を進めて行く上では決して外してはならない
プロセスなのです。
 
リーダーが上位職であればあるほど、結果に対する責任は重いのは
当たり前であり、下位職の立案する戦略、戦術が全社方針に合致しているか
どうかを見極め、指導することができなければ、その存在価値はないに
等しいと云っても過言ではありません。
 
更に、トップマネジメントの立場では、組織全体に止まらず、その組織を
取り巻く環境の変化を先読みし、近視眼的な戦略になってはいないかどうか、
中長期的な視点を外してはいないかなども考える必要があります。
これが、コビィ博士(七つの習慣の著者)の云う「山の頂上からモノを見る力」、
つまり「俯瞰力」と私なりに解釈しているのです。
 
上場企業では、株主からの短期的な評価を気にするあまり、自らの保身が
頭をよぎり、中長期的な課題を先送りするといったケースが少なくありません。
かつて自身が身をおく職場にあっても、短期的な戦略、結果に対する評価に
偏りすぎ、中長期的な戦略の社内評価を上げるべきではないかとトップへ
具申した経緯があります。
幸い、モノが言える風通しの良い職場環境でありましたから、お手打ちに
ならずに聞き入れられはしましたが~。
通常、こういったケースはごく稀であり、おそれながらと物申すには
相当な勇気が必要で、受ける経営トップにはかなりの器量の大きさが求められます。
 
かく云う私がトップを務めていた現役時代、
「自由に物を申すことができる雰囲気を醸し出そう」と心がけていた
つもりでしたが、現役引退後、気の置けない元部下に尋ねてみますと
「とんでもないです。言える訳ないですよ」との返答に愕然とし、
続いての
「でも言葉を遮るほどではなかったですよ。一応話は聞いてくれましたから」に
ホッと胸をなで下ろしたものです。
 
今回のテーマである川柳を気に入ってくれているT社役員でもある
恐妻家のAさんに「ウチのカミさん向けにいい川柳ないですかね?」と
言われたので「聴きなさい!そう言う貴女はよくしゃべり」と返しました。
そう云えばAさん宅の経営者は奥様でありました。

第63回・支配する側、される側

2016-03-09
「目のつけどころが違う」吉永小百合を起用した液晶パネルの
CMが非常に印象的です。
私のシャープに対するイメージは「目のつけどころが違う」
画期的な新製品開発に長けている優れた企業という印象です。
古くはシャープペンシルです。
世界で初めて世に出た、まさに目のつけどころが違う企業を象徴する
製品と云えるでしょう。
 
その100年以上の歴史を持つ老舗シャープが海外企業に買収されます。
買収元はホンハイ精密工業(台湾)です。
契約寸前、そのホンハイから契約延期の申し入れがありました。
新たな債務が発生する可能性ありという重大情報の精査に時間を
要するというのがその理由です。
2012年に第三者割り当ての受諾を一方的に反古にした経緯もあり、
シャープ内部では根強い不信感があります。
そういう経緯を踏まえ、今回は1000億円の保証金を差し入れていますから、
よもや契約が流れることは考えられません。
既に3500億円の支援を提示していた産業革新機構は撤退し、買収によって、
大手銀行のリスクは大幅に軽減されることに変わりはないのです。
 
今回のメルマガでは、すんなり契約ができるのかとか、買収金額に
変更があるのかなどを推測するのが目的ではありません。
ホンハイ精密工業という会社はメーカーではなく、アップル、ソニー、
任天堂などといった世界の名だたる大手メーカーから受託生産をする会社です。
いわゆる下請け会社です。そういう会社がものづくり先進国日本の
100年超の歴史を持つ老舗メーカーを買収するのです。
 
ホンハイは下請けではありますが、その存在価値は絶大で、
ホンハイなくしては、大きな痛手を蒙るメーカーも出て来ると云い、
仮に発注元の企業の業績が芳しくなくなったとしても、ホンハイの
経営が揺らぐことはないと云います(当社会長談)。
 
そもそも、世の中は支配する側、される側に分かれることが多いです。
ビジネスの世界においては、必ずしも二分されるということではなくとも、
支配する、あるいは、支配される度合いで、ビジネスが優位に
進むかどうかが決まります。
ホンハイとは業界も形態もまるっきり異なりますが、我々と同じ業界では、
ディラーでありながら、仕入先であるメーカー同等、あるいはそれ以上の
支配力を持つ商社があります。
16年前、東証の一部上場を果たしたO商会です。
メーカーRの製品を年間1億円以上取り扱う販売店が全国に400店近くありますが、
このO商会の年商は6000億円ですから、まったく別格です。
 
現役時代、新装なった10階建ての本社ビルで、両社のトップを始めとして
経営幹部が100名くらい集う会議に出席したことがあります。
議題は、販売戦略はもとより新製品開発などにも及びます。
O商会の仕入先はRだけではありませんから、メーカーに支配される度合いよりも、
支配する度合いの方がはるかに上回っています。
 
量販店は云うに及ばず、あらゆる分野で同様の構図が見られますが、
いずれの場合も双方にとっての存在価値の大きさが支配力の度合いを決めます。
 
そして何より、独占企業でない限り、最も強力な支配力をもっているのが、
それら製品を選択する権利を有する消費者であります。
 
消費者に選ばれ続けるための最重要課題は、CS(顧客満足)活動、
更にはCD(顧客感動)活動を抜きにしては考えられません。
70周年を超えた弊社、今後も皆様にご指導頂きながら、
地道なCS活動はもとより、CD活動を目指した事業展開に挑んで参りますので、
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