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大下智のビジネスコラム

弊社常務・大下智・略歴

(株)リコーの国内マーケティング部門において40年以上のキャリアを持つ。
マネージャー
としては、福井リコー敦賀営業所所長を皮切りに、以後
同社営業部長、兵庫リコー営業本部長、岐阜リコー社長、愛知リコー社長、
リコー販売事業本部副本部長、リコー中部社長などを歴任。そのいずれもを
リコーグループのトップ会社へと牽引し、2004年にはダイヤモンド誌の
「日本の営業40人」に選出される。
また、現在、出身地・福井県若狭町のふるさと大使としても活躍中。
                 著書に自身の体験を綴った『リーダーの覚悟』が2018年3月26日発売。

大下智のビジネスコラム【――素描――】 バックナンバー

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第87回・行動するかどうかは、「やるべきか、やらざるべきか」という判断で決せよ

2018-03-07
5か月前、突然、自分の能力を顧みず出版を決意しました。
10月3日、早朝に某地方銀行元支店長の友人M氏から
「大下さん。コラムはいつも見てるけど、あらためてホームページで
最初から全部読みました。そのうちになんて言ってちゃダメです。
年明け早々に出版すべきですよ」との電話です。
それ以前にも、「ビジネスコラム、本にしたらいいよ」とか
「私が教えますから本にしましょう」と言ってくださる著名な方もいらっしゃいました。
その度に「そんな能力はないです」と言ったりして場をはぐらかしていました。
そんな大それたこと、不遜なこと、とんでもないというのが本心ですが、
朝一のM氏の強烈な「出版すべき」というフレーズが心を動かしました。
自分の信条の一つに「やりたい、やりたくないではない。
やるべきかやらざるべきかという判断で行動を決せよ」があります。
「我が行いにせずば甲斐なし」は私の座右の銘でありますが、これと
同意語ではありません。
先人、偉人にとどまらず、優れた人々の教え、言動など書籍から、
あるいは直接、間接的にを問わず感銘を受けたことを、受け流すのではなく、
自分の行動に移すのが座右の銘です。
これに対し、もう一方は、多くの場合、誰かに何かを依頼された、あるいは
何かの集いに参加の誘いを受けたときなど、どうするのかの判断基準と
いっていいでしょう。
「これまでの人には、これからの人に伝える義務がある」と
自らに言い聞かせ、座右の銘通り我が行いにすることこそ、
私のライフワークなのです。
そう言えば、かのM氏、これまでにも自身のビジネス人生の別の
ターニングポイントに関わってくれています。
一回目が2001年、愛知リコーの社長として、ちょうど赤字体質から脱した2年目、
岐阜市にある税理士法人主催のセミナーで「赤字経営は罪悪だ!」との
予め設定されたテーマで、2時間たっぷり話した経緯がありますが、
仕掛け人は彼だったのです。
関与先の中小企業150社のトップを相手に、私としては大それた行動です。
もちろんやりたくての行動ではなく、やるべきとの判断で決した行動です。
打ち合わせで2時間と言われ、せめて1時間半と交渉するも認めてもらえず、
予定通りちょうど2時間話しました。
このことがあってから、何故か社外で話す機会が増えました。
例えば、故郷である三方町(若狭町に合併前)の教育委員会から、
立志式(中学2年生を対象とするいわば元服式)での講演を依頼されました。
その後、母校である若狭高等学校、三方第二小学校(現梅の里小学校)
などでも話しました。
たぶん、こんなことがあったから、若狭町にふるさと大使制度ができると同時に
委嘱されたのだと思います。
大したお役に立っていないと思いますが、ふるさと大使の名刺は、
「決して怪しい者ではありません」という証明書ですと渡しています。
主題に戻ります。やるべきか、やらざるべきかを自らに問うとき、
「これは大変だなあ」と思うことの方が多いです。
ですが、やるべきとの判断を下しますとそれからの準備に多くの時間と労力を要します。
果実は、自分がいくらか成長できたかなと感じることです。
今回の出版に関してですが、タイトルは「リーダーの覚悟 TRY×TRY×TRY」で
ダイヤモンド社から3月26日に発売になります。
コラムをベースにしてオリジナリティ満載です。
クレッシェンド人生の集大成と捉えています。

第86回・営業あるいはマネジメントに求められるのは再現性

2018-02-07
弊社にはジョウショウ会と称するモノが二つあります。
このジョウショウ会、スタートして八年目になります。
何故、ジョウショウ会と記したのか?それは上翔会、そして常翔会と
呼び方が同じで、中身がまったく異なるジョウショウ会があるからです。
上翔会は毎月、営業マンを対象に一定の業績(三か月移動平均で)に
届かなかった人に参加する権利が与えられるというものです。
あえて権利が得られるとし、対象者には「参加資格が取れたね」と言います。
勉強する義務の発生ではなく資格が取れたのです。
おかげ様で、もうすぐまる七年に達しようとしたとき、参加資格者が
ゼロ(新人を除いて)になり、そのままでは開店休業状態となるので、
そのハードルを高くして再スタートしました。
もう一方の常翔会は三か月に一度、営業マンだけではなく、サービスマンを
加えて、優秀者が社長を囲む食事会に招待されるというものです。
この常翔会に異変が起きました。
上翔会以来、常連と言っても過言ではない人が常翔会に入って来たのです。
一過性にはならないようです。
何故、一過性にならないかを、前月の上翔会で、塾頭の私が話したことを
以下に記します。
三〇年にもわたる自身の長いマネージャー、リーダーという体験の中で、
私はマネジメントには二つの型があるということに気付いたのです。
マネジメントをそのまま営業と置き換えてください。
一つ目が、戦略的創造型再現性営業と名付けたものであり、
二つ目が、出会い頭的対応型これっきり営業とこれまた勝手に呼ぶものです。
前者は文字通り、戦略的であり、創造的で、たまたま結果として、
良い成果が出たというものではなく、同じプロセスを踏めば、
同じ成果が繰り返し得られ、更にそのプロセスに改善を加えれば、
更に大きな成果を生むというものです。
言い換えれば、前者は再現性のブラッシュアップを求める戦略的且つ
創造型PDCA営業なのです。
かたや後者の特徴は、前者が能動的であるのに対し、受動的であるところに
大きな違いがあります。
言うまでもなく営業の仕事は行動しなければ始まりません。
動けば必ずぶつかります。動けば動くほどぶつかる確率は高くなるのです。
だから部下に対し、「販売台数は訪問軒数に比例する」と口酸っぱく
言われて来たし、言っても来たのです。
三〇年、四〇年経った今も同じように営業を指導しているマネージャーも
少なくありません。
ですが、この指導方法は出会い頭を増やして商談の機会を得るというもので、
そもそもネット社会では必ずしも歓迎されませんし、非効率でもあります。
それでも成約につながることはあるものの、「部下育成」という重要な
ミッションを果たすには、誠にお粗末なマネジメントと言うしかないのです。
営業は科学ですが、マネジメントも科学的でなければなりません。
マーケティングを理解することで、戦略的な発想が生まれ、根拠性の
ある行動計画へとつながって行きます。
従って結果の再現性は自ずと高くなるのです。
より高い再現性を求めた創造的な思考と論理的な考え方に基づく行動を、
主体的に考えさせ部下を指導して行かなければならないのです。
この戦略的創造型再現性マネジメントを、PDCAのサイクルで回して
行くことが、スパイラルアップにつながり、部下のみならず、
自分自身のマネージャー、リーダーとしての能力も高まって行くのです。

第85回・心清事達

2018-01-17
正月早々嫌なニュースが飛び込んで来ました。
一生に一度の成人式という記念日が台無しになったのです。
成人の日の8日、貸衣装業者「はれのひ」と連絡が取れなくなり、
予約していた振袖など晴れ着が新成人に届かないというトラブルが相次ぎました。
被害者は数百人に上るとも云います。
金額にして、一人あたりが十数万円から数十万円の被害額と云いますから
一億円くらいの規模になるのでしょうか?
大金を失うことも悲しいことですが、晴れやかな気持ちが一転、何処に
怒りをぶつけて良いのやらと相当落ち込み、また毎年この嫌なことを
思い出さざるを得ないと思うと腹立たしくなって来ます。
大人の門出にはあまりにも酷な仕打ちと云うしかありません。
どうしてこのような事件が起きるのか不思議でなりません。
全うな神経の持ち主であれば出来る筈もないことです。
このニュースをテレビで知り、一瞬、昨年の旅行業者「てるみクラブ」の
破綻を思い出しました。
手口も良く似ています。破綻寸前まで、現金客優遇でお金を振り込ませています。
振り込み詐欺とほとんど変わりません。
旅行を楽しみにして、コツコツと貯金を積み立てた人、両親に旅行を
サプライズでプレゼントした人、ハワイで挙式の予定だった人など様々です。
多くの人が海外に渡れなくなったり、現地で立ち往生した人も多く見られました。
これら二つの事件に共通するところがあります。
経営者の考え方に大きな欠陥があると言うことです。
十年以上前に北京にある故宮博物館を訪れた時、その館内で人間国宝級と
言われる方の書を販売していました。
自分の好きな言葉をリクエストして書いてくれるのです。
その時、お願いして書いてもらったのが「心清事達」です。
心が清らかであれば事は達するという意味です。
事業家の原点であり、自分への戒めの意を強くしたのです。
社長を任された三社目で十年を超えた時期でもあったので、私としては、
その代金として大枚四万円を支払い、喜んで帰って来ました。
こういうものにそれだけのお金をかけたことはありませんが、何故か
どうしても書いて欲しいという気になったのです。
日本に帰ってから、中国に多少詳しい知人にその話をしますと、
「四万円は高いね。まあ一万五千円ってとこですよ」と、「暗にバカだね」と
言われているようでしたが、別に売るために買ったのではないですから、
まあいいかと、悔やむこともありませんでした。
偽物を掴まされた訳ではありませんし、第一、間違いなく目の前で
書いてくれたのを買ったのですから偽物では百パーセントないのです。
ただ書いてくれた人、その人の経歴とか素性を教えて貰った訳ではなく、
それほど有名な人と信じた訳でもないのです。
云えることは間違いなく、私より百倍上手く書いてくれたのですから
それで良いのです。
この買い物を思い出したのではなく「心清事達」の鮮やかな書を思い出したのです。
事業を行なう以上、リスクは伴います。誰もが成功する保証は何処にもありません。
事実、どんな好景気の時であっても倒産する企業は出て来ます。
不幸な事態になり、結果、債権者に迷惑をかけることは避けられないのですが、
今回のはれのひ、昨年のてるみクラブが、最後に取った行動は、事業家として、
いや人間として決して許されるものではないのです。

第84回・事業承継に不可欠な俯瞰力とは?

2017-12-13
我々「団塊の世代」の引退と併せ、事業承継とそれに関わる
ビジネスが空前のブームとなっています。
言うまでもなく、事業承継というのは単に、相続対策、節税対策、
それに後継者を誰にするのかといった狭い範疇だけをいうのではありません。
かつては、後継者といえば親族からが定説でありましたが、
近年では、社員を含め、外部からが半数以上を占めるようにもなって来ております。
またM&Aも専門業者は言うに及ばず、税理士法人などでも主要な事業として
位置づけているところもあります。
何よりも先に考えなければならないことは、事業そのものを継続して
行くかどうかが最も重要であり、継続して行くのであれば、五年、十年、
あるいはそれ以上先の世の中の変化、トレンド、自社を取り巻く環境の変化などを
俯瞰し、それらに対応出来る準備を怠ってはならないということです。
分かりやすい例が身近にあるので以下に記します。
姉を亡くして十六年になりますが、ビジネスマンとしての私を高く
評価してくれていました。
その姉夫婦の生業は赤尾洋服店で、紳士服専門店に近い形態でした。
商売はずっと繁盛していましたが、世間の情勢は、紳士服のはるやまとか青山が、
同じ街に進出するようになりました。
その姉から「このまま続けて良いと思う?」と訊いて来たので、
「紳士服中心で行くのは脅威かもね」などと、話し合っていました。
次に訪れた時には、何と、店の名前が、“ブティックあかお”に変わっており、
何より店内の様相が一変していたのです。
それから十年くらい後、病院とは無縁と思われた姉に癌が見つかり、
即手術となりましたが、入院する直前に店を閉鎖し、店内の商品すべてを、
それまでお世話になった人、お客様に差し上げたのです。
こんな潔い、格好いい廃業の仕方もあるということを教えられました。
そして、手術の後は点滴だけで命をつなぎ、一年後他界したのです。
身内ながら、お見事、姉にしかできないと今も脳裏から離れることはありません。
常務として関わる弊社には継続する以外に選択肢はありません。
選択肢があるとすれば、後継者の目指す姿であります。
後継者の方向性としては、大きくは二通りあります。
一つ目は、創業者に近い形、つまり、トップ自らが、前線のトップに立ち、
企業家の如くすべてに精通して、引っ張って行く形であり、もう一方は、
一言で言うなら「徳川幕府型」、つまり、将軍が信頼のおける大老、老中を任命し
政(まつりごと)を任せるやり方であります。
ただし、幕閣は、必ず将軍の決済を仰ぐという形、幕閣は判断しやすいように、
定期的(一ヶ月毎)に、あるいは大きな出来事、変化があった時は、
速やかに報告、相談するというものであります。
因みに、この形を徳川型とすれば、その対極は豊臣型ですが、
豊臣型が短命に終わったのは、徳川型(二大老、五奉行)へ切り替えたものの、
時、既に遅しであります。
豊臣型を目指すのであれば、トップ自らが五年も十年も先を読みながら前線に立ち、
社員を引っ張って行くと同時に、将来に備えて幕閣の育成にも
力を入れて行かねばならないのです。
どちらを選択するかはトップの決断であり、どちらがベターかは、
その時々の経営状態、財務状態だけではなく、将来を見据える俯瞰力を前提にして、
圧倒的なビジネスモデル構築に向けての十分な準備と、その可能性の見極めも、
重要な判断材料となるのです。

第83回・経済合理性ばかりを追求していると会社は壊れる

2017-11-08
二年前の「ビジネスコラム」のタイトル、「東芝に学ぶ」で発信した
その骨子を次に記します。
東芝といえば日本を代表する企業であります。百四十年という
歴史を持つ名門企業がこともあろうに、長年にわたって粉飾決算を行って来た
疑いがあるとの報道が連日、マスコミを賑わせました。
企業は戦う集団でもあるので、戦うからには勝利を目指すのは当然であります。
ですが、スポーツにルールがあるように、ビジネスにもルールがあり、
ルール違反が及ぼす影響は、スポーツとは違い実社会が対象になるだけに、
その影響は計り知れないほど大きなものになることが多いのです。
三代の社長にわたって不適切会計が続いていたということは、
三人の社長それぞれがどれほどの経営手腕を発揮されたとしても、
その責任の重さは、はるかに大きく決して免れるものではありません。
その東芝の大半を稼ぐ主要事業である半導体部門を手放すことが、
株主総会で可決されたことは報道された通りであります。
また別のコラム「生き方」というタイトルで記述した、京セラの創業者でもあり、
JALの救世主と言っても過言ではない稲盛和夫氏の教えを思い出します。
氏の主張する「人生の方程式」は、今やビジネスマンを問わず老若男女に
浸透して来ています。
繰り返しになりますが、これも次に記します。
人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力
あるいは、成功=人格・理念×考え方×能力
個人にあっては「人格」法人においては「理念」と解釈し、
その理念を貫き通すのは、経営トップの「人格」と考えると、
分かりやすいのではないでしょうか?
私自身が貫いて来た考え方の軸の一つに、「自分には嘘をつくな!」があります。
人に嘘をついても良いというつもりはありません。
自分にと敢えて付け加えるのは、自分に嘘をついたら自分でなくなるからです。
私の株式会社リコー本社での本当に辛い一年間について詳しく記述することは
控えますが、ビジネスマンとしての輝かしい未来が開く可能性を、
自ら閉ざすことを承知で「自分に嘘をつくな!」を貫いたのです。

それにしても、日本を代表する企業の不祥事は、次から次と後を絶ちません。
東芝は前述した通り三菱、日産、現時点での直近は神戸製鋼所の数十年に及ぶ
データ改ざんであります。
経営幹部の人格に大いに疑問を抱かざるを得ないのです。
「それが正義か?」とか「大義があるか?」と自分に問いかけず、
本当にぐっすり眠ることが出来るのか?
それともそう言う私が、ただの小心者ということでしょうか?
そもそもの、不祥事の発生要因をよくよく考えてみると、
特に上場企業にあっては、株主の短期的な評価を気にし過ぎるところが
あると思っています。
また社外取締役の機能も働いていません。社外取締役に辛辣な発言が
出やすいようになっているのか?その発言を経営トップは真摯に受け止めることが
出来る器量を持っているのかどうかも問われるところであります。
「東芝のチャレンジ!」の背景も、無茶な業績追及にあり、神戸製鋼所など
他の企業の共通点は、不正をしてまでのコスト削減で、利益の追求、言い換えれば
「手段を選ばない経済合理性の追求」で、消費者を、取引先を、そして
一般社員までをも欺いているのです。

第82回・ライフスペースの広さとボキャブラリの多さ

2017-10-11
10月1日放映の「そこまで言って委員会」で、彼らしいパフオーマンスを
魅せていたその前日、久方ぶりに宋文洲(ソフトブレーン創業者)と
電話で楽しい時間を過ごしました。
一年後の弊社75周年記念事業の一環として、講演会講師としての打診が目的です。
超多忙で有名人、ちょうど話中でしたが、これまでの経緯からかかって来ると
思った通り十分もしないうちに、スマホが鳴りました。
 
以下にそのまんまの一部を記します。
「大下さん、電話くれました?」
「しましたよ。いやぁお久しぶりです。相変わらず多忙ですねぇ」
「大下さんお幾つになりました?」
「随分大きなりましてねぇ。ちょうど70です。」
「若いですよ。声が全然変わってないもの。」
「宋さん、これは受け売りですけどね、若さを保つ秘訣、二つあるそうです。
一つはライフスペースの広さ、もう一つはボキャブラリの多さだそうです。」
「えっ、ライフスペースの広さ?なるほどよく分かります。
それに大下さんはコミュニケーションが楽しい。表情がいいもん。」
彼こそライフスペースが比較にならないくらい広いし、ボキャブラリも
中国人ながら日本人が顔負けするほど豊富、辛辣な表現こそ多いが嫌味がない。
本題に入るのに時間のかけ過ぎは申し訳ないと用件を切り出すと
「その時期はちょうどアメリカにいる子供達の入学に関してアメリカを
縦断するくらい飛び回っているのでごめんなさい。」でした。
続いて「変な中国人より立派な日本人たくさんいるから~そんな話より、
名古屋に用事作るから一杯やりましょうよ。」
「万障繰り合わせますから是非お越し下さい。」
彼の人間力の広さと深さをあらためて感じたひと時でした。
2003年、リコーの東京本社に転勤になった時に、初めてお会いし、
仕事の絡みもありましたが意気投合、東京を離れる時
「一生の友達になって下さい。」と言われた時は感動です。
「中国人はみんなそう言うんですよ。」と言う人もいましたが、
彼の本音と信じ、他人の言うことに意を介さずです。
それを証明するようなエピソードを一つ。
リコー中部の社長室にいると、彼からの電話
「大下さん、今名古屋に来ているんだけど何処にいる?」
所在地を知らせると、ほどなくやって来ました。
「この事務所間借りさせてくれませんか?名古屋に支社を作りたいんです」
当時、東京海上ビルの19階20階の2フロアを借りており、スペース的には
問題はないもののセキュリテイ問題も危惧されるという意見もあり、
理由を伝え、お断りしました。
その後、リコー子会社に販売担当役員として異動も、いろいろ訳あり、
結局リコーグループを卒業することになりました。
宋さんの計らいでソフトブレーン(東証一部)の主席コンサルタントとしても
お世話にもなりました。
その後、弊社ミカワリコピーにより深く関わりたいという強い想いから、
契約を打ち切って欲しいと申し入れ、了承を得、宋さんにお礼方々報告すると
「僕にできることは何ですか?」と心配してくれました。
もちろん「私の方から勝手なお願いをしたのです。」と話すと納得でした。
この数分の電話のやり取りで、この変な中国人から学べます。
これまでも話中だったり、電話に出れない時は必ずかかってきます。
それも先ず「大下さん」が一番に来ます。数分の電話の中で何回か、
相手の名前が出て来るのです。
「一人称」より「二人称」を優先させるこれが彼の流儀です。考えさせられます。

第81回・スモールゴールの積み重ねの二乗が最終ゴールを決定付ける

2017-09-13
現役時代、デンソーの特別顧問(元社長)に講演を依頼し、
講演先の富山市からの帰り道、専用車で名古屋までの四時間あまりを
ご一緒させて頂くという“おまけ”まで頂戴したことがあります。
氏は70歳台後半というご高齢にもかかわらず、驚くほどパワフル
(講演時とご一緒させて頂いたゴルフ、車内での印象)で、
十年以上経過した今も鮮明に記憶に残っています。
以下に車内でのやり取りを簡略に記します。
「講演の原稿はご自身でお創りですか?」
「もちろん、自分で調べて組み立てますよ」
「私の場合、一時間話すのに、17.8時間はかかっていますが、
  どれくらいかけられますか?」
「因みに今回の準備には、その倍以上の時間をかけています。いつもそうだけどね」
「それは、失礼致しました。大いに反省です。以後、もっともっと準備に
  時間をかけるよう改めます」
長きにわたり、デンソーの社長、会長を務められた経済界のトップでさえ、
これだけの準備をされているというカルチャーショックが、
その後の生き方に大きな変化をもたらしました。
一言で表すなら“どんな場面であれ、言葉を発することをなめたらアカン”です。
仮に、3分のスピーチでも、インパクトのある話を心がけ、そのための
リソースの確保、整理は必須と肝に銘じました。
次に、三か月間にわたる外部機関による新人研修の閉講式でのスピーチの抜粋を記します。
「お疲れ様!この研修は本日で終了ですが、始まりでもあります。
二泊三日の第一ステップに始まり、三か月間の自己啓発、そして第三ステップは
一泊二日の完成合宿と見事、それぞれをクリアして来ました。
第一をクリアし、第二ステップへ、それをクリアして第三ステップへ、
全てをクリアしたから今があるのです」
続けて前述の特別顧問の講演の一部を引用し
「世の中で一番信用度の高いのが天気予報、一番低いのが政治家と言われますが、
その政治家の中で、好感が持てるのが、都知事の小池百合子氏です。
先の都議選における“都民ファースト”の候補者全員への激励文に添えた言葉が
”グリコですよ”だったそうです。
”あのランニング姿で片足を上げ、両手を挙げてゴールインする姿をイメージして、
どんなに苦しくても頑張って下さい”です。
結果は自民党の敵失もありましたが圧勝でした。
繰り返します。皆さんのビジネスマン人生は今が始まりです。
大目標(ファイナルゴール)までには、いくつものスモールゴールが待ち受け、
それぞれのゴールをクリアするためにスモールステップがあります。
幸運にも、この三か月間、そのミニ版ともいうべき貴重な体験をしました。
よく“努力の積み重ねが結果を生む”と云いますが、個人的には
“スモールゴールの積み重ねの二乗が最終ゴールを決定付ける”と思っています。
自ら意識して沢山のスモールゴールのクリアを積み重ねて下さい。
ご健闘を祈ります。以上!」です。
第79回のコラムでも“孫子の兵法”を熟知しておられるということに触れておりますが、
小池氏はもの凄く勉強されています。
これは想像ですが、“七つの習慣”に関しても熟知されているようです。
先ずは第二の習慣“終わりをイメージする”で、それが明確だから
“主体的になれる(第一)”と続き、ゴールインするために必要な
“優先事項の実践(第三)”ができたと思うのです。
たった一言“グリコですよ”で深い意味を伝えているのです。

第80回・~捲土重来に期待を込めて~

2017-08-09
一か月前、高校の同窓会で宿泊したホテルのスタッフ、すぐ前の小浜公園の
一角を指差し、「あそこが、地村夫妻が北朝鮮に拉致されたところですよ」と、
当時の拉致の様をリアルに教えてくれました。
実はその人、夫妻が帰って来られた時の市の総務課長、戸惑いながらも、
「本当に貴重な体験でした」と話される言葉が印象的でした。
ご承知の通り拉致被害者帰還の一翼を担ったのが当時、官房副長官だった
安倍晋三氏です。
個人的には、この時の一連の対応、そして半年前、アメリカ大統領選直後の
トランプ氏との会談、立場も中身もまるで違いますが非常に頼もしく映りました。
ここ近年の政権があまりにも短命だっただけに、ようやく中短期を見据えた
政治につながるのではと、大いに期待して来たのですが・・
一転したのは森友問題です。
首相を支える立場にある大臣の失言、党員のスキャンダルもあったとはいえ、
政権を揺るがすほどではありませんでしたが、これはいけない、と
危惧したのが、森友問題に続いての加計問題です。
メディアによっては、首相を擁護する論調あるも、政策云々よりも首相の人柄が
信用できないという理由が支持率急降下の原因になりました。
7月23日付け、日経「春秋」からの抜粋です。
「諌」という字は最近では、見かけることが少なくなった。「諫言」の他、
自らの命と引き換えにし、主君を正そうとする「諫死」も古典にあり、
江戸時代、黒田藩の家老が、「諫死」を覚悟で藩主の不品行を訴え、
お家の断絶を救った経緯がある。
一方、安倍首相の周囲にはわずかな諫言さえする人はいない。
お友達、同じ思想、イエスマンだけ、と党内からも皮肉られ、支持率は坂を転がる。
更に、こういう場合によく引用される唐の太宗の話、側近に対し諫言を
進んで求めたことにも触れています。
私の知人(友人だよと言ってくれるかも・・)に宋文洲がいます。
彼は外国人として初めて東証一部に上場した企業家です。
今は、辛辣な発言、歯に衣着せぬ発言を厭わない本質論者コメンテーターとして
活躍しています。
彼とは2003年に知り合い、その後も公私にわたり何かとお世話になっています。
今は、定期的に届くメールを通じ勉強させて貰っています。
直近の宋メール「トップの体質は組織を決める」の骨子の一部を紹介します。
「どんなトップでも自分がトップに相応しくないとは自ら思わない。
トップになった以上、トップにいることを当然だと思う。
そして長くやればやるほど、自分のなすことが正しいと勘違いするようになり、
媚を売るようになる。
この罠はとても居心地が良くて逃げ出す原動力がなかなか生まれない」
また最近読んだ「活眼活学」の著者、安岡正篤氏は
徳川幕府が長く続いた訳を説いた後、同様のことを言っています。
「藩主なり大将が、自分だけいい気になって、自分のご機嫌をとってくれるような
いい加減な人間だけ集めて満足していると、案外もろく、たちまちのうちに没落している。
これは成功者の末期によくある現象である」
8月3日の新内閣発足にあたっての記者会見の冒頭、歴史上かつてない謝罪、
それも8秒間、深々と頭を下げました。
一国の首相のこの態度(組閣人事も含めて)をもう一度信じ、捲土重来に
期待したいと思います。
不遜ながら長年の経験の中で実践して来たことの一つに
「企業経営においても与党内野党を加えた経営」があります。
決して面白くはありませんが・・。

第79回・「孫子の兵法」で都議選に圧勝

2017-07-12
都民ファーストの会の圧勝、自民党の大敗、まさに国政をも揺るがす
歴史的選挙でありました。
改めて「プレジデント5月29日号」を読み直しました。
小池百合子氏と池上彰氏の対談です。
小学生時代から“孫子の戦略”に親しみ、関連書を10冊所有、選挙でも
「孫子の兵法」を用いています。
またマーケティングオタクと自認する通り、「マーケティング戦略」についても
勉強されており、ビジネスでも戦争でも、重要なことはマーケティング
つまり戦略だと言い切っています。
一流の政治家ですが、ビジネスの世界に身を転じても、
即、一流の経営者になれると思います。
「敵を知り、己を知らば百戦危うからず」は、相手の事情を知り、
自分達の事情を知っていれば敗れることはない。
ビジネスも同様、マーケティングとは顧客のニーズを探る、
つまり相手のニーズを知る、「都民ファースト」も、都民のニーズを知らなければ、
政策もできないし、実践もできない、魂も入らないと言うのです。
戦略に止まらず、氏の経験の豊富さは圧倒的です。
自身の選挙では、92年の参議院議員を日本新党の全国比例代表で戦い、
衆議院では中選挙区、その後は小選挙区で戦っていますから、
1人区、2人区、それ以上の選挙区での戦い方も熟知しています。
 
戦略は続きます。
「卒を視ること嬰児の如し、故にこれを深谿(けい)に赴くべし」とありますが、
要するに、兵隊達を自分の子供のように見て大事にすれば皆頑張る、
結果、その通りになりました。
無名の候補者が小池氏とツーショット、加えて、氏からの強いメッセージとあっては
圧勝しかありません。
池上氏も続きます。
孫子に「兵は詭道なり」、つまり、戦争とは敵をあざむくとの意味だが、
一年前の6月29日に、都知事選出馬の記者会見を開いて、自民党東京都連会長の
石原伸晃氏を激怒させ、まさに詭道なりと感じたに対し、小池氏、
「勝兵は先ず勝ちてしかる後に戦いを求め、敗兵は先ず戦いてしかる後に勝ちを求む」
と返しています。
予め、勝利する態勢を整えてから戦う者が勝利を収め、戦いを始めてから慌てて
勝機をつかもうとする者は敗北に追いやられるとも言っています。
都民ファーストの会の公募、小池塾などは勝利する態勢を整える
具体的な行動だったのです。
それにしても、今回の都議選、余りにも勝ち過ぎ、と言うより、
自民党は負け過ぎました。
サッカーに喩えるならオウンゴール、しかも1点や2点じゃない、大量点です。
その一つ、ひとつには触れませんが、とても高学歴だったりエリートの
言動とは思えないことばかりです。
このコラムの「掟」(自分が勝手に創った)の一つに、
「自分の体験を入れる」があります。
現役時代、幸運ながら営業責任者とか、販売会社の社長を25年余にわたり、
務めさせて頂きましたが、自身に言い聞かせ、実践して来た「掟」(今も実践中)があります。
それは側近に対して「諫言」を求める姿勢であり、上司に対しては勇気を持って
「諫言」をする姿勢です。
代表的な例を記します。
受け入れた強烈な諫言は
「殿!ご乱心を・・」であり、
勇気を振り絞っての諫言は
「社長の信用が堕ちます」です。
惨敗の原因となってしまった人達は皆リーダーです。
もし一人ひとりに諫言を受け入れる姿勢、勇気を持って諫言する勇気があったならば、
如何に優れた戦略「孫子の兵法」を駆使したとしても、ここまでの結果には
ならなかったと思うのです。

第78回・その2~300年先を考える男が3000年前に学ぶ

2017-06-07
前回のコラム発信後、有難いことに何人かの読者から「続編を是非!」との
メールを頂戴しました。
余談ながら、このコラムの執筆を始めるにあたり、勝手に幾つかの
「決まり」を自分に課しています。その一つが.文字数です。
テーマによって、文字数が「決まりの1300~1400」に収まりきらない場合、
続編とは表記せず、テーマを少し変えて、続きのような内容にします。
今回は、最初から複数回になると予測したので、その1に続き、
その2と続けることにしました。
さて、テーマにもある300年先を考えるとは孫正義社長が、決算発表の席上でも
公言しています。
また3000年前というのは、「孫子の兵法」ができたのが、紀元前500年頃ですから
2500年超前、切り上げて3000年前としたのです。
「孫子の兵法」は先祖の作ではないかと言うほど、入れ込んでおり、
これにランチェスターの法則、更には孫氏自身の、猛勉強と体験から編み出した
「孫の二乗の兵法」を経営哲学に創り上げ、経営に活かしているのです。
以下に、2010年に開校した「ソフトバンクアカデミア」の開校式の講義で
語った内容を記します。
「今まで僕は何千冊の本を読み、あらゆる体験、試練を受けて、この二十五文字で
達成すれば、僕はリーダーシップを発揮できる。後継者になれる、本当の
統治者になれるというふうに心底思っている、その二十五文字です」
前回、その1のコラムは半導体の設計を牛耳る英アームの3.3兆円に上る
巨額のM&A、今回のその2は、サウジアラビアなどと10兆円規模の
投資フアンド発足の記事が、5月23日と24日の二日にわたり日経で
報じられたのがきっかけです。
記事の冒頭は、5月20日、世界中の注目を集めたトランプ氏の初外遊中、
トランプ氏同席のもと、サウジ政府関係者と契約書を交わした。
米アップル社なども出資するが、ソフトバンクの連結対象となる。
これまでのように44%という高い収益率でリターンを生めばドル箱となる
可能性を秘めているといったものです。
一方、アームのM&Aを含め有利子負債は14兆円、この額はスエ―デンの年間予算に
匹敵すると云いますから、借金王孫正義の面目躍如?といったところです。
次なる成長への大きな賭けにより、ソフトバンクは新たなリスクを
抱え込んだという冷ややかな見方も出ています。
「孫の二乗の兵法」の二段目の「頂情略七闘」は全て孫正義のオリジナルで、
その一字目の「頂」は山の頂上からの見える景色を想像するです。
今回の10兆円ファンド設立の決断も、人工知能(AI)によって人類史上最大の
パラダイムシフトが起きることを「山の頂上から見た目」で確認し、
AIによる情報革命が生む果実をファンドを通じて手中にすることが
できると確信したようです。
こんなとてつもないことをやる男が、実はしっかりと、
リスクヘッジをしています。
「孫の二乗の兵法」にある「群」戦略です。
同じ志を持った優秀な人物や、会社、今回は国家をも加えています。
同様に「頂情略七闘」の「七」は、7割以上の勝算が見込めればGO!
言い換えれば3割以上のリスクは冒さないと言っています。
これだけのことをやりながら、「本当はものすごく用心深いんです」と
言うのですから驚きです。
「孫子の兵法」は、広く読まれていますが、孫正義という天才が猛勉強して
開発した「孫の二乗の兵法」を実践し、幾多の試練を乗り越えて来た事実に
学ぶ価値の大きさをあらためて知らしめられたが実感です。
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