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大下智のビジネスコラム

弊社常務・大下智・略歴

(株)リコーの国内マーケティング部門において40年以上のキャリアを持つ。
マネージャー
としては、福井リコー敦賀営業所所長を皮切りに、以後
同社営業部長、兵庫リコー営業本部長、岐阜リコー社長、愛知リコー社長、
リコー販売事業本部副本部長、リコー中部社長などを歴任。そのいずれもを
リコーグループのトップ会社へと牽引し、2004年にはダイヤモンド誌の
「日本の営業40人」に選出される。
また、現在、出身地・福井県若狭町のふるさと大使としても活躍中。
                 著書に自身の体験を綴った『リーダーの覚悟』が2018年3月26日発売。

大下智のビジネスコラム【――素描――】 バックナンバー

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第10回 事前の一策、事後の百策に勝る

2011-10-12
これまでのビジネス人生で大切にして来たことは沢山ありますが、
失敗をして痛い目に遭い、今後二度と繰り返すまいと
肝に銘じたことが少なくありません。
本当に酷い目に遭い、どうしたら未然に失敗を防ぐことができるかをも
真剣に考えたことも度々です。
そのお陰で、相当に厳しいビジネスに臨んだ場合においても、
思いの他、優位に進めることができたという貴重な経験も積み重ねて来ました。
正に、失敗は成功の母の由縁だと思います。
 
言うまでもなくビジネスは戦いです。
その戦いに勝つには戦略戦術は不可欠です。
 
勝つための戦略を一言で表すなら、可能な限り先を読み、
徹底的な準備をすることではないでしょうか?
一手や二手先を読むのは普通であって、五手、六手と
場合によっては十手先をも読む必要があります。
 
 
冒頭にも申し上げたように、
たった一つ事前に手を打たなかったことが、
その後のビジネスに大きく影響するのです。
 
些細とも思える判断ミスがビジネスの進展を遅らせ、
停止、中止といった事態を招くことになります。
それを挽回するために奔走し、疲労困ぱいし、
結局はコストと時間をかけ、挽回及ばず徒労に終わっただけ、
あるいは信用を失ったなんてことを残念ながら経験もして来ました。
 
それらの貴重な体験から、
それを防ぐキーワードが三つあると自分なりに学びました。
 
 
その第一番目に来るのは何と言ってもコミュニケーションです。
ビジネスマンとして高めて行かなければならない人間力(鳥取大学発~)、それは
気力、知力、実践力、体力、コミュニケーションの五つで構成されていますが、
人間力を高めるベースとなるのがコミュニケーションだと思うのです。
 
現場起点での正確な情報キャッチに基づいてのフェイスtoフェイスによる対話が
最も優れたコミュニケーションであるというのは云うまでもありませんが、
距離、時間、外せない所用などで障害が伴う方がむしろ普通と考えた方が良く、
それが叶わないのであれば電話、あるいはメールで、
取り急ぎその後の対応を話し合うことを忘れてはなりません。
 
 
二番目のキーワードはスピードです。
ある上場企業の経営理念に「チャレンジ、イノベーション、スピード」があります。
ここで注目したいのはスピードです。
ドラッカーの言葉にも「ビックリして感動するのはスピード」がある通り、
ビジネスにおいてはスピードが明暗を分けるくらいに重要です。
素早く反応し、できれば即断即決がベターでしょう。
 
何代目かの月の家円鏡という落語家が
「早いだけがとりえ」を売り物にしていました。
私も円鏡と同様で、何事においてもスピードを売り物?にして来ました。
 
自慢にはなりませんが、プライベートにおいてもしかりで、
買い物(家、車など高額なものから安物まで)も食事も、
また歩くのも足短かおじさんのくせにかなり速いです。
 
プライベートはともかく、
ビジネスにおいては、早い、速いは重要だと思います。
  即断即決の割合はかなり多い方だと自認しておりますが、
その代わり100を求めてはおらず、
常に60?70の見通し立てばGO!で実践して来ました。
特に私の場合は、下手の考え休みに似たりと、
むしろ機会損失の発生の方がもったいないと思って来たのです。
 
 
三番目のキーワードにアクションがあります。
座右の銘「我が行いにせずば甲斐なし」と公言している以上
アクションを外す訳には参りません。
仕事の場合は、「自ら行動」と「人を介して行動」の二通りを
その時々のビジネスシーンで使い分けています。
 
因みに即断即決の際、四つの判断の軸を決め、照らし合わせています。
 
1.社員のためになるか?
2.会社のためになるか?
3.お客様のためになるか?
4.社会のためになるか?です。
 
 
戦略は勝つためにあり、文字通り戦いを略すであります。
先を読み徹底的に準備をして、
事後の百策に時間とコストをかける必要のないように心がけたいものです。 

第9回 創客と深耕

2011-09-07
宋文州をご存知の方は多いと思います。
中国人で初めて起業し一部上場を果たしたソフトブレーンの創業者です。
実質的な経営陣からは身を引きましたが、依然として筆頭株主として、
またソフトブレーンのマネジメントアドバイザーとしての立場にいる人でもあります。
 
彼と知り合ってからもう10年くらい経ちます。
私より一回り以上も年が若く、超有名人になってしまった人ですが、
今でも偉そぶらず気さくに接してくれます。
 
その彼が2004年からメルマガを発信して以来、
読者が九万人を超えたというから驚きです。
彼のメルマガを読んでおられる方は感じておられると思いますが、
常に鋭く本質をついています。
 
今は直接経営に関わっていませんが、
彼のメルマガによって彼のファンが確実に増えて行っており、
彼のファン≒ソフトブレーンのファンに繋がっているとは思います。
 
ソフトブレーンの創業以来のビジネスモデルは、
セミナーへの集客→見込み客創造→提案→成約です。
 
通常セミナーへの集客のために営業マンが駆けずり回り、
嫌がるお客に頼み込み、あるいは無理やり、
しまいにはだれでもいいやと数合わせも有りという現実も少なくない中で、
中部支店だけでも五千人を超える読者を対象に、
メルマガにセミナー開催の案内を掲載するだけで、ほぼ所定の集客が出来ています。
 
通常、ビジネスを維持し、拡大して行くためには
新規顧客を絶えず獲得する営業活動と既客を対象に、
自社の事業領域の範疇でのビジネス拡大、つまり深耕が必要です。
 
この顧客創造(創客)と、顧客内ビジネス維持、拡大(深耕)こそが
ビジネス拡大の二大テーマと云えるでしょう。
 
この創客と深耕を促進するために、
営業マンは日夜、知恵を出し汗を流しているのですが
いずれもそう容易いものではありません。
 
因みに、私の駆け出しの頃は「販売台数は訪問件数に比例する!」
などと朝礼時に大声で唱和し、
このことには何のためらいもなくむしろそれを信じ、
気合いを入れて行動しておりました。
 
訪問先の多くのお客様も
「良く熱心に来てくれるし、ちょっと取引してみようか」と好意的でした。
 
ところが、時を経てインターネットが普及し、顧客のニーズも多様化して来た昨今、
かつて歓迎され、評価された営業スタイルが必ずしも受け入れらなくなって来ています。
「忙しいのに来ないで!」「要件はメールで簡潔にしてよ」
と云った言葉が返ってくることも少なくないのです。
 
営業のプロを標榜するのであれば、
ビジネス環境の変化に応じたビジネスのやり方、
顧客のニーズの多様化に合わせた営業活動そのものに工夫を凝らすのは
至極当たり前のことです。
 
コミュニケーションの原点はフェィスtoフェィスではありますが、
その強みを最大限に活かすためにも、
コミュニケーションの飛び道具とも云うべき「web」を
最大限に活用すべきではないでしょうか?
 
その代表的手段の一つがメルマガです。
 
ところがメルマガの重要性は分かっていても、
いざ実践となると躊躇する経営者も少なくありません。
 
継続して発信できるだろうか?
内容に読者が満足してくれるだろうか?
お叱りを受けないだろうか?
 
勝手な私見を申し上げれば、
あまり考えすぎず心配し過ぎない方が良いのではないでしょうか?
もちろん他人を中傷するような内容は避けなければならないし、
人様に迷惑になるような内容、文章には気を配らねばならないとは思います。
私自身、拙い文章で度々自問自答していますが、
ほんの少しでもお役に立つのであれば嬉しいし、
また私自身がお客様にお会いすることがあった時や弊社の社員がお客様を訪問した時に
「ああ、あの下手な文章を毎月発信してくる奴ね」と
所謂サブリミナル効果も密かに期待し、気を取り直し継続発信しているのです。
 
この弊社からの情報の一端と私のビジネスコラムを隔週で配信するメルマガがきっかけで
創客、深耕に?がったらこんなに嬉しいことはないと厚かましくも願っているのです。 

第8回 「もしドラ」に学ぶ翻訳の意味

2011-08-10
「もしドラ」がブームになりました。
ある時期の有名書店の週間ランキング(ビジネス書)ベストテン
第一位が「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーのマネジメントを読んだら」で
第二位が、著者岩崎夏海氏に強烈な感動を与えた「マネジメント基本と原則」です。
因みに第七位にも「ドラッカーの教え通りに経営して来ました」が入っておりました。
優良会社キヤノン電子の社長の著書で、これまた教えられるところが多く
ラッキーなついで買いとなりました。
 
テレビでのアニメ放映に続き、6月4日にはAKB48のNo.1に返り咲いた
前田敦子さん主演の映画が全国一斉に封切られました。
アニメでの放映からもあらためて感ずるところがいくつかありましたが
その一つが度々出てくる「翻訳」の意味です。
 
監督を専門家と位置付けており、
とかく専門家というのは、
強い情熱と膨大な知識と情報を持ち合わせてはいるのだが、
分かりにくい専門用語を使いがちで、
顧客や同僚に理解させていないことが問題であり、
目的である成果へとつなげていないことが多いというのです。
 
このことを先ず専門家(監督)に認識させることがマネージャーの仕事であり、
組織の目標を専門家の用語に翻訳してやり、
逆に専門家のアウトプットをその顧客(部員)の言葉に翻訳してやることも
マネージャーの仕事であると言っています。
 
ビジネスにおいては社長(強い情熱と膨大な知識と情報を持つ専門家)が
幹部をはじめ社員(顧客、同僚)にメッセージ(アウトプット)を発します。
これを受けて直属上司(マネージャー)が部下に指示を出し
目的である成果を生み出そうとするのですが、
専門用語のままでのアウトプットにとまどい、
理解できず生産性に結びつく行動を起こせないことが少なくないようです。
 
 
これまでのビジネス人生において、
コミュニケーションの重要性については理解していたつもりではおりましたが、
「もしドラ」であらためて「翻訳」の持つ意味と重要性を認識することができました。
 
自らのアウトプットが他の者のインプットにならない限り、成果にはならないのです。
 
そういえば
「コミュニケーションとは受け手があってはじめてコミュニケーションが成立する」と
「マネジメント、基本と原則」にあったように思います。
今更ながら、何言ってるんだと自分自身、正直情けない気持ちに襲われたものですが、
コミュニケーションは受け手の経験のない言葉で話しかけられても理解されないのです。
 
社長(専門家)が「俺んとこの社員はどうしてこうも馬鹿なんだ」とか
幹部(翻訳家でもあるべきマネージャーの立場)が
「何故やらない?社長が言ってることなんだよ!」「お前、やる気がないのか?」
などというような言葉が飛び交うビジネスシーンが意外にも多いのが現実のようです。 

第7回 電信柱が高いのも郵便ポストが赤いのもみんな社長の責任

2011-07-13
初めて、販売会社の社長の辞令交付を
グループ会社トップの浜田広から受けたあと、
当時の販売事業本部長に別室に呼ばれ、開口一番
「おめでとう。全然心配はいらんよ。会社というのはね、
70%は社長で決まるんだから大下君なら大丈夫だよ」
とのお祝いと激励の言葉を頂戴しました。
 
瞬間、ええっ?70%も社長で決まってしまうのかと
凍ってしまうような不安を覚えたものです。
 
この一年の後、再びその本部長にお会いした時
「70%ではなく限りなく100%の間違いでしょう?」と質問したのですが、
返って来た言葉は、微笑みながらの
「そうだよ、100%だよ」の一言だけでした。
 
言うまでもなく、経験豊富な本部長が、新米社長の私に、
あまりプレッシャーをかけすぎてはとの配慮からの言葉だったのです。
 
 
任地である岐阜に戻れば、今度は、常々何かと助言下さる大先輩であり、
名古屋に本社を置く関連会社(精密製造業)社長から
お祝いとして、バカラのグラスに
一倉定氏の名言至言のみを抜粋した書籍が添えてありました。
 
その数ある名言至言の中で、今も脳裏に焼き付いていて、
セミナーなどで、好きな言葉、考え方として
必ずといっていいくらいに披露するのが
「電信柱が高いのも郵便ポストが赤いのもみんな社長の責任」です。
 
 
以来、二つの地域販売会社、一つの統括会社を
十三年間担当させて頂きましたが、
この言葉を肝に銘じ、ただ愚直に務めて来たということだけは
胸を張って言えるのです。
 
 
社長の最も重要なミッションは、
経営資源を最大化することだと思っています。
 
経営資源とは、言うまでもなく人、モノ、金、情報などですが、
それらすべての資源を、活かすか否かの権限を持っているのは社長だけですから
社長にすべての責任があるというのは至極当然のことです。
 
会社の規模が大きくなっていっても
その責任は何ら変わることはありません。
 
その責任を果たすためにも、経営資源を最大化するためにも、
社長の意志を実践できる人を適所適材で登用し、権限委譲を進め、
社員が生き生きとして働ける環境、成長して行ける環境を作ると共に
会社が永続的に繁栄して行ける仕組みを、創り上げて行かねばならないのです。
 
 
繰り返しになりますが、
社長自らでなくても、社長が任命した幹部、社員の、
責任のすべては社長にあるのです。
「企業は人なり」まさに「人こそ企業なり」の所以です。
 
 
蛇足ながら、自身の体験から申し上げれば、
社長以下、経営幹部の権限が大きくなって行くに従って
最も留意しなければならないこと、それは、
公私の区別を実践で明確に示すことだと思います。 

第6回 敵を知り己を知らば百戦危うからず

2011-06-08
「商いは戦いにあらず」とは、渋沢栄一翁の言葉ではありますが、
その真意は、売り手も買い手も得をするのが商いであって、
相場のように得をする人が居れば必ず損をする人がいるというのは
商いではないと言うのです。
 
世界経済を震撼させたリーマンショックは記憶に新しいところですが、
その引き金となった、格付け機関をも巻き込んだ詐欺まがいの
サブプライムローンなどは、商いどころか、かなり悪質な犯罪の匂いすらします。
 
私が師と仰ぐ浜田広(株式会社リコー元社長、会長)からは
「ビジネスというのはお役立ち競争であり、
売上はお役立ちの量で、利益はお役立ちの質」と教えられました。
 
私が40年以上にわたって従事したOA、IT業界は
競争が極めて激しい業界の一つだと思います。
一つひとつの企業の使命は、
スポーツに例えるならボクシングに象徴されるように、
決して相手を叩きのめすというようなものではありません。
 
マーケットというステージにおいて、
お役立ち競争という戦いを展開しながら、より優れた製品を開発し、
顧客を満足させるサービスを提供して行くことにあります。
その競争が熾烈であればあるほど、切磋琢磨が進み、
製品、サービスの品質が飛躍的に向上して行くのです。
 
それぞれの企業には、規模とか取り巻く環境、
製品開発、サービスの提供などに関して、
得手、不得手といった個別事情があり、
一社毎に最も適した競争の仕方、戦い方(戦略)が違う筈です。
 
 
経営ビジョンの達成に向けては、最も効率の良い戦い方が望まれます。
つまり最も優れた戦略は文字通り“戦わずして勝つ”であります。
 
 
戦略立案のためには、
自社に関する現状認識と、自社を取り巻く環境認識が不可欠です。
 
最も多く活用されている手法にSWOT分析があります。
 
SWOTとは
・企業の強み(Strength)
・弱み(Weakness)
・機会(Opportunity)
・脅威(Threat)
のことで、それぞれの頭文字をとってSWOTと言います。
 
しっかりと現状認識と環境認識をしている企業のみが、
一割の勝者になれるとも言います。
 
経営資源上、競争相手より優っている点が強み(S)であり、
競争相手よりも劣っている点が弱み(W)であり、
いづれも自分でコントロールすることができます。
 
一方、うまく活用すれば業績を拡大することができる外部環境が機会(O)であり、
そのまま放置すると業績が悪化してしまう外部環境が脅威(T)でありまして、
これらは自分でコントロールすることはできません。
 
SWOT分析を始めるにあたり、
攻めか守りかのどちらを優先するのかという明確な目的を持って進めて行く方が、
混乱を避け、またコストも最小限にとどめることが出来ます。
 
この、機会(O)を最大限に強み(S)で活かすことが、攻めの経営を導きます。
もちろん脅威(T)と弱み(W)をよく検証することも忘れてはなりません。
 
 
大変恐縮ですが、弊社の中期経営計画のSWOT分析の一端をご紹介します。
強み(S)として
二か月前に、外部機関による顧客満足度調査(有効回答100件以上)の報告があり、
お陰さまで~業界内での顧客満足度トップクラスを維持している~
との朗報がありました。
 
一方、機会(O)として
~高品質のカスタマーサポートへのニーズが高まっている~があります。
 
この強み(S)と機会(O)をクロスさせますと、
中期経営計画の主要戦略として「サービス領域の拡大と充実」が
攻めの経営に不可欠であるということが浮かび上がって来ます。
 
脅威(T)として~景気の先行きが不透明~、
弱み(W)として
~弊社は二年後に創業70周年を迎えるも100名足らずの弱小企業に過ぎない~
ではありますが、
先の強み(S)を強化し、
高品質のカスタマーサポートへのニーズに応える経営を続けて行っていけば、
地域社会に支持され、今後も選んで頂くことが可能なようです。 
 

第5回 あの壁の向こうに新しい自分がいる

2011-05-11
数年前の話になりますが、アテネオリンピック女子柔道のコーチを務めた
古賀稔彦コーチ(現在古賀塾)のお話を直接お聞きする機会を得ました。
 
ご承知の方も少なくないと思いますが、
古賀氏は、ご当地出身の谷本歩選手の師匠でした。
その谷本選手、余りに過酷な練習に、とうとう音を上げ、
「もうダメです、限界です」と立ち上がろうとしなかったそうです。
 
その時の古賀コーチの発した
「何言ってんだ、あの壁の向こう側に新しい自分がいるんだぞ!」
との厳しい叱責、その励ましの言葉が、谷本選手の琴線に強烈に響いたのか、
再び彼女をまた激しい練習へと向かわせたそうです。
 
結果は、ご承知の通り、アテネ、北京と二大会連続でオリンピック金メダル、
しかもオール一本勝ちという金字塔を打ち立てたのです。
 
企業経営において、どういう考え方で経営して行くのかが経営理念であるのに対し、
具体的にどういう姿を目指して行くのかが経営ビジョンです。
言い換えれば、企業の存在価値とか、経営思想と云った
目に見えない哲学的なものが経営理念であり、
ありたい姿がイメージできたり、具体的な数値で表したり、図示したり、
描けるものが経営ビジョンであります。
 
谷本選手も、自身がオリンピックの表彰台の一番高い所に自分が立つイメージを持ち、
ほとんど残ってはいない筈のエネルギーがコーチの一言で、
燃えたぎるような情熱を醸し出したのではないでしょうか?
 
経営ビジョンは、長期的には、ちょっと手が届きそうもない、
夢のようなものであっても良いと思います。
それを内外に示すことによって、組織を形成する社員全員が、その夢に向かって、
困難を乗り越えて行こうという強い意志が持てるようなものがベストです。
 
僭越ながら私自身の体験を申し上げるならば、
最初に任された債務超過会社においては、中期(三ヶ年)の経営ビジョンとして
 
1.地域、業界におけるCS、ES NO.1企業
2.高額所得法人
3.地域における社員の所得水準Aランク(上、中、下の上位)入り
4.地域、業界におけるブランド力NO.1(求職倍率NO.1)
 
を掲げました。
 
同時に、経営ビジョン達成に向かって、
現状認識とそれを踏まえての主要戦略、具体的なアクションプランへと
矢継ぎ早に着手して行きました。
結果、信じられないくらいの社員の仕事への取り組み姿勢の変化と
目を見張るような成長のお陰で、初年度に高額所得法人の仲間入りを果たしました。
 
他の三つの経営ビジョンについても、三ヶ年でほぼ到達出来たのではないかと、
当時、経営幹部と確認し合ったものです。
 
経営資源の最大化が経営トップに求められる
最も重要なミッションであると信じておりますが、
人、モノ、金、情報?という資源の中で、人は別格であり、
人が他の経営資源を駆使し最大化して行きます。
 
社員の琴線に触れ、社員にとって心地よく響き、ワクワクするような経営ビジョンが、
仕事への取り組み姿勢と日々の行動に大きく影響して行くものなのだと、
あらためて意を強くしたものです。 

第4回 会社や組織は何のためにあるのか

2011-04-13
先の東北地方太平洋沖地震から一ヶ月が経過致しましたが、
あらためて被災された皆々様に、心よりお見舞いを申し上げると共に、
一日も早い復興をお祈り申し上げます。
 
注目の東京都知事選が終わりました。
結果は、ご承知の通り、四選を目指した石原氏が、
前宮崎県知事の東国原氏と居酒屋チェーン創業者の渡邉美樹氏を抑え、
夜八時の開票即票放送が始まった瞬間に当確を決めるという圧勝でありました。
大震災直後の選挙戦だっただけに、三期実績の安定感と強いリーダーシップを
有権者が望んだ結果だと思います。
 
個人的には、政治家としての経験はありませんが、
後出しじゃんけんが圧倒的に有利なデータがある中で、
それは有権者に対して大変失礼だとの信念で早くから立候補表明していた
ワタミグループの元会長、渡邉美樹氏に密かにエールを送っておりました。
 
実は、雑誌、テレビなどのメディアを通じての知識しかなかった私が、
数カ月前、その渡邉氏の講演を聴く機会に恵まれまして、
氏の生き方、考え方、経営姿勢などに深く共鳴し感動したのです。
多くの国民が政治不信に陥っている昨今、
政治家としては素人ではありますけれども、私利私欲を捨て、
東京都知事としてのあるべき姿を追い求め続けられるに違いない、
本来求められる政治家像を創り上げてくれるに違いないとさえ期待をしていたのです。
 
創業1984年、社歴が僅かに27年に過ぎない居酒屋チェーンワタミを核とする
ワタミグループ(他に、介護、農業、環境事業)が急成長しておりますが、
その急成長のカギは、創業者・渡邉美樹氏の
近年稀にみる卓越した経営手腕にあると言ってしまえばそれまでですが、
見逃せないのは、ユニークでもあり大変分かりやすい経営理念です。
 
ワタミグループの経営理念体系より抜粋してみると~
 
・ワタミグループスローガン
  「地球上で一番たくさんの“ありがとう”を集めるグループになろう」
・私たちの目指すもの
  「会社の繁栄、社員の幸福、関連会社・取引業者の繁栄、新しき文化の創造、
   人類社会の発展、人類幸福への貢献」
・グループ社員の仕事のしかたに対する合言葉
  「明るくのびのびと仕事をしよう」
 
以下、グループ社員の仕事に対する心構え、グループ社員としての行動基準と続きます。
 
世の中に、この経営理念というものを持っている企業がどれくらいあるでしょうか?
 
会社の売上規模と理念のあるなしを分類しますと
 
 売上 ~2.5億円=理念がある 47%
     ~10億円=  〃    57%
     ~30億円=  〃    70%
     30億円~=  〃    76%
 
売上高と理念のある比率は正比例にあります。
利益と理念の関係も同じで、つまり、理念と業績は正比例すると言えるようです。
 
   因みに、かつて世間をお騒がせした旧ライブドアには
明確な経営理念らしきものは見当たりません。
事業は金もうけのためと言い放ったホリエモンを引き合いに出すまでもなく、
共鳴、共感できる経営理念、ステークホルダーに支持される経営理念が
如何に重要であるかが理解できます。
 
実は、最近あらためて目を通したランチェスター戦略のある解説書の中で、
理念の重要性について
「今、世の中で勝ち組と称される企業は、
しっかりとしたミッションやビジョンを掲げ、それが社内外に浸透している」
とありました。
経営理念は長期的、普遍的なものではありますが、
世の中の環境の変化、価値観の変化などで、稀には形骸化しているものもあります。
いずれにせよ、社員が理解し、共鳴するものでなければなりません。
 
景気回復が大手企業を中心に確かなものになり、続いて私たち中小企業においても、
いよいよ回復に向かって走り出して行くかという矢先、
1000年に一度という想像すら出来ないような
東北地方太平洋沖地震による大惨事に見舞われました。
当地域にありましても、多かれ少なかれの影響は免れず、弊社もそうですが、
一層の経営改革、経営改善を急がねばならない企業も
少なくないのではないでしょうか?
そのスタートにあたって、一番先に再確認、再認識すると同時に
社内外に浸透させなければならないのが、経営理念であります。 
 

第3回 本質を見きわめるWHATの考え方

2011-03-09
私は現役時代、最も尊敬する浜田広氏(元リコー社長、会長、元経団連副会長)
に薫陶を受けました。といっても残念ながら直属の上司ではありませんでした。
私が岐阜リコー社長を務めていた頃、浜田さんはリコー社長で全国販社社長会など、
積極的に現場に出向かれる方でしたので、直接お話しをお聞きしたり、遠慮も顧みず
教えを乞う機会にかなり恵まれたと思っております。
まだまだとても足元にも及ばないものの、物の考え方に関しての影響は非常に
大きかったと思います。
 
浜田さんは言葉を非常に大事にされる方で、役員の多くは浜田さんの前で話をするのに
相当気を使っていたようです。
普段の会話の中でさえ、
「ああ疲れた」なんて言葉を発したら叱られます。
「疲れた」と言うから疲れるそうで、自身「疲れた」を口に出さなくなって四十年くらい
経つけれども、疲れた記憶がないとさえ言われます。
 
「忙しい」も禁句としておられましたが、「忙しい」は、
「今忙しいから話しかけないで」とか、
「電話かけて来ないで」というように、相手を拒絶する言葉だと言われるのです。
 
「暑い」「寒い」に至っては
「ちっぽけな人間風情が、大自然を拒否してどうなるの?」
と言われるのです。
真夏に同行させて頂いた折、
「浜田さん、今日のような大変に暖かい日はどのように表現すれば良いのでしょうか?」
と訊いたものです。浜田さんは、少し間をおいて
「う?ん、そうだねえ、今日はなかなかのもんだねえ、はどうだい?」
とおっしゃいました。
 
浜田さんから教わった名言、至言は数えきれませんが、
それらを総括する考え方に、「WHAT」の考え方があります。
 
決して「HOW」を否定するものではないけれども、
先ず「WHAT」、常に「何」から入って考える習慣を身に付けることが大切で、
5W1Hというのがあるけれども、重要度の順序は2W、1H、3Wではないか?
「WHY」というのは「What is the reason why・・・?」だから
「WHAT」であって、
その次が「HOW」
その後に「WHEN」「WHERE」「WHO」が来る。
これら3つは方法論のレベルに過ぎないというのが、
浜田さんの「WHAT理論」です。
 
他にも、若い頃から仕事というのは「納得」しなければ、
「やらなくても良い」と言っておられたそうです。
また上司と部下の関係については、
「上司とは部下にお役立ちをする人」も信念の一つでした。
 
このことに関して私自身の考え方が正しいかどうか訊ねたことがあります。
「上司は部下を引き上げる、部下は上司を押し上げる」
はどうでしょうか?です。
世間には上司が部下を踏み台にし、部下は上司の足を引っ張る
というようなことが無きにしも非ずだからです。
恐れ多くも言葉を非常に大切にされる方です。
少なからずの不安がありましたが、その浜田さん、にっこり笑って
「うん、それ、なかなか良いじゃないか」です。
ちょっと褒められたようで凄く嬉しく思ったものです。
 
仕事のみならず、プライベートにおいてもしかりですが、
たえず問題意識を持ち、「人生とは何か」「仕事とは何か」「家庭とは何か」
というふうに考えて行きますと本質を掴むことができ、正しい判断、正しい行動へ
とつながって行くように思えるのです。 

第2回 人の潜在能力の顕在化率は20%に過ぎない

2011-02-09
昨年暮れの第90回全国高校ラグビーフットボール大会の応援で
花園へ行って来ました。
我が母校である福井県立若狭高校が8回目の出場を果たし、
しかも姪の次男がNO.8で出ると聞いては、
寄付と共に、知らない顔はできる筈がありません。
 
結果は後半残り14分、10対26の劣勢から
怒涛の反撃でなんと残り5分で、27対26での劇的勝利、
しかも決勝点に直結するトライはNO.8というおまけ付きですから
大興奮、大感激でした。
因みに相手は9年連続・13回目出場の花園常連校、山形中央高校です。
 
高校野球では、かつては元阪神の川藤などプロにも縁のある
古豪とも云われた母校でありましたが、
近年ではラグビーの方が全国区になっているようです。
ラグビー部の創部の歴史は古いのですが、
強くなったのは、現監督の朽木雅文氏を迎えてからと聞いています。
朽木氏と云えば、トヨタ自動車のラグビー部元監督・朽木栄次氏の弟さんです。
 
ラグビーに限らず、多くのスポーツでは、プロ、アマを問わず
指導者による影響が非常に大きいです。
強いチームの指導者の共通点は、
選手の潜在能力を引き出す力に長けているところだと思いますし、
この点では、ビジネスの世界でも全く同様のことが言えると思っております。
 
身を持って感じたのは、初めて販売会社(社員150名)の社長を任された時で、
就任時、いきなり債務超過からのスタートの経験が、
私自身のその後のビジネス人生を決定づける一因になったと言っても
過言ではないと思っています。
 
その頃、考え方の軸の一つに
「人の潜在能力の顕在化率は20%に過ぎない」が、ありました。
 
赤字だから経費削減と決めつけず、人件費以外での無駄を廃し、
むしろ、生産性向上のための経費の増加は厭わずで、
本来のリストラクチャリングを進めて行きました。
当時の当該地域の平均昇給額5,000円前後を、一気に10,000円としたのです。
 
辞令拝命直後の初めての全社員大会で熱く訴えました。
「私もそうだけど、皆さんも能力(潜在)の二割くらいしか出してないでしょう?
それを今期から最低五割アップの三割、
それでもまだ七割も残っているんだから、四割出すことにしましょう」
「今回の昇給はそれを前提にしているし、大丈夫、間違いなく一気に黒字化はできます」
「今は貧乏会社だけれども、必ず小金持ち会社にはなりますよ!」
と明るく、さわやかに、きっぱりと公言したものです。
 
その四ヶ月後、今度は社員の家族を交えた全社員大会(花火大会を利用しての懇親会)で
同様のことを話したのを今でも鮮明に覚えております。
社員の家族の理解と後押しまで、密かに期待していたのです。
思惑通り、病欠、遅刻がほとんどなくなりました。
 
それほど規模の大きくない会社です。
他にも顕在化率を上げるための諸施策は次から次と打って行きました。
 
その一つ、能力開発という点では、職務能力検定制度
(後のリコーのRDP検定制度につながって行くことになる)なるものを手作りで
職種別に、全社員対象として発足させました。
一級、二級、三級とランク付けし、因みに
一級には毎月5000円の職務能力手当を付加したものです。
地域水準まで基本給を一律に上げるのは経営的には無理があったからです。
 
公言した通り、一年目から黒字化となり、以後転勤するまでの五年間、
高額所得法人を維持したものです。
 
この「人の能力の顕在化率は20%にしか過ぎない」という考え方は、
この時から遡ること10年以上も前のこと、
あるセミナーでのこの一言に衝撃を受け、深く脳裏に焼きついたものです。
 
それからかなり後になってからも、こう云った考え方を持つ人が
意外に多いということにも気付かされ、ますます意を強くしたものです。
 
例えばソフトバンクの孫正義氏の著書には
「人間の脳細胞は150億個あるが一生の内で使われるのは10億個に過ぎない」とあります。
潜在能力の顕在化率は極めて低いものなのだ、という同義語として受け止めております。
よほどの斜陽産業でない限り、このような考え方で挑んで行けば
どんな企業でも再生できる筈だとさえ、
大変不遜でお叱りを受けそうですが、密かに心の中では思っております。 

第1回 考え方こそが人生を変える

2011-01-12
昨年は、尖閣諸島沖での中国漁船衝突のビデオ映像の流出事件、
ウィキリークスによる国家機密情報の漏えい事件など
国家間の関係を揺さぶるような事件が相次ぎました。
 
法に反しているのかいないのかが議論の的にもなっていますが、
仮に反していないとしても、例えば、ビデオ映像流出の発信者は
海上保安庁を依願退職し、これから再就職先を探すと言っていますし、
彼の直属の上司から上層部トップまでが何らかの処分も受けました。
今後、彼の家族、親戚縁者、友人との関係は
どうなって行くのか、他人事とは云え、気になるところです。
 
我々の住む日本は本当に良い国だと思います。
自由にものが言え、どんな思想を持っていようと、行動しようと
法に反していなければ許されます。
 
でありますが、そういう自由な社会の中で、
どのような考え方を選択するかによって
自らの人生、運命が決まってしまうということを
理解していない人が少なくないように思えます。
 
私自身の40年間以上の長きにわたるビジネスマン人生を振り返ってみても、
人生に対する考え方、仕事に取り組む心の持ち方が非常に重要であると
思ったものです。
営業、マネージャー、経営トップと立場が変わって行きましたが、
夫々の役割を全うするには、哲学というと大げさかもしれませんが、
ゆるぎない正しい考え方の軸を持たねばならないと思うようになりました。
 
「大下さんの話は長い」と言われたこともありますが
「大下さんの話は分かりやすい」とも度々言われたものです。
話の目的の多くは納得してもらい、行動に移して頂く訳ですから
趣旨のみに止まらず、その背景から始まり、それを実践する意味、
実践することでの効果までを話すことが多いからです。
 
JAL再生の救世主と期待され、代表取締役会長に就かれた
稲盛和夫氏(京セラの創業者、名誉会長)の
経営哲学に「人生の方程式」なるものがあります。
 
人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力
 
あるいは
成功=人格・理念×努力×能力
とも言い表わせます。
 
ここでは、「人格、理念」「努力」「能力」を成功の三要素と呼び、
この方程式の中の「能力」とは稲盛氏によると、
主に先天的な知力と体力(健康、運動神経などを含む)を指し、
「能力」には個人差があって、それを0点から100点で表します。
 
「努力」(あるいは熱意)も人によって異なり、
無為徒食して何らなすところのない怠け者から、
我を忘れて仕事に没頭する人までを同様に0点から100点で表します。
ただこの努力は能力とは異なり、先天的なものではないので
自分の意思によって決定できます。
 
つまり、先天的な素質が、仮に並であったとしても、
必死で努力する人は、素質が優れていて努力しない人よりも
圧倒的に大きな業績を上げることができるのです。
 
しかしながら、この三要素の中で最も重要なのは
「人格、理念」(哲学だったり、心の持ち方)であり、
他の要素と違い、マイナス100点からプラス100点まであるのです。
 
高い能力を持ち、激しい情熱で努力したとしても、
その人が自己中心的だったり反社会的であったら、
人生そのものがマイナスとなり、社会にも大きな損害を与えるのです。
間違った考え方で、相当な努力を積み重ねたとしても、
結果はマイナスにしかならないということです。
 
「人生・仕事の結果 = 考え方(-100~100) × 熱意(0~100) × 能力(0~100)」
 
考え方がネガティブであれば、ネガティブな成果しか得られないのです。
正しい考え方(哲学など)を学び、高い能力を身に付け、
一生懸命努力を続けて行けば自ずと良い結果が待っているのです。
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