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大下智のビジネスコラム

弊社常務・大下智・略歴

(株)リコーの国内マーケティング部門において40年以上のキャリアを持つ。
マネージャー
としては、福井リコー敦賀営業所所長を皮切りに、以後
同社営業部長、兵庫リコー営業本部長、岐阜リコー社長、愛知リコー社長、
リコー販売事業本部副本部長、リコー中部社長などを歴任。そのいずれもを
リコーグループのトップ会社へと牽引し、2004年にはダイヤモンド誌の
「日本の営業40人」に選出される。
また、現在、出身地・福井県若狭町のふるさと大使としても活躍中。
                 著書に自身の体験を綴った『リーダーの覚悟』が本年3月26日発売。

大下智のビジネスコラム【――素描――】 バックナンバー

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第2回 人の潜在能力の顕在化率は20%に過ぎない

2011-02-09
昨年暮れの第90回全国高校ラグビーフットボール大会の応援で
花園へ行って来ました。
我が母校である福井県立若狭高校が8回目の出場を果たし、
しかも姪の次男がNO.8で出ると聞いては、
寄付と共に、知らない顔はできる筈がありません。
 
結果は後半残り14分、10対26の劣勢から
怒涛の反撃でなんと残り5分で、27対26での劇的勝利、
しかも決勝点に直結するトライはNO.8というおまけ付きですから
大興奮、大感激でした。
因みに相手は9年連続・13回目出場の花園常連校、山形中央高校です。
 
高校野球では、かつては元阪神の川藤などプロにも縁のある
古豪とも云われた母校でありましたが、
近年ではラグビーの方が全国区になっているようです。
ラグビー部の創部の歴史は古いのですが、
強くなったのは、現監督の朽木雅文氏を迎えてからと聞いています。
朽木氏と云えば、トヨタ自動車のラグビー部元監督・朽木栄次氏の弟さんです。
 
ラグビーに限らず、多くのスポーツでは、プロ、アマを問わず
指導者による影響が非常に大きいです。
強いチームの指導者の共通点は、
選手の潜在能力を引き出す力に長けているところだと思いますし、
この点では、ビジネスの世界でも全く同様のことが言えると思っております。
 
身を持って感じたのは、初めて販売会社(社員150名)の社長を任された時で、
就任時、いきなり債務超過からのスタートの経験が、
私自身のその後のビジネス人生を決定づける一因になったと言っても
過言ではないと思っています。
 
その頃、考え方の軸の一つに
「人の潜在能力の顕在化率は20%に過ぎない」が、ありました。
 
赤字だから経費削減と決めつけず、人件費以外での無駄を廃し、
むしろ、生産性向上のための経費の増加は厭わずで、
本来のリストラクチャリングを進めて行きました。
当時の当該地域の平均昇給額5,000円前後を、一気に10,000円としたのです。
 
辞令拝命直後の初めての全社員大会で熱く訴えました。
「私もそうだけど、皆さんも能力(潜在)の二割くらいしか出してないでしょう?
それを今期から最低五割アップの三割、
それでもまだ七割も残っているんだから、四割出すことにしましょう」
「今回の昇給はそれを前提にしているし、大丈夫、間違いなく一気に黒字化はできます」
「今は貧乏会社だけれども、必ず小金持ち会社にはなりますよ!」
と明るく、さわやかに、きっぱりと公言したものです。
 
その四ヶ月後、今度は社員の家族を交えた全社員大会(花火大会を利用しての懇親会)で
同様のことを話したのを今でも鮮明に覚えております。
社員の家族の理解と後押しまで、密かに期待していたのです。
思惑通り、病欠、遅刻がほとんどなくなりました。
 
それほど規模の大きくない会社です。
他にも顕在化率を上げるための諸施策は次から次と打って行きました。
 
その一つ、能力開発という点では、職務能力検定制度
(後のリコーのRDP検定制度につながって行くことになる)なるものを手作りで
職種別に、全社員対象として発足させました。
一級、二級、三級とランク付けし、因みに
一級には毎月5000円の職務能力手当を付加したものです。
地域水準まで基本給を一律に上げるのは経営的には無理があったからです。
 
公言した通り、一年目から黒字化となり、以後転勤するまでの五年間、
高額所得法人を維持したものです。
 
この「人の能力の顕在化率は20%にしか過ぎない」という考え方は、
この時から遡ること10年以上も前のこと、
あるセミナーでのこの一言に衝撃を受け、深く脳裏に焼きついたものです。
 
それからかなり後になってからも、こう云った考え方を持つ人が
意外に多いということにも気付かされ、ますます意を強くしたものです。
 
例えばソフトバンクの孫正義氏の著書には
「人間の脳細胞は150億個あるが一生の内で使われるのは10億個に過ぎない」とあります。
潜在能力の顕在化率は極めて低いものなのだ、という同義語として受け止めております。
よほどの斜陽産業でない限り、このような考え方で挑んで行けば
どんな企業でも再生できる筈だとさえ、
大変不遜でお叱りを受けそうですが、密かに心の中では思っております。 

第1回 考え方こそが人生を変える

2011-01-12
昨年は、尖閣諸島沖での中国漁船衝突のビデオ映像の流出事件、
ウィキリークスによる国家機密情報の漏えい事件など
国家間の関係を揺さぶるような事件が相次ぎました。
 
法に反しているのかいないのかが議論の的にもなっていますが、
仮に反していないとしても、例えば、ビデオ映像流出の発信者は
海上保安庁を依願退職し、これから再就職先を探すと言っていますし、
彼の直属の上司から上層部トップまでが何らかの処分も受けました。
今後、彼の家族、親戚縁者、友人との関係は
どうなって行くのか、他人事とは云え、気になるところです。
 
我々の住む日本は本当に良い国だと思います。
自由にものが言え、どんな思想を持っていようと、行動しようと
法に反していなければ許されます。
 
でありますが、そういう自由な社会の中で、
どのような考え方を選択するかによって
自らの人生、運命が決まってしまうということを
理解していない人が少なくないように思えます。
 
私自身の40年間以上の長きにわたるビジネスマン人生を振り返ってみても、
人生に対する考え方、仕事に取り組む心の持ち方が非常に重要であると
思ったものです。
営業、マネージャー、経営トップと立場が変わって行きましたが、
夫々の役割を全うするには、哲学というと大げさかもしれませんが、
ゆるぎない正しい考え方の軸を持たねばならないと思うようになりました。
 
「大下さんの話は長い」と言われたこともありますが
「大下さんの話は分かりやすい」とも度々言われたものです。
話の目的の多くは納得してもらい、行動に移して頂く訳ですから
趣旨のみに止まらず、その背景から始まり、それを実践する意味、
実践することでの効果までを話すことが多いからです。
 
JAL再生の救世主と期待され、代表取締役会長に就かれた
稲盛和夫氏(京セラの創業者、名誉会長)の
経営哲学に「人生の方程式」なるものがあります。
 
人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力
 
あるいは
成功=人格・理念×努力×能力
とも言い表わせます。
 
ここでは、「人格、理念」「努力」「能力」を成功の三要素と呼び、
この方程式の中の「能力」とは稲盛氏によると、
主に先天的な知力と体力(健康、運動神経などを含む)を指し、
「能力」には個人差があって、それを0点から100点で表します。
 
「努力」(あるいは熱意)も人によって異なり、
無為徒食して何らなすところのない怠け者から、
我を忘れて仕事に没頭する人までを同様に0点から100点で表します。
ただこの努力は能力とは異なり、先天的なものではないので
自分の意思によって決定できます。
 
つまり、先天的な素質が、仮に並であったとしても、
必死で努力する人は、素質が優れていて努力しない人よりも
圧倒的に大きな業績を上げることができるのです。
 
しかしながら、この三要素の中で最も重要なのは
「人格、理念」(哲学だったり、心の持ち方)であり、
他の要素と違い、マイナス100点からプラス100点まであるのです。
 
高い能力を持ち、激しい情熱で努力したとしても、
その人が自己中心的だったり反社会的であったら、
人生そのものがマイナスとなり、社会にも大きな損害を与えるのです。
間違った考え方で、相当な努力を積み重ねたとしても、
結果はマイナスにしかならないということです。
 
「人生・仕事の結果 = 考え方(-100~100) × 熱意(0~100) × 能力(0~100)」
 
考え方がネガティブであれば、ネガティブな成果しか得られないのです。
正しい考え方(哲学など)を学び、高い能力を身に付け、
一生懸命努力を続けて行けば自ずと良い結果が待っているのです。
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