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大下智のビジネスコラム

弊社常務・大下智・略歴

(株)リコーの国内マーケティング部門において40年以上のキャリアを持つ。
マネージャー
としては、福井リコー敦賀営業所所長を皮切りに、以後
同社営業部長、兵庫リコー営業本部長、岐阜リコー社長、愛知リコー社長、
リコー販売事業本部副本部長、リコー中部社長などを歴任。そのいずれもを
リコーグループのトップ会社へと牽引し、2004年にはダイヤモンド誌の
「日本の営業40人」に選出される。
また、現在、出身地・福井県若狭町のふるさと大使としても活躍中。
                 著書に自身の体験を綴った『リーダーの覚悟』が本年3月26日発売。

大下智のビジネスコラム【――素描――】 バックナンバー

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第92回・よおっ!機嫌ようやってるか?

2018-08-08
経営トップが、たとえば社内のトイレで部下に出くわした時
どういう声をかけるでしょうか?
自分の場合は、「よおっ!機嫌ようやってるか?」です。
目先の業績より、もっと大切なのは、職場が社員にとって
楽しい所であるべきと常々思っているからです。
もちろん、際立って良い成果をあげている社員、褒めるに値する
社員には、「よお頑張ってくれてるね」といった言葉も忘れません。
悩んで思いつめたりする社員にならないよう、意識して冗談を言っていました。

リーダーたる者、部下の前で暗い顔を見せるのはいけません。
月次の業績が悪い時であっても、決して暗い気持ちにさせてはならない
と戒めていました。
朝礼の冒頭、「前月は、お客様が悪かったよな?」と切り出し
「だってそうだろう?買って下さい。導入して下さいと熱心に営業しても
いらん、買わん、と断ったのはお客様。そりゃあお客様が悪いわ!」
という言葉を受け、何か言いたそうな社員の方を見て
「だけどなあ、我々も反省せなあかん。そもそも我々の仕事は
お客様の潜在的な経営課題、業務課題を浮き彫りにして
その解決策を一緒に考え、解決するのが仕事。そこが
不足しとったということ。そこら辺をよう考えて今月はやろうやないか。」
という感じです。
 
私の長きにわたる最大の自慢は、自分の部下、「仲間」という
表現をいつも使って来たが、鬱病にかかった人は一人もいないことです。
仕事で鬱なんて、本当に詰まらないと思います。
「職場は元気で明るく、楽しく」をずっと掲げて来た、とは
出口治明氏(ライフネット生命創業者)の言葉ですがまさに同感です。
それには、先ずリーダー自らが、元気で明るく・楽しい、を
表情・言動で示す必要があります。
 
面白い言葉を入手したので紹介します。参考になれば幸いです。
 
「18歳と81歳の違い」
・道路を暴走するのが18歳、逆走するのが81歳
・心がもろいのが18歳、骨がもろいのが81歳
・偏差値が気になるのが18歳、血糖値が気になるのが81歳
・恋に溺れるのが18歳、風呂で溺れるのが81歳
・まだ何も知らないのが18歳、もう何も覚えていないのが81歳
・東京オリンピックに出たいと思うのが18歳、東京オリンピックまで
 生きたいと思うのが81歳
・自分探しの旅をしているのが18歳、
 出かけたまま分からなくなって皆が探しているのが81歳
 
笑っている場合ではない年齢(あと10年でその年齢)なのに
思いっきり笑っちゃいました。いったい、こんな面白い言葉
誰が考えたのかと、調べてみますと、ご存じ「笑点」です。
なるほど、因みに、自分探しの~の発案者は林家木久扇ですから頷けます。
ついでに、それに乗っかって、いろいろ考える人がいるものです。
EXILEとEXCELの違いです。

集中トレーニングで上手くなるのがEXCEL
ChooChooTRAINが上手いのがEXILE。
 
リーダーの資質として、「ユーモアがあるか」は非常に重要な
ファクターだと思います。私のように「俺の話は9割が冗談。
よく聞いてないと真実の1割を聞き逃すよ」なんて傲慢な発言には
ご不満もあった仲間もいたかと思いますが、何回も発した言葉であります。
ことほどさようにいい加減な一面を持った上司でした。
「大下君は本当に明るいねえ」としか言ってくれなかった元上司の
副社長K氏、実はリーダーとして最も重要な資質を褒めて下さっていたとは・・
気づいたのはずっと後のことです。

第91回・西野ジャパン、最後の10分間を決勝トーナメントに生かす

2018-07-11
今回のW杯、番狂わせや一流選手の早々の敗退に加え
奇跡的ともいえるような戦い方で一次リーグ突破と見所の多い
試合が目立ちました。そのうちの一つが、西野ジャパンの戦いぶりです。
まさかと思えるコロンビア戦での勝利、続く二試合目はセネガルとの引き分け
迎えたポーランド戦は、ご承知の通り、胸のすくようなとは表現し難くも
敗戦ながら決勝トーナメント戦の権利を勝ち取ったのです。
決勝のベルギー戦でも、前半戦0対0の後、後半開始早々の7分で
2点を先取した時には、ベスト8は現実のものになると思いましたし
アディショナルタイム時でさえ、PK戦で勝利しベスト8入りを果たすと
思ったものです。
 
結果は、残り2分で決勝点を取られましたが大健闘と言ってよい
戦いでありました。海外のメディアや国内のサッカーに関わる一部の人からも
批判が出ていたポーランド戦での”残り10分間“を、何とか肯定的に
受け止めようにも、もやもや気分がなかなか払拭できずにいました。
野球にも「敬遠」という戦法ありと正当化しても、きっと記憶に残っている方も
いらっしゃると思いますが、当時星稜高校の松井選手が、2回戦の対戦相手
明徳義塾から5打席連続で敬遠され、星稜が敗退した場面が蘇ります。
野球に限らず、例えば柔道でも守勢に回ってばかりで攻撃を仕掛けないと
注意を受け、1本とか技ありで決まらない場合は、それを理由に勝敗を決します。
他の競技にも、次の対戦相手を意識しての無気力試合があったようにも思います。
高校野球の選手宣誓での文言には、決まり文句のように
「スポーツマンシップにのっとり正々堂々と戦います」があります。正々堂々とは
ルールにのっとり全力で戦うという意味です。10分間にわたるボール回しが
フェアプレイで、且つ全力なのか、5打席連続敬遠が全力なのかを問われても
答える自信がありません。今回、日本とセネガルが、勝ち点4、得失点差1
総得点4まで同じで、今回の大会からフェアプレイポイントを加えたことで
これが明暗を分けることになりました。ボール回しが、反則に該当するならともかく
ラフプレイが少ないことが評価されることには何ら問題はないと思っては見ても
もやもや気分は残ります。
ストンと腹おちしたのは、次の日曜日の「関口宏のサンデーモーニング」での
あるコメンテーターの一言、「W杯は西野監督に託したのだ。
どんな戦法であろうと周りがとやかく言うことではない」であります。
これをビジネスに当てはめると更によく理解できます。

近年、我国においても、CEO(最高経営責任者)に加えて
COO(最高執行責任者)を任ずる企業が増えて来ました。
ごく最近、話題になっているジョンソンエンドジョンソンの元日本法人社長
カルビーの会長として八期連続増収増益など圧倒的な業績で知られる
松本晃氏が、何とライザップの代表取締役COOに任じられたのです。
CEOはCOOに対して戦い方に関して、とやかく言ってはいけません。
驚くようなニュースが飛び込んで来ました。
日本のサッカー史に残る戦いぶりを見せ、殊勲者でもある西野監督が
7月末の任期満了を持って退任するという報が流れて来ました。
誠に残念です。日本サッカー協会の田嶋会長は、いわばCEO。
人事はCEOの専権事項であります。何も言わずに
次のCOO(監督)に期待するしかないようです。

第90回・伸びしろを埋めて行く過程で新たな伸びしろが発見できる

2018-06-13
10年前にIT系一部上場会社を脱サラして起業した知人と
食事する機会がありました。東京に事業所があり、「今年は大きく躍進」
と言う見通しも、裏づけのあるものでした。その彼曰く、「大下さんは
この10年で更にパワーアップしましたね。」と言います。
「70を超え、いつの間にかシルバーシートに何の抵抗もなく
座るじじいに、パワーアップもないだろう?」と返すと
「お世辞じゃないですよ」と真顔で話します。
楽しいひと時の後、彼が言ったパワーアップに関し、限りなく
100パーセント近くお世辞と受け止めてはいても、「ひょっとして、本当に
そう感じたのではないか?そうであるとしたら何が原因か?」と考えたのです。
今も、現役並みに仕事に携わってますが、現役時代と異なるところは
必ずしも生産性に直結しないコミュニケーションが増えているというところでしょうか。
その代表的なのが、このビジネスコラムです。
 
8年前、ホームページリニューアルの際「100回続けましょう」
と言われ、スタートしたことは既報の通りです。
このコラムの目的の一番目は、お客様へのお役立ちツール
そして2番目は社員、特に営業マンに対しての話材提供と教育
ドアノックツールとしての位置づけです。途中でハッと気付いたのが
これらをはるかに凌ぐ自己研鑽のための手段です。
1ヶ月に1回とはいえ、お客様にほんの少しであっても「有益な情報」
と支持されたい、お役に立ちたい。そのための時間と労力そして時には
多少の資金はまったく苦になりません。むしろ、肯定的な感想、ご意見で
モチベーションは高まります。発信の基準は、「自分に納得感がある」で
「自らのビジネスコラムの掟」を満たしているが当然含まれます。
あらためて「ビジネスコラムの掟」を以下に記します。
 
1.ビジネスに関わる内容であること。
2.長さが1300~1400文字であること。
3.事象とか、本などからの引用はOKも、自分が体験、見聞きしたことであること。
4.主張が入っていること。
 
これらを満たすためには、行動の習慣を変える必要があります。
 
①さまざまな事象に関心を持ち、漫然とではなくしっかり見聞きする。
②人の話をよく聴く。
③題材になるキーワードをメモする。
④疑問を感じたり、調べる必要があれば行動に移す。
⑤辞書、ネット、書籍で確認したり、現場で確認する。
 
これらが更に、好奇心を駆り立て、当初の目的とはまるで違う
ジャンルへと関心が広がって行きます。発信の10日前になると
モチベーションも上がり、書き始めますが、新たに調べ直しもします。
こういうことが習慣になれば、誰でも成長して行きます。
弊社の仕入先から、「ミカワさんには伸びしろが沢山ありますね?」
と言われます。その度に「おかげ様で伸びしろだらけです」と返します。
この「伸びしろ」の意味、調べてみますと、組織や個人が成長して
行く可能性の大きさをいうとあります。何年か前から「会社と社員の
伸びしろを埋める」ために時間と労力とお金を注いで来ましたが
会社にも社員にも伸びしろがいっぱいあることが分かりました。
伸びしろを埋めて行く過程で新たな伸びしろが発見できたのです。
どんなに優れた人間であっても知らないことだらけです。
むしろ知らないことが分かった時が成長の始まりです。
会社も社員も今がその時、年齢に関係なくパワーアップできるのです。

第89回・行間を読むってことは?

2018-05-09
ベストセラーになっている本に「君たちはどう生きるか」があります。
実はこの本、私が生まれる10年前に刊行されたものを
今風に書き改め、既に210万部と驚異的な売れ行きです。
ただ、私的には漫画本(170万部)、文庫本(40万部)の
内訳には大いに不満です。
読み終えた直後の感想は、久々に良い本に巡り合えたです。
たぶん先に漫画本を読んでたら、これほどの感動はなかったと思っています。
クライマックスはコペル君が自身の取ってしまった行動
(結果的には友達への裏切り)を振り返り、悩み、苦しんだ末
何でも相談に乗ってくれるおじさんのアドバイスを受けて立ち直るところです。
漫画本ではこのあたりをどう表現しているかが興味深いところでしたが
文庫本では数時間を要したものが、漫画本では一時間余りで読めてしまいます。
因みに、この本の主題は「人は自らの意志で自分を決定できる。
だから過ちであっても、自ら修復へ向かう行動をも決定できる」であります。
感想は、コペル君が悩み抜いたことは漫画本でも分かりますが、
苦悩の深さ、微妙な心の動き、揺れは漫画本で読み取ることは
難しいですが、主要なところでは数ページにわたる文章が見事に補完しています。
先に文庫本を読んでいるので、どれくらいの差があるのかは
断定できないというのが本音です。
こういう類の本では、作者の真意を伝えきれない、せっかくの名著だけに
もったいないというのが率直な気持ちですが、一時間余りで
読めてしまう魅力も若者には受けるのでしょう。
世界的なロングセラーに「七つの習慣」がありますが、これにも
漫画本が出ています。文庫本は481ページです。私は3回読みました。
3回読まねば理解できなかったからです。
私の場合は、更に「七つの習慣の研修」のオブザーブとしても参加して
やっと語ることが出来るようになりました。
また、これもかなり古くからの超ロングセラーで、駆け出しの頃からの
バイブルでもある、カーネギーの「人を動かす」にも、何年か前に漫画本が出ています。
いつかの朝礼で、行間の話をした直後、「行間ってなんですか?」と
訊かれたことがあります。そのとき答えたことを以下に記します。
「行間というのは、行と行の間、そこには何も書いてはいないが、書いてない
作者の想いだ。行間を読むは、書物に限ったことではなく、コミュニケーションにも
使われる。言葉には出ていないが、相手の真意を読み取ることだ。
過去のコラムでも触れたことがある鳥取大学発のビジネスマンとしての
人間力を構成する五つの要素に、知力、体力、実践力、分析力、
コミュニケーション力があるが、他の四つの要素を下支えするのが
コミュニケーション力であり、最も重要な要素だ。優れたコミュニケーションとは
互いの言葉だけではなく、その言葉の背景にあるものとか表情、所作、
語り口などのすべてから真意を掴めること、コミュニケーションにおける行間を
読む力と言い換えても良いのではないかと思う。
この力は、何で磨かれるのかであるが、その一つが行間で想像を
膨らませる絶好の機会を与えてくれる読書が最も効果的だと思う。」
との説明で理解をしてくれたようです。
これまで、幾度も自分への投資について語って来ましたが、
1、自分のお金をつかうこと  2、自分の時間を使うこと
3、自分の労力を使うこととの定義を、漫画本は、満たしていないので
自分への投資には不十分と思うのです。

 

第88回・親父の背中をどう見せるのか?

2018-04-11
初めて自分の書いたものが公衆の目に晒されたのが、もう20年も前になります。
「時代を拓く若手経営者」と題したシリーズに掲載の目的で、岐阜新聞の
記者からの取材時、「ところで社長の趣味は?」と問われ、ゴルフと答えるには
下手すぎる。と言って夢中になっていたのは仕事ですが「仕事です!」なんて
不遜な言葉を発する訳にはいきません。ふと50歳になる100日前から
思うところあって毎日一つのテーマで文章を書き続け、そのまま誕生日を過ぎても
続けていることに気付き「エッセイかな?」と言って、少し見せると
「これ、いいじゃないですか。実は“素描”というコラム欄が長年続いています。
 そこに毎週一回2ヶ月間(9回)、出来ればプラベートな内容でお願いします」
と言われたのが始まりです。
これがきっかけで、次の任地、愛知リコーの社員に一時も早く「自分の素顔」を
理解してもらうツールとして{社長のブログ}なるものをアップしました。
そして今、足かけ8年間のこのビジネスコラムをベースに、ビジネスマンとしての
集大成「リーダーの覚悟」、サブタイトルをTRY×TRY×TRYとして
上梓するに至ったのです。
早速これをお得意先の、弊社と同じ二川地区に拠点を構える株式会社ワイエムジー
(前月、ものづくり大賞を豊橋商工会議所より受賞)の山本社長にお届けすべく
訪問しました。 社長との会話が弾み「実は~」と山本社長に見せられたのが、
なんと創業以来、奥様との手紙のやり取りの束です。同席した、創業時からの
お付き合いいただいている弊社顧問の鈴木が「社長、これこそ本にして出版すれば
いいじゃないですか」という言葉に対し、少し照れながら「私が死んでから
息子たちが読めば良いと思っているんですよ」と言われました。

ところで、最近の私の小さな楽しみの一つが、日本経済新聞の私の履歴書に
出て来る、ジャパネットたかたの創業者高田明氏の自伝です。
一目惚れで結婚した恵子夫人との仕事での関わりの一端が興味深いです。
第6回の内容は、大手カメラ店に価格面で、熾烈な戦いを強いられたのに対し
朝受注、当日仕上げ、というスピードで差別化し、見事に価格勝負を回避して
次の戦略(ハンディカムの特約店としての圧倒的な地位を築く)で大勝利を
収めた直前の一節です。
「人口1万人ぐらいの町ごとに現像所を作って、日本のあちこちに
広げられたら面白いね」と恵子とよく話したものだ。こういうと私が全て
切り盛りしていたイメージがあるが新しい機械が入るまで妻は子どもを
寝かせた後、毎日、午前1~2時ごろまで現像作業をしていた。妻が言うには
「あなたはいつも夜に撮影から帰るとお酒を飲んで畳に寝ていた」
確かに。でも毎日ではなかった。
そのあたりから高田氏の大躍進が始まって行くのですが、後に副社長を
務めることになる奥様の活躍も楽しみです。成長の陰には必ずと
言っていいくらい、大躍進を支える人が介在するようです。
前述した山本社長がやがて後継者として託すご子息に伝えたい経営者としての
姿勢、考え方など、またそれらを承継する立場から最も受け入れやすいのが
あの分厚い束の手紙のやり取りだと思うのです。
中小企業の事業承継で最も重要なことの一つに親父の背中を見せることがあります。
まさにこれこそが、それを具現化する最高のツールでありやがてこの手紙の束が
威力を発揮する時が必ず来ると思うのです。

第87回・行動するかどうかは、「やるべきか、やらざるべきか」という判断で決せよ

2018-03-07
5か月前、突然、自分の能力を顧みず出版を決意しました。
10月3日、早朝に某地方銀行元支店長の友人M氏から
「大下さん。コラムはいつも見てるけど、あらためてホームページで
最初から全部読みました。そのうちになんて言ってちゃダメです。
年明け早々に出版すべきですよ」との電話です。
それ以前にも、「ビジネスコラム、本にしたらいいよ」とか
「私が教えますから本にしましょう」と言ってくださる著名な方もいらっしゃいました。
その度に「そんな能力はないです」と言ったりして場をはぐらかしていました。
そんな大それたこと、不遜なこと、とんでもないというのが本心ですが、
朝一のM氏の強烈な「出版すべき」というフレーズが心を動かしました。
自分の信条の一つに「やりたい、やりたくないではない。
やるべきかやらざるべきかという判断で行動を決せよ」があります。
「我が行いにせずば甲斐なし」は私の座右の銘でありますが、これと
同意語ではありません。
先人、偉人にとどまらず、優れた人々の教え、言動など書籍から、
あるいは直接、間接的にを問わず感銘を受けたことを、受け流すのではなく、
自分の行動に移すのが座右の銘です。
これに対し、もう一方は、多くの場合、誰かに何かを依頼された、あるいは
何かの集いに参加の誘いを受けたときなど、どうするのかの判断基準と
いっていいでしょう。
「これまでの人には、これからの人に伝える義務がある」と
自らに言い聞かせ、座右の銘通り我が行いにすることこそ、
私のライフワークなのです。
そう言えば、かのM氏、これまでにも自身のビジネス人生の別の
ターニングポイントに関わってくれています。
一回目が2001年、愛知リコーの社長として、ちょうど赤字体質から脱した2年目、
岐阜市にある税理士法人主催のセミナーで「赤字経営は罪悪だ!」との
予め設定されたテーマで、2時間たっぷり話した経緯がありますが、
仕掛け人は彼だったのです。
関与先の中小企業150社のトップを相手に、私としては大それた行動です。
もちろんやりたくての行動ではなく、やるべきとの判断で決した行動です。
打ち合わせで2時間と言われ、せめて1時間半と交渉するも認めてもらえず、
予定通りちょうど2時間話しました。
このことがあってから、何故か社外で話す機会が増えました。
例えば、故郷である三方町(若狭町に合併前)の教育委員会から、
立志式(中学2年生を対象とするいわば元服式)での講演を依頼されました。
その後、母校である若狭高等学校、三方第二小学校(現梅の里小学校)
などでも話しました。
たぶん、こんなことがあったから、若狭町にふるさと大使制度ができると同時に
委嘱されたのだと思います。
大したお役に立っていないと思いますが、ふるさと大使の名刺は、
「決して怪しい者ではありません」という証明書ですと渡しています。
主題に戻ります。やるべきか、やらざるべきかを自らに問うとき、
「これは大変だなあ」と思うことの方が多いです。
ですが、やるべきとの判断を下しますとそれからの準備に多くの時間と労力を要します。
果実は、自分がいくらか成長できたかなと感じることです。
今回の出版に関してですが、タイトルは「リーダーの覚悟 TRY×TRY×TRY」で
ダイヤモンド社から3月26日に発売になります。
コラムをベースにしてオリジナリティ満載です。
クレッシェンド人生の集大成と捉えています。

第86回・営業あるいはマネジメントに求められるのは再現性

2018-02-07
弊社にはジョウショウ会と称するモノが二つあります。
このジョウショウ会、スタートして八年目になります。
何故、ジョウショウ会と記したのか?それは上翔会、そして常翔会と
呼び方が同じで、中身がまったく異なるジョウショウ会があるからです。
上翔会は毎月、営業マンを対象に一定の業績(三か月移動平均で)に
届かなかった人に参加する権利が与えられるというものです。
あえて権利が得られるとし、対象者には「参加資格が取れたね」と言います。
勉強する義務の発生ではなく資格が取れたのです。
おかげ様で、もうすぐまる七年に達しようとしたとき、参加資格者が
ゼロ(新人を除いて)になり、そのままでは開店休業状態となるので、
そのハードルを高くして再スタートしました。
もう一方の常翔会は三か月に一度、営業マンだけではなく、サービスマンを
加えて、優秀者が社長を囲む食事会に招待されるというものです。
この常翔会に異変が起きました。
上翔会以来、常連と言っても過言ではない人が常翔会に入って来たのです。
一過性にはならないようです。
何故、一過性にならないかを、前月の上翔会で、塾頭の私が話したことを
以下に記します。
三〇年にもわたる自身の長いマネージャー、リーダーという体験の中で、
私はマネジメントには二つの型があるということに気付いたのです。
マネジメントをそのまま営業と置き換えてください。
一つ目が、戦略的創造型再現性営業と名付けたものであり、
二つ目が、出会い頭的対応型これっきり営業とこれまた勝手に呼ぶものです。
前者は文字通り、戦略的であり、創造的で、たまたま結果として、
良い成果が出たというものではなく、同じプロセスを踏めば、
同じ成果が繰り返し得られ、更にそのプロセスに改善を加えれば、
更に大きな成果を生むというものです。
言い換えれば、前者は再現性のブラッシュアップを求める戦略的且つ
創造型PDCA営業なのです。
かたや後者の特徴は、前者が能動的であるのに対し、受動的であるところに
大きな違いがあります。
言うまでもなく営業の仕事は行動しなければ始まりません。
動けば必ずぶつかります。動けば動くほどぶつかる確率は高くなるのです。
だから部下に対し、「販売台数は訪問軒数に比例する」と口酸っぱく
言われて来たし、言っても来たのです。
三〇年、四〇年経った今も同じように営業を指導しているマネージャーも
少なくありません。
ですが、この指導方法は出会い頭を増やして商談の機会を得るというもので、
そもそもネット社会では必ずしも歓迎されませんし、非効率でもあります。
それでも成約につながることはあるものの、「部下育成」という重要な
ミッションを果たすには、誠にお粗末なマネジメントと言うしかないのです。
営業は科学ですが、マネジメントも科学的でなければなりません。
マーケティングを理解することで、戦略的な発想が生まれ、根拠性の
ある行動計画へとつながって行きます。
従って結果の再現性は自ずと高くなるのです。
より高い再現性を求めた創造的な思考と論理的な考え方に基づく行動を、
主体的に考えさせ部下を指導して行かなければならないのです。
この戦略的創造型再現性マネジメントを、PDCAのサイクルで回して
行くことが、スパイラルアップにつながり、部下のみならず、
自分自身のマネージャー、リーダーとしての能力も高まって行くのです。

第85回・心清事達

2018-01-17
正月早々嫌なニュースが飛び込んで来ました。
一生に一度の成人式という記念日が台無しになったのです。
成人の日の8日、貸衣装業者「はれのひ」と連絡が取れなくなり、
予約していた振袖など晴れ着が新成人に届かないというトラブルが相次ぎました。
被害者は数百人に上るとも云います。
金額にして、一人あたりが十数万円から数十万円の被害額と云いますから
一億円くらいの規模になるのでしょうか?
大金を失うことも悲しいことですが、晴れやかな気持ちが一転、何処に
怒りをぶつけて良いのやらと相当落ち込み、また毎年この嫌なことを
思い出さざるを得ないと思うと腹立たしくなって来ます。
大人の門出にはあまりにも酷な仕打ちと云うしかありません。
どうしてこのような事件が起きるのか不思議でなりません。
全うな神経の持ち主であれば出来る筈もないことです。
このニュースをテレビで知り、一瞬、昨年の旅行業者「てるみクラブ」の
破綻を思い出しました。
手口も良く似ています。破綻寸前まで、現金客優遇でお金を振り込ませています。
振り込み詐欺とほとんど変わりません。
旅行を楽しみにして、コツコツと貯金を積み立てた人、両親に旅行を
サプライズでプレゼントした人、ハワイで挙式の予定だった人など様々です。
多くの人が海外に渡れなくなったり、現地で立ち往生した人も多く見られました。
これら二つの事件に共通するところがあります。
経営者の考え方に大きな欠陥があると言うことです。
十年以上前に北京にある故宮博物館を訪れた時、その館内で人間国宝級と
言われる方の書を販売していました。
自分の好きな言葉をリクエストして書いてくれるのです。
その時、お願いして書いてもらったのが「心清事達」です。
心が清らかであれば事は達するという意味です。
事業家の原点であり、自分への戒めの意を強くしたのです。
社長を任された三社目で十年を超えた時期でもあったので、私としては、
その代金として大枚四万円を支払い、喜んで帰って来ました。
こういうものにそれだけのお金をかけたことはありませんが、何故か
どうしても書いて欲しいという気になったのです。
日本に帰ってから、中国に多少詳しい知人にその話をしますと、
「四万円は高いね。まあ一万五千円ってとこですよ」と、「暗にバカだね」と
言われているようでしたが、別に売るために買ったのではないですから、
まあいいかと、悔やむこともありませんでした。
偽物を掴まされた訳ではありませんし、第一、間違いなく目の前で
書いてくれたのを買ったのですから偽物では百パーセントないのです。
ただ書いてくれた人、その人の経歴とか素性を教えて貰った訳ではなく、
それほど有名な人と信じた訳でもないのです。
云えることは間違いなく、私より百倍上手く書いてくれたのですから
それで良いのです。
この買い物を思い出したのではなく「心清事達」の鮮やかな書を思い出したのです。
事業を行なう以上、リスクは伴います。誰もが成功する保証は何処にもありません。
事実、どんな好景気の時であっても倒産する企業は出て来ます。
不幸な事態になり、結果、債権者に迷惑をかけることは避けられないのですが、
今回のはれのひ、昨年のてるみクラブが、最後に取った行動は、事業家として、
いや人間として決して許されるものではないのです。

第84回・事業承継に不可欠な俯瞰力とは?

2017-12-13
我々「団塊の世代」の引退と併せ、事業承継とそれに関わる
ビジネスが空前のブームとなっています。
言うまでもなく、事業承継というのは単に、相続対策、節税対策、
それに後継者を誰にするのかといった狭い範疇だけをいうのではありません。
かつては、後継者といえば親族からが定説でありましたが、
近年では、社員を含め、外部からが半数以上を占めるようにもなって来ております。
またM&Aも専門業者は言うに及ばず、税理士法人などでも主要な事業として
位置づけているところもあります。
何よりも先に考えなければならないことは、事業そのものを継続して
行くかどうかが最も重要であり、継続して行くのであれば、五年、十年、
あるいはそれ以上先の世の中の変化、トレンド、自社を取り巻く環境の変化などを
俯瞰し、それらに対応出来る準備を怠ってはならないということです。
分かりやすい例が身近にあるので以下に記します。
姉を亡くして十六年になりますが、ビジネスマンとしての私を高く
評価してくれていました。
その姉夫婦の生業は赤尾洋服店で、紳士服専門店に近い形態でした。
商売はずっと繁盛していましたが、世間の情勢は、紳士服のはるやまとか青山が、
同じ街に進出するようになりました。
その姉から「このまま続けて良いと思う?」と訊いて来たので、
「紳士服中心で行くのは脅威かもね」などと、話し合っていました。
次に訪れた時には、何と、店の名前が、“ブティックあかお”に変わっており、
何より店内の様相が一変していたのです。
それから十年くらい後、病院とは無縁と思われた姉に癌が見つかり、
即手術となりましたが、入院する直前に店を閉鎖し、店内の商品すべてを、
それまでお世話になった人、お客様に差し上げたのです。
こんな潔い、格好いい廃業の仕方もあるということを教えられました。
そして、手術の後は点滴だけで命をつなぎ、一年後他界したのです。
身内ながら、お見事、姉にしかできないと今も脳裏から離れることはありません。
常務として関わる弊社には継続する以外に選択肢はありません。
選択肢があるとすれば、後継者の目指す姿であります。
後継者の方向性としては、大きくは二通りあります。
一つ目は、創業者に近い形、つまり、トップ自らが、前線のトップに立ち、
企業家の如くすべてに精通して、引っ張って行く形であり、もう一方は、
一言で言うなら「徳川幕府型」、つまり、将軍が信頼のおける大老、老中を任命し
政(まつりごと)を任せるやり方であります。
ただし、幕閣は、必ず将軍の決済を仰ぐという形、幕閣は判断しやすいように、
定期的(一ヶ月毎)に、あるいは大きな出来事、変化があった時は、
速やかに報告、相談するというものであります。
因みに、この形を徳川型とすれば、その対極は豊臣型ですが、
豊臣型が短命に終わったのは、徳川型(二大老、五奉行)へ切り替えたものの、
時、既に遅しであります。
豊臣型を目指すのであれば、トップ自らが五年も十年も先を読みながら前線に立ち、
社員を引っ張って行くと同時に、将来に備えて幕閣の育成にも
力を入れて行かねばならないのです。
どちらを選択するかはトップの決断であり、どちらがベターかは、
その時々の経営状態、財務状態だけではなく、将来を見据える俯瞰力を前提にして、
圧倒的なビジネスモデル構築に向けての十分な準備と、その可能性の見極めも、
重要な判断材料となるのです。

第83回・経済合理性ばかりを追求していると会社は壊れる

2017-11-08
二年前の「ビジネスコラム」のタイトル、「東芝に学ぶ」で発信した
その骨子を次に記します。
東芝といえば日本を代表する企業であります。百四十年という
歴史を持つ名門企業がこともあろうに、長年にわたって粉飾決算を行って来た
疑いがあるとの報道が連日、マスコミを賑わせました。
企業は戦う集団でもあるので、戦うからには勝利を目指すのは当然であります。
ですが、スポーツにルールがあるように、ビジネスにもルールがあり、
ルール違反が及ぼす影響は、スポーツとは違い実社会が対象になるだけに、
その影響は計り知れないほど大きなものになることが多いのです。
三代の社長にわたって不適切会計が続いていたということは、
三人の社長それぞれがどれほどの経営手腕を発揮されたとしても、
その責任の重さは、はるかに大きく決して免れるものではありません。
その東芝の大半を稼ぐ主要事業である半導体部門を手放すことが、
株主総会で可決されたことは報道された通りであります。
また別のコラム「生き方」というタイトルで記述した、京セラの創業者でもあり、
JALの救世主と言っても過言ではない稲盛和夫氏の教えを思い出します。
氏の主張する「人生の方程式」は、今やビジネスマンを問わず老若男女に
浸透して来ています。
繰り返しになりますが、これも次に記します。
人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力
あるいは、成功=人格・理念×考え方×能力
個人にあっては「人格」法人においては「理念」と解釈し、
その理念を貫き通すのは、経営トップの「人格」と考えると、
分かりやすいのではないでしょうか?
私自身が貫いて来た考え方の軸の一つに、「自分には嘘をつくな!」があります。
人に嘘をついても良いというつもりはありません。
自分にと敢えて付け加えるのは、自分に嘘をついたら自分でなくなるからです。
私の株式会社リコー本社での本当に辛い一年間について詳しく記述することは
控えますが、ビジネスマンとしての輝かしい未来が開く可能性を、
自ら閉ざすことを承知で「自分に嘘をつくな!」を貫いたのです。

それにしても、日本を代表する企業の不祥事は、次から次と後を絶ちません。
東芝は前述した通り三菱、日産、現時点での直近は神戸製鋼所の数十年に及ぶ
データ改ざんであります。
経営幹部の人格に大いに疑問を抱かざるを得ないのです。
「それが正義か?」とか「大義があるか?」と自分に問いかけず、
本当にぐっすり眠ることが出来るのか?
それともそう言う私が、ただの小心者ということでしょうか?
そもそもの、不祥事の発生要因をよくよく考えてみると、
特に上場企業にあっては、株主の短期的な評価を気にし過ぎるところが
あると思っています。
また社外取締役の機能も働いていません。社外取締役に辛辣な発言が
出やすいようになっているのか?その発言を経営トップは真摯に受け止めることが
出来る器量を持っているのかどうかも問われるところであります。
「東芝のチャレンジ!」の背景も、無茶な業績追及にあり、神戸製鋼所など
他の企業の共通点は、不正をしてまでのコスト削減で、利益の追求、言い換えれば
「手段を選ばない経済合理性の追求」で、消費者を、取引先を、そして
一般社員までをも欺いているのです。
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