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大下智のビジネスコラム

 

ビジネスコラム【――素描――】 著者・大下智のご紹介

ビジネスコラム【――素描――】 著者・大下智のご紹介
 
弊社常務・大下智・略歴
(株)リコーの国内マーケティング部門において40年以上のキャリアを持つ。
マネージャーとしては、福井リコー株式会社敦賀営業所所長を皮切りに、以後同社営業部長、兵庫リコー営業本部長、岐阜リコー代表取締役社長、株式会社リコー販売事業本部副本部長、リコー中部株式会社代表取締役社長などを歴任し、そのいずれもをリコーグループ中のトップ会社へと牽引する。
2004年にはダイヤモンド誌の「日本の営業40人」に選出される。
また、現在、出身地・福井県若狭町のふるさと大使としても活躍中。
 

大下智のビジネスコラム【――素描――】 バックナンバー

大下智のビジネスコラム【――素描――】 バックナンバー
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第75回・それぞれの立場での「変化に対応する責任と覚悟」
2017-03-08

トランプが大統領選で勝利して以来、過激な発言が世界を
揺るがしていただけに、初の施政方針演説が波乱なく終わったことで、
一気に安心感が広がりました。
基本的には「アメリカファースト」、自国の利益最優先ですから、
他国の立場では、依然として先行き不透明に変わりはありません。
昨年の英国のEU離脱に始まるグローバリズムの行き詰まりとの見方が増え、
この先、世界がどう動いて行くかは不透明です。
いずれにしても、エネルギーをはじめとした資源を外に頼らざるを
得ない日本で、またグロバリゼーションの進化と共に発展して来た日本が、
今後どのように自国を変化させて行けば良いのかは世界の流れに則った
方法にしか選択肢はないと思われます。
先の安倍総理とトランプ氏の首脳会談、それはまさに変化に敏感に
反応したお手本のようなもので、そのスピードと鮮やかさは
お見事という表現しか見当たらないものでした。
二国間での具体的な交渉はこれから始まりますが、貿易不均衡という言葉に
過敏になるばかりではなく、逆に広大な土地のアメリカでの巨額の
インフラ投資に、ビジネスチャンスがめぐって来る可能性にも期待できそうです。
一国のトップがその国、その国民を豊かで幸せにするという責任があるように、
企業を経営する立場にある者にも、会社を永続的に繁栄させ、社員が生き生きと
働ける環境創りをするという責任があります。
安倍総理の重要政策である成長戦略につながる施策の一つに
「働き方改革」があります。
その背景としては
① 人口減、労働人口の継続的な減少
② 長時間労働、残業などの悪しき慣習が改善されておらず社会問題にもなっている
③ ダイバーシティ(多様性)マネジメントがすすんでいない
などがあり、これらは生産性向上を妨げている要因であると云います。
生産性の向上は、「デフレからの脱却」と「富の拡大」とういう総理就任時からの
基本的なテーマであり、企業を経営する立場にあっても、そのテーマは
それに近いものと言って良いでしょう。
失われた10年、あるいは20年と云われ続けて来たその間、業界構造が変化し、
ビジネスを取り巻く環境も大きく変化している中で、企業そのものも変化しました。
また、見逃してはならないと思うのは社員の人生観、仕事観といった
価値観が大きく変わったことです。
ワークライフバランスという言葉が日常的に使われるようになったのもこの頃です。
こうした外部環境の大きな変化を受け止め、その変化に機敏に対応しながら、
競争に打ち勝って行くのも経営者の務めです。
その最も効果的と思える手段が、まだ一部を除いては、ほとんど進んでない、
あるいは着手すらしてないと思えるのが多様性マネジメントであると思うのです。
因みに、ここでいう多様性マネジメントとは「従業員の様々な個性、
価値観の違いを理解し、活用することにより、組織力を強化すること」と
定義します。
弊社では今、この考え方を「一人ひとりに対する人財育成」と合わせ
「一人ひとりの生産性の向上」を同時に進める手段として制度化すべく、
4月から始まる新年度に向けて準備を始めたところであります。
経営する側の責任として、社員一人ひとりの成長を支え、優秀な人財には
人並み以上に報いる。
また社員には、働く覚悟を持たせ、プロの働き手としての成果を生み出す
労働の質を高めることを求めて行くというものです。
 
 
第74回・「チャンスとオポチュニティ」そして「やり抜く力」
2017-02-08
大相撲ファンならずとも日本中が沸いたと言っても過言ではない、
稀勢の里の初優勝、そして日本出身力士の19年ぶりの横綱誕生です。
決して熱烈なファンではありませんが、それでも横綱に一番近い力士と、
期待しては「ああ~またか」と肝心な時に星を落とす彼にため息をついていました。
16年度の最多勝力士と知って「やっぱり力は横綱級」と認めつつも
「でも横綱昇進はどうかなあ?」が本音でした。
ところが、前場所、快進撃が続く13日目、対戦相手の大関豪栄道が休場、
不戦勝の勝ち名乗りを受けた時、これで「初優勝」は間違いないと
確信めいたものを感じたものです。
この13日目の不戦勝こそ「超ビッグなチャンス」到来と思ったのです。
今場所不調の豪栄道とはいえ、相手は前々場所優勝の大関です。
勝負は水物、何があるか分かりません。
日本語では「機会」と表わすこの言葉、実は英語では、「チャンス」の他に
最近よく使われるようなった「オポチュニティ」という単語があります。
調べてみますと「チャンス」というのは、神様が与えてくれた機会、
偶然訪れたという意味も持ち、一方の「オポチュニティ」は
自らが努力をして取りに行った好機とあります。
まさに13日目の不戦勝が神様の与えた「チャンス」だったのです。
その勢いで翌14日目の対戦相手、新鋭逸ノ城に勝ち、その同じ日、
星一つで追う白鵬が貴ノ岩に敗れて、あっけなく稀勢の里の初優勝が決まりました。
また千秋楽で宿敵白鵬を破ったことが「満場一致での横綱推挙」へと
つながりました。
と、まあここまでは、勝手な素人の浅はかな発想ですが、ベストセラーにも
なっている「やり抜く力(アンジェラ・ダックワース著)」では、
このあたりを実に科学的な論理で明快に説いてくれているので紹介します。
特に唸らされた部分を要約しますと、先ず一つ目は
「努力をしなければ才能も宝の持ち腐れ、努力によって才能はスキルになり、
そのスキルは努力によって生かされ、さまざまなものを生み出す」とあります。
才能×努力=スキル
スキル×努力=達成
「達成」を得るには「努力」が二回影響する、とあります。
稀勢の里は貴乃花に次ぐ若さで十両昇進を果たし、更に十両を二場所で通過し、
入幕を果たすというスピード出世をしながら、大関昇進力士としては
小結在位12場所という最多記録、更には大望に届くまでの大関在位場所は
31場所、これは歴代最長記録でもあります。
「やり抜く力」での二つ目の科学的論理は
「やり抜く力は(情熱)と(粘り強さ)の二つの要素でできていて、
(情熱)というのは一つのことにじっくりと長い間取り組む姿勢」とあります。
稀勢の里は少年時代、中学では野球選手(投手)として注目され、
常総学園をはじめとする強豪校からの勧誘もありながら
「自分はでかいだけ、野球はうまくない」との理由で断っていたところを鳴門親方が
入門に難色を示す両親や、中学の先生を熱心に説得して実現したと云います。
人生の大きなターニングポイントにおいて、中学生ながら最後は自分の意思を貫き、
恵まれた才能に磨きをかける努力を惜しまなかったことが、力士としての強力な
スキルを身につけました。
加えて幾度かのチャンスを逃しながらも、心折れることなく粘り強い努力を続け、
やり抜いた結果が今回の胸のすくような快挙を生んだと解釈しますと
大いに納得が行くのです。
 
 
【第73回・手応えを感じる時】
2017-01-11
新年明けましておめでとうございます。
今年も拙いビジネスコラムではありますが、お付き合い下さいますよう
お願い致します。
さて、恥ずかしながら、新しい年2017年を迎えるにあたっての弊社の
取り組みの一端をご披露致します。
昨年12月30日から始まる年末年始休暇を活用して、全社員を対象に
論文提出を義務付けました。
先ず発信の内容の抜粋です。
論文テーマ・・新しい年2017年を迎えるにあたって、自分の職責での
具体的な取り組みで選択テーマは4者択一です。
①「私への約束」
②「ザ、挑戦」
③「私は変わる」
④「組織改革」
 論文の長さ
  原稿用紙3枚以上4枚以下
  文字数・・1200~1600
目的
1、営業本部長の基本的な考え方の「考動」を具現化すること
2、2016年を振り返り整理し、新しい年2017年を迎えること
3、仕事を通じて社員が成長する(経営理念)きっかけにしたい
4、社員一人ひとりの考え方を理解し、経営に活かす
                        などです。
この数年(6期)連続黒字基調で推移するも、踊り場(2年前後)状態から抜け切れず、
社員の成長も伸び悩み、何らかの手を打つ必要を感じていました。
年末、年始の貴重な休暇だけに、ひんしゅくを買うのは承知の上でしたが、仕事始めの
1月5日、理解してくれた全社員が納期をきっちり守って提出してくれました。
書き馴れていない社員も多く、相当時間もかかったようです。
因みに書き馴れている筈の私も、原稿用紙4枚に7時間くらいは要しました。
選んだテーマは組織改革で、そのキーワードは「従来や先例からの脱皮」です。
今回の試みはその一歩でもあります。
全社員の論文を読み終えた今(1月9日)、深い感動を覚えました。
社員が真摯に向き合い、多くの貴重な時間を費やしてくれました。
本当にご苦労をかけたとは思っていますが、人生のターニングポイントになったと
思われる社員が何人もいますし、この機会に感謝してくれた社員も少なくありません。
それを示す代表的な論文の一節を添えます。
人生の多くの時間を仕事で費やすことになるが、この時間を有意義なものにしなければならない。
自分のためにも努力を惜しまない1年にする。今年は仕事の対価である所得目標を
明確にして必ず達成する、それが会社に貢献することになる(3年目の営業マン)
話すことが苦手だからCEとして就職したが、話さなければ話にならない。
コミュニケーション力研修で自信が付き、更に磨きをかけたい(CS推進部2年目)
会社から強制されてはいないが、お客様のためにも自分のためにも
ハードルの高い資格を必ず取得する(ドコモショップ担当)
思っていた以上の論文の効果がありました。
上司の立場で、論文の内容から部下一人ひとりにあった成長のための指導が出来、
また、会社の責任として着手すべきことにも気づかされます。
1年に一度全社員が自分の成長のために、振り返り、新たな高みを目標にして、
来るべき新年を迎えることに大きな意義を感じます。
全社員の論文を読み終え、6項目(現状認識.課題解決など)で審査しました。
今後の育成のポイントのツールとしての活用が目的で、おまけとして優秀作、佳作を選び、
お年玉という報奨を与えるためです。
これまでも何社かの改革において様々な取組をして来ていますが、
「これで変わる」と確信が持てるような瞬間を幾度か経験しています。
まさに今、圧倒的多数の社員の成長が促され、踊り場からの脱却に
確かな手応えを感じているのです。
 
第72回・「今朝知らなかったけど、今、知っていることは何か?」
2017-01-19
「一日の終わりに、この問いに毎日答えられるのなら、きっと貴方も
その分野のトップになれる」
これは、“屁理屈なし社長のための時間の使い方”というタイトルの
著者、ダン・S・ケネディ氏の言葉です。
世界屈指の億万長者メーカーと云われるマーケッティングコンサルタントで
知られています。
彼の凄さは、超高額なフィーが物語っています。
コンサル料金・・一日最低128万円
コーチングプログラム・・年間320万円以上
広告キャンペーンプロジェクト
  1プロジェクトあたり1000万円以上+売上げに応じた%ロイヤリティ
超高額であってもキャンセル待ちの状態と云います。
その訳は、常に需要が供給(提供するサービス)を上回ることを目指し、
日々様々な活動を行っているところにあります。
具体的には新しい依頼を生み出すために手紙を出し、電話をし、記事を発表する。
講演会の契約を確保するなどです。
需要>供給であれば、クライアントが選べ、興味深いプロジェクトのみ請負う。
当然報酬も高額になります。
その彼が、実に面白く、分かりやすく語っています。
彼曰く
「次の情報をもらえれば、あなたの銀行口座の残高が1年後いくらになっているか、
とても正確に予測することができる。
 ・今日の銀行口座残高
 ・先月読んだ本とオーディオプログラム(聴いて学ぶ)のリスト
 ・一番よく行動を共にする5人についてのある程度の情報
 ・平均的な一週間に、時間をどう使うかについてのちょっとした分析」です。
余談ながら、この考え方、採用時にも使えそうです。
そして「因みに9割の人について、こうした予測をするのは実に簡単だ。
正解は前の年と同じ」と続き
更に「成功とは、単にあなたが自分の時間を使って何をしているかを
反映したものに過ぎない」と断じているのです。
じゃあどうすれば良いのか?
彼の答えをそのまま紹介します。
「自分のビジネスの成功を促すためにできる、最も重要で、最も肝心な、
最も生産的で、最も価値のあることを三つ明らかにして書き出す。」
それから「その三つをもとにあなたが毎日実行できる三つの行動を考える。
それも書き出そう。」です。
この言葉、人財育成にも極めて有効に活用出来そうです。
9割かどうかは別として、世の中の多くの人は、早くて、簡単に、努力なしで
成功する方法を求め、何度も何度も繰り返して学び、
そして更に次から次へと新しいことを学び続ける、成功するために
必要な努力には背を向けます。
一方、ピラミッドの頂点にいるごく少数の人たちは、日々熱心に学び、
知識を増やし、能力を高める努力をしているのです。
米大統領選に見事当選を果たしたドナルド・トランプ氏は、
彼のセミナーに熱心に参加しています。
云うまでもなく、トランプ氏は、自身の分野においては世界のトップに
いる人です。そういう人物は皆、日々向上するために学んでいるということです。
「今朝知らなかったけど、今、知っていることは何か?」
あらためて、自分自身に問いかけますと、目覚めたときに知らなかったことを、
一日の終わりに知ることが出来た日も少なくなかったと思います。
ですが、それは結果論にすぎません。
毎日、自分に問いかけ、答えられる。多くを望まず、それがたとえ取るに足らない
些細なことであったとしても、それを習慣にする。
挑戦に値する新たな課題です。
因みに私の座右の銘は「我が行いにせずば甲斐なし」です。
 
第71回・どうする?豊洲市場、東京五輪会場
2016-11-09
このテーマを避けて通ったら叱られそうです。
地下水、空中から砒素、ベンゼン、水銀など人体に悪影響を及ぼす有害物質が
検出され、豊洲新市場への移転が危ぶまれています。
来年2月まで移転問題が延期になっていますが、「安全」「安心」が一番の
生鮮食料品の一大拠点であること、また既に移転を前提に準備し、巨額の資金も
動いてしまっているとあっては、一筋縄での解決は望めません。
2年前、首都圏の近くに住む長男を「世界一美味しい魚を食わしてやるよ」と
築地に誘ったのを思い出します。
夕刻、まだ早かったせいか、お薦めの「お寿司15種盛り」をつまみながら
店長との会話が弾みました。
「世界で魚が二番目に美味しい若狭から来ました」
「いやあ、必ずしも築地が一番とは言えませんよ」
「どうしてですか?」
「どうしたって鮮度ではそりゃあ産地にはかないません。若狭が一番でしょう」
「それじゃ、“世界で一番美味しい魚、ふるさと若狭”と言い直すことにします」
(ここは、ふるさと大使の名刺を差し出す絶好の場面です)
店長の話によると、遠くは青森、岩手などからも、乗用車でやって来る客が
いると言いますから驚きです。
それだけ魅力たっぷりの築地ということでしょう。
そもそも、この豊洲への移転問題、前任の知事が辞任してなかったら、
そして、小池氏ではなく、別の人が当選していたら、何の問題も発生せず
移転が進んでいた確率は高いです。
そう考えると、絶妙のタイミングでの都知事選だったということになります。
前任者とは違った角度、視点で物事を検証できる機会として、定期、不定期に
公共機関、民間会社で実施される人事異動があります。
特に銀行、保険、証券といった金融機関では通常2、3年を目途とした早い
サイクルでの異動です。主な狙いは顧客との癒着防止、金銭に絡む事故防止です。
この人事異動、必ずしも業種とは関係なく、早いサイクルで異動する人、
あるいは私のように7年、8年と比較的長く、同じ地に留まる人と様々ですが、
いずれにしても前任者とは違った視点、角度からモノを見て、戦略、戦術に活かし
成果に繋げるという狙いがあります。
着任間もなく、「エッこんなことが?」と驚くことも度々です。
転勤する都度、周りの先輩達が
「まあ、半年、あるいは1年はおとなしくじっと見ていた方がいい」と言います。
「はい、ありがとうございます」と応えますが、もともとこの考え方には否定的で、
いつも、着任したら、原則自分の責任という考え方です。
ですから、前任者を悪者にしたことは一度もありません。
結果的にそうなってしまったことはありますが・・・
逆に、管理不足で後任者に迷惑をかけ、何年も経って
「エッ!それは自分の責任です」と反省したこともあります。
本題に戻ります。
「盛り土の件は空気の流れのように決まった」から一転
「市場長2人を含む部長級6人、計8人の責任を問い懲戒処分」とは今朝の朝刊(11.2)です。
就任早々からの難題に精力的で挑んでおられる小池氏には頭が下がります。
もう一方の難題、五輪会場の見直しに関しては、ど素人の見解で恐縮ですが、
紆余曲折はあるものの、大幅な経費の削減で収束する気配を感じます。
最悪の状態に果敢に挑んだ小池氏でありますが、様々な障壁があるものの、
これらを見事乗り越え、歴史に名を残す都知事誕生に、
これほどの機会はないとも思うのです。
 
第70回・中小企業の70%は赤字経営をしている
2016-10-12
 
全企業の95%は中小企業です。うち黒字経営をしているのは30%に過ぎず、
毎年中小企業の約70%が赤字経営をしています。
黒字経営ですとか赤字経営ですと表現せず、黒字経営をしている、
赤字経営をしていると表現しているのは意図的に赤字経営をしている
企業があるということです。
零細企業、比較的小規模の企業の場合、会社=社長の色あいが濃く、
法人税とか所得税を計算しながらの決算書があがることが多いです。
既報のコラムでも触れましたが、2001年に「赤字企業は罪悪だ!」という
内容のセミナーの講師経験があります。
現役時代、経営を任されていた期間に止まらず、退任後も、関わる企業が
絶対赤字になってはならないという強い拘りを持ち続けています。
「赤字企業は罪悪だ!」という気持ちを持ち続け様々な取り組みをしています。
その中の最も大きなテーマが人財育成です。
最初の販社では、ディラーのセールスだけではなく、トップまでをも
対象にした勉強会にそれぞれ参加してもらいました。
自社内では、全社員を対象に、職種別に「職務能力検定制度」を創り、
職種毎に、試験内容を組み立て、上位より1級、2級、3級の三段階に分け、
級に応じた手当を給与に付加して、向上心を高揚させました。
これがリコーの社内機関紙に紹介され、2年後、国内販売の正式な
試験制度となり、現在もRDP試験制度として毎年1万人以上が受験しています。
私が創ったと知っている人はほとんどいないのが、ちょっぴり寂しいですが・
このコラムを見て「ええっ!そうだったの?」と気づいてくれる人が
いたら嬉しいです。
私の知る限り、中小企業においては、研修にお金をかける企業は少ないです。
即効性に乏しいことには躊躇してしまうのです。
弊社においては、この数年随分増えました。
自社内で行う各種勉強会、外部教育機関を使っての各種研修などです。
「何故そんなに研修なんですか?」に答えるべく、
下期の初日(10月3日)に話した骨子を記します。
高度成長期は、行きさえすれば売れた
インターネットが普及して、売り手側と買い手側の構図が逆転した
力関係が逆転したとも云える
買い手市場になったということ
単に供給>需要と云うことではない
かつては専門家が素人に売っていたが、買い手が素人でなくなった
インターネットでモノの機能、性能、使い勝手、価格まで瞬時に
把握できるようになった
モノの販売は価格競争に追い込まれるようになった
だから一人ひとりが専門家にならねばならない
自社の商品に限らず
顧客の業務にとどまらず、顧客の顧客までをも考える必要がある
世の中、業界の見通し、トレンドも理解しなければならない
これらすべてを会社で準備はしきれない
会社の中での研修だけではダメだということ
自分を成長させるための投資をする必要がある
自分への投資とは何か
① 自分の成長のためにお金を使う
② 自分の時間を使う
③ 自分の労力を使う
           以上です。
冒頭、中小企業の70%は(意図的にも含めて)赤字経営を
していると云いました。
ほとんどの業界で供給>需要の構図となり、またインターネットによって
瞬時に伝わる情報など、広い意味でのマーケッテングに大変化が
起きているのです。
もはや「赤字経営を意図的にしている」なんてたかをくくっていたら、
「本当に赤字経営になって」しまい、やがてはマーケットから退場という
ことにもなりかねないのです。
 
 
第69回・「そこそこ文化」からは何の感動も生まれない
2016-09-07
感動、感動のリオオリンピックが終わりました。
メダル獲得数(史上最高の41個)が物語る通り今回のリオ五輪では、
日本人選手の大活躍が目立ち、様々な競技で、多くの選手から
大きな感動をもらいました。
また指導者如何で、大きく変わるということも再確認できた
オリンピックでありました。
それを象徴するのが、井村雅代氏率いるシンクロナイズドスイミングであり、
井上康生率いる柔道男子です。
井村氏という指導者を失い、お家芸とも云われたシンクロは
10年近くも陰を潜めたままでした。
また井上康生氏は監督として、東京オリンピック以来となる全階級
(7階級、因みに東京は4階級)でのメダル獲得を果たしました。
体操日本の強さを見せ付けた体操団体男子の大逆転劇による金メダルは
まさに奇跡的であり、名将栄和人氏率いるレスリング女子の金メダルの
量産は圧巻でありました。
金メダルより輝くメダルはありませんが、卓球団体男子の銀メダル、
水谷選手の銅メダル、福原愛を主将とする卓球団体女子の銅メダル、
史上初のテニスでの銅メダルの錦織選手、また世界のスプリント、ボルトに
迫る400メートルリレーでの銀メダルも十分に輝いています。
惜しくもメダルに届かなかった入賞者、あるいは入賞を逃した選手も
本当によく健闘したとも思っています。
このコラムで強調したいのは、例えば「金メダルをどうしても獲る」という
強い意志、種目によっては「色にはこだわらないがメダルを!」
あるいは「入賞を果たす!」という、それぞれの競技に応じての高い目標を
持って本番に臨む姿勢と十分な準備があり、その結果が、たとえ、メダルを逃す、
あるいは惜しくも入賞を逃すことになったとしても、何ら責められることは
ないということです。
自身の長年の現役時代を振り返るとき、まったく同様のことに気づきます。
これまでのコラムでも触れたことがありますが、R社の全国販社評価制度において
「中型16社、大型14社、統括8社」の各コースそれぞれで、
一度だけではありますが、一位を獲得しました。
この結果は「絶対一位を獲る!」という強い想いだけではなく、一位に向かっての
明確なプロセスを、幹部以下全社員が理解し、着実に実践した賜物なのです。
仮に、「できるだけ上位に」「なるだけ良い会社」になどと、あいまいな
目標だったとしたら、一位はおろか、上位にランクされることすらなかったと
言い切れます。
世の中の中小企業では「うちはそこそこの会社で良い」と云うトップ、幹部、
社員のいる会社は少なくありませんが、そういう会社のほとんどは、
いつまで経っても「そこそこ」からも程遠い状態が続きます。
はじめに「こんな会社にする!」という経営トップの強い意志があり、
それが隅々まで浸透し、一人ひとりが主体的に役割を実践し、
検証の繰り返しが、目標到達を可能にし、同時に大きな感動をも
共有することができるのです。
とても困難とも思えるプロセスを経て、仮に目標に届かなかったとしても
「そこそこ以上の会社」には間違いなく近づいており、会社も、社員も
成長のスパイラルアップに入っているのです。
最初から「そこそこの会社」を目指して「そこそこの会社」になんて、
世の中甘くはないのです。
「戦後の復興」「高度経済成長期」を経て「ゆとり教育」の影響か、
価値観の大きな変化で「そこそこ文化」が蔓延ったとも思うのです。
 
第68回・~300年先を考える男が3000年前に学ぶ~その1~
2016-08-10
【第68回・~300年先を考える男が3000年前に学ぶ~その1~ 】
 
3.3兆円のM&Aを「たかが3兆円」といとも間単にやってのけた
ソフトバンクの孫正義、実は10年も前から狙っていたと云います。
 
昨年、後継者としてグーグルのニケシュ・アローラをヘッドハントし、
それから一年あまりで続行宣言、結局アローラ氏は退任しています。
どうしても、やりたいことがあった。
それが英半導体設計大手ARMの買収だったと云います。
今回のM&Aについての世間の評価は、必ずしも芳しいものではありませんが、
それらは孫正義の経営者としての本当の力を過小評価しているとしか
私には思えません。
 
孫正義は天才、これに異論を唱える人はいないと思いますが、
その天才が、信じられないほどの猛勉強と、驚くほどの努力を
積み重ねています。
そのさまが孫正義の成功哲学「孫の二乗の法則」と「志高く孫正義正伝新版」に
詳しく記されています。
 
後継者指名と撤回、そして今回の超大型買収を瞬く間に成し遂げてしまった
この一連の出来事の背景も含めて、この二冊が見事に納得させるに
十分な内容で描き切っています。
 
孫正義は歴史上の多くの人物から学んでいます。
古くは紀元前の孫武(孫氏の兵法)、二宮尊徳(猛烈な勉強)、
織田信長(長期作戦計画)坂本竜馬(開国維新)渋沢栄一(日本の近代化)他、
カーネギー、松下幸之助、本田宗一郎といった錚々たる先人から学び、
孫正義の哲学を完成させているようです。
 
そもそもこの「孫の二乗の法則」は「孫子の兵法」+ランチェスター戦略
それに孫正義の経営実践&哲学を合算して作ったと云いますから大いに頷けます。
 
ところで、彼は何と19歳のときに、以下に記す「人生50年計画」を立てています。
20代で、自ら選択する業界に名乗りを上げ、会社を起こす。
30代で軍資金を貯める。軍資金の単位は、最低1000億円。
40代で、何かひと勝負する。1兆円、2兆円と数える規模の勝負をする。
50代で事業をある程度完成させる。
60代で次の世代に事業を継承する。
 
彼はこの8月11日、明日59歳の誕生日を迎えます。
50代の「事業を完成させる」は、既に売り上げ規模で9兆円を超え、
目標は達成していますし、前述の通り、60代を目前に控え、
継承すべく後継者を指名しました。
 
ご承知の通り1年余りで事業継承を撤回しますが、実はこのことも決して
彼の哲学から外れてはいないのです。
25文字からなる「孫の二乗の法則」の一文字「一」へのこだわり、
つまり一番以外はすべて敗北に等しいという考え方に基づいての行動なのです。
 
「ビジネスの現場における闘いは最後の仕上げであって、実際に火蓋が
切られる前に、戦いの九割方は終わっている。
フォーメーションの段階で、~ああ、もうこれで勝てるな~という
構えをやり終えているべきである」
今回のARM買収のずっと以前に公言しているこの言葉こそ
「これを成し得ることが出来るのは孫正義自身」と自らが悟り、
事業継承宣言を翻した理由と思われるのです。
 
実は14年前、ソフトバンクと若干の取引があり、当時の名古屋支社長の
計らいによりお会いした経緯があります。
小柄で穏やかな表情と飾らない語り口、人間味あふれる魅力的な
好人物というのがその時の率直な印象です。
 
その同一人物が、
「5年後、あるいは10年後に、間違いなく世界のIT産業を制する日が来る」
と思うと、何かわくわくするのです。
 
追記
当コラムのこだわりの一つに「文字数は1300~1400」があります。
~その2~に続きます。
 
第67回・3年先のアポイント
2016-07-06
「成功者は皆ポジティブ」である。「経営の要諦はスピード」。
返事は「ハイ、解りました」ではなく、「ハイ、すぐやります」に。
「実践行動こそ総て!!」上記は「成功するまでやり続ける」の
著者高井法博氏が主宰するTACT経営研究会の2016年度目標を記した
ポスターの一節で、年初に先生から頂いたものです。
 
高井先生から「平成28年の9月17日、あけておいて下さいね」と言われたのが、
今から3年前のことです。
何と3年も先のアポイントを取られたのです。
芸能人ならともかく、3年先の予定などほとんど未定です。
よほどのことがない限り「かしこまりました」しか選択肢はありません。
因みに10年ほど前には“25年カレンダー”を勧められたこともありました。
 
先日、再確認ともいうべき案内状が届きました。
「創立40周年記念感謝のつどい」です。先生が古希を迎えられ、是を機に
所長を後継に引き継ぎ、念願の私財を投じた奨学金制度の設立の
お披露目を兼ねる記念すべき日なのです。
 
そもそものお付き合いは2001年に、無謀にも、顧問先150社のトップを前に
「21世紀、したたかに生きる」というテーマで、たっぷり二時間の講演を
受けたのが始まりです。
 
飲み友達の、当時メインバンクの支店長の超アバウト且つ軽いノリで薦められ、
「まあ拙い話で良ければ・・」とあいまいに応えたようですが、翌日、事務局長から
「ありがとうございます。早速講演会の打ち合わせをお願いします」と
言われたのには「ええっ!講演会?」と返すのが精一杯でした。
酒の席で、しかもいつか分からないようなずっと先の話とはいえ、受諾したと
思われたならやるしかないと覚悟を決めました。
早速本番に向け、構想を練り推敲を重ねたのは言うまでもありません。
 
弊社の今年度、経営の最重要課題は営業変革です。
その内の一つが、アポイントを取っての訪問です。
 
昔のように夜討ち、朝駆けの訪問は皆無です。もっとも、今、そんな
営業していたら、昔のように、「よく来てくれる、熱心な営業マンだ」などと
褒めて頂けるどころか「人の都合も考えないいい加減な奴だ」と
叱られるのがオチです。
 
「仕事とはお役立ち」を標榜する弊社としては、少なくともお客様にとって、
その面談を有益と認めて頂かねばなりません。
 
以下にアポイントをとって訪問する際、気をつけている
チェックポイントを記します。
 
面談の目的を明確にします。
面談のキーワードは“私”ではなく、常に“あなた”です。
“あなた”を理解して、はじめて“私”が理解されます。
したがって資料、ツールなどは
汎用ではなく“あなた”の個別事情に合わせたものを準備します。
“あなた”の会社、業界、関心事の事前リサーチが必要になるのです。
 
たかがアポイント、されどアポイントです。
このアポイントこそが、何をする場合においても”周到な準備“をせざるを
得ない状況を創り出し、自らを著しい成長へと導いてくれる最も効果的な”
実践行動の積み重ね“の始まりなのです。
 
前述した平成28年の9月17日の前日16日は、母校(若狭高等学校)の
同年次800名の同窓会が若狭で開催されます。
先日、「久々にゆっくり旧交を温めようや!」と誘ってくれた友人もいますが、
早朝には後ろ髪を引かれながらも、3年前にアポイントを取られた
「創立40周年~」を想像しながら会場である岐阜グランドホテルに向かうのです。
 
第66回・「第三者の厳しい目で~」が流行語大賞にノミネート?
2016-06-08
およそ二時間半の都知事の定例記者会見、その二時間近くが、
政治資金の使途疑惑の釈明に費やされました。
その釈明に何十回「第三者の厳しい目で・・」が使われたことか・・・
 
海外出張時のファーストクラスの利用、ホテルのスイートルーム宿泊など、
条例が定める上限を大きく上回っての海外出張に対する批判、
ほぼ毎週末、湯河原にある別荘への公用車使用に始まる公私混同批判が
この騒動の発端でありました。
 
「遊び回っている訳ではない」
「体調管理も知事の大事な仕事。全てルールにのっとっている」
などと強気な釈明に対し、私の判断基準とは大きな差があると感じつつも、
東京都知事ともなれば、激務をこなすには百歩譲って許される範囲なのかも
知れないと、思いもしましたが、その後の次から次へと続く報道には愕然としました。
 
これが政治学者としての資格を持ち、国会議員、厚生労働省大臣としての
功績を残された経歴を持つ同一人物の行動なのかと理解に苦しみました。
 
都民に寄り添う政治を目指すと公言して当選した知事、その同一人物が、
今、ほとんどの都民から「信用ならない」と云われています。
国民、都民のために存在する政治家、都知事、その役割を果たすための
原資は血税で賄われています。
 
企業のトップ、経営者の場合、今回の一連の騒動とは同一ではありませんが、
自らの言動に対し、厳しく律しなければならないという点では同じです。
 
私の危うい体験事例を記します。
債務超過会社を黒字化、黒字体質にしたのが評価されたのか、次に任された
販売会社は一気に東京、大阪に次ぐ愛知で、人員規模も156人から、
いきなり680人の社員を擁する大型販社です。
 
出勤初日、管理本部長から誠に便利で結構なものを渡されました。
「法人カード」です。会社の銀行口座から引き落とされます。
お客様と食事した時、お客様とゴルフをした時など、
そのカードを使うと便利です。
幹部や、社員との打ち合わせ、慰労などを目的にした食事代などにも使えます。
 
ですが、使い始めて何日も経たないうちに迷いが生じました。
「これは明らかに仕事」「仕事といえば仕事、でもプライベートの部分もある」
わずか一ヶ月の間でさえ、使用に躊躇するケースが度々あり、私の性格上、
このまま持ち続けて良いのか?プライベートを「7割」と感じても
「8割」と感じても、挙句は「9割」感じたとしても、ひょっとして
使ってしまうのではないかという不安に陥ったのです。
 
日が経つにつれ、その判断基準も、自分の都合の良いように
緩んで行くのではないか、それなら、緩まない内に「法人カード」を
持たないことが一番と、管理本部長に「その想い」を告げ、返却しました。
その管理本部長「ありがとうございます!」と、半ばひったくる様に
(そのように感じた?)受け取ってくれました。
私の心の弱さを見抜いてくれたのでしょう。
 
もしあの時、自ら返却したいとの申し入れをしていなかったら、
今の自分はなかったのではないかと思います。
 
特にトップの判断基準というのはだんだん自分の都合の良いものに
変わって行きます。
そういう意味で今回の一連の騒動は、実に良いケーススタディの
題材になったと思うのです。
唯一、自分を律する自らの厳しい判断だけが
「第三者の厳しい目で・・」というフレーズを不要にするのです。
   
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